屋台屋台屋台
ロコルさんも泣き止んでもう大丈夫。
私は一旦部屋に戻ってエルドさんが用意してくれたローブから村時代の普段着に着替えた。
額の聖女の証は帽子で隠しとこう。
これでどっからどう見ても聖女には見えないでしょう。
ロコルさんも服を着替え終わっていたようで扉の前で待機していた。中に入ってきていいんだよ。
さあ、行くぞの前にトーラスさんから注意事項。
「聖女様、王都内は警備兵が巡回しております。しかし、それでも暴力沙汰や人攫いなど犯罪は少なからず起きてます。十分にご注意を。あと、聖女の力は控えた方がよろしいかと思います。何らかの形でピグオッグ司教に伝われば貴方様に何かしてくる恐れもあります。」
別にあの司教が何かして来てもどうとでも対処出来ると思うけど‥。
でも、こんな小さい子供の容姿じゃ以前のエルドさんみたいに心配するよね。
まあなるべく控えよう!
なるべくね。
「はい、気をつけます。ご心配して頂きありがとうございます。」
「聖女様、ロコルは護身術を覚えております。いざとなればすぐにロコルの後ろにお下がりください。頼んだぞ、ロコル。」
「は、はい!必ずや聖女様をお守りいたします!」
へぇー意外。
護身術とか使えるんだ。強いのかな。機会があれば手合わせしたいな。
「それではトーラスさん、行ってまいります。」
「はい、お気をつけて。」
教会を出たらすぐにロコルさんに伝える。
「ロコルさん、ここからは私のことは聖女様ではなくアリスとお呼びくださいね。」
「ふぇっ!聖女様を名前で呼ぶなど‥」
「聖女様ではありません、ア・リ・スですよ。」
「は、はいアリス様。」
「様も駄目ですよ。アリスかアリスちゃんでお願いします。」
俺は悪戯っ子のように笑いかける。
大慌てのロコルさんは意を決したようだ。
「ア、アリスちゃん‥」
「はい、ロコルお姉ちゃん!」
「くひぃん!?」
いたずら成功。
ロコルさんは顔を真っ赤に奇声を上げる。
そんなロコルお姉ちゃんの手を掴んで昨日馬車の中から見かけた屋台群に特攻をしかけに行く。
圧倒的肉料理系の屋台群。
しゅ‥しゅごい
串にいくつもの肉の塊が豪快に刺さって丁度良い焼き加減と香辛料の香りが暴力的な食欲を駆り立てる。
ほ、骨つき肉を油で揚げている姿も見える。
おいおい、こりゃあ‥最高じゃねえか。
爺ちゃんが置いてったお金を思わず強く握りしめる。
「ロコルお姉ちゃん!まずは串肉から行きましょう!」
「はい、あアリスちゃん!」
うおおおと心の中で叫びながら、先ほどからおいでおいでと匂いが誘ってきていた串肉屋へ。
「おじちゃん、串肉二本くださいな!」
「あいよ、嬢ちゃん。串肉二本で銅貨20枚な。」
串肉のおじちゃんにお金を渡して受け取る。
そして遠慮するロコルお姉ちゃんに強引に渡して、俺は肉に齧り付く。
すごい、すごいよ‥
噛んだ瞬間に、肉汁が口の中を走り回ってる。甘辛い味付けも更なる食欲を促してくる。こんなの俺じゃあ一生かかっても作れない。
さあ、どんどん行こう!
俺を待っている子たちはたくさん居る。
よし次はあそこの煮込んでいるお肉だ!
その後も三軒ほど屋台をはしごしました。
さすがにお腹いっぱい。満足満足。
まだまだ時間はある。
次はロコルお姉ちゃんのおすすめの場所を聞いて行こう。
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