第23話 フランスパン

「話によるとフレンズ達は山でセルリアンと交戦中らしい……だが」

山へ移動中タダヒサがそう話す

するとトモカズは

「だが?」


「どうにも様子がおかしいらしい……フレンズも、セルリアンもな」





山の頂上では

「朧、君にいくつか聞きたい事がある」

スターが側にいる朧に問いかける

「聞きたい事とは」


「最近私の言うことを聞かないセルリアンが増え始めましてね、君は何か知りませんか?」

朧は

「私もそう思い始め既に調べ始めてはいるのですがこれといって手がかりは何も」



「そうですか、では引き続き宜しく頼みますよ、朧」


「仰せのままに……」

そう言う朧は目を細めた




そして山の麓に辿り着いたトモカズ達は

「な……なんじゃこりゃあ!」

目の前に広がる光景にトモカズは思わず叫び声をあげる


「なんであいつらフランスパン持って戦ってんだ!なんでフランスパンでセルリアンを倒せてんだよ!」


セルリアンと戦うフレンズ達は皆、手にフランスパンを持っていた


スタ…

突っ込むトモカズの横に博士が降り立った

「どうやら外ではあのパンが流行っているようなのです」

すると今度は助手が降り立ち

「なので物資として与えたところ全員があのような使い方をし始めたのです」

そう言う二人に対しトモカズは


「だからってあんな使い方あるかッ!アイツらはバカなのかッ!脳筋にも程があるだろうがッ!」


突然かばんがセルリアンの方を指差しながら

「でもあれ見てくださいよ、セルリアンの様子が……」


トモカズはセルリアンに目を向けた

「なんだぁ?特に変わりはねえみたいだが?」

セルリアンの形は球体であり触手が生えている…以前まで確認されていた形のままだった


するとかばんは

「そうじゃなくて触手の先です」


トモカズは触手に目を凝らした、そこには






フランスパンが握られていた




「なんでだああああああ!!なんでセルリアンアイツらまで!揃いも揃ってフランスパン持ってんだ!流行ってるってそう意味じゃねえだろ!馬鹿しか居ねえのかここには!」

ポン

突っ込むトモカズの肩に誰かが手を置いた

「あ?なんだよ」

トモカズが振り向くと



「なふぁなふぁふまひそほはえほふっへひろ(中々旨いぞお前も食ってみろ)」

コウリュウがフランスパンを食べていた







ゲシッ

トモカズは無言でコウリュウを蹴った

「ああああああああああッ!!」

コウリュウはそのまま坂を転がり落ちていった


「さて馬鹿はほっといて俺たちもそろそろ……ってタダヒサが居ねえな」






「あのお方はあの男を一番恐れている……殺せ」

朧が誰かに話しかけていた

「分かった、隙をついて1発ぶち込めばいくらアイツでも……」

そう答えるのは、タダヒサだった

「確実に成功させろ、分かったな」

それを聞いたタダヒサは不気味な笑みを浮かべた

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