第8話 ワン公

「ほう…」

仮面の男の右腕に刀が突き刺さっていた


「まだ息がありましたか」


カズヤが手にした刀を突き刺していた


「あんたみたいな化け物には死んだふりぐらいしないとね」

カズヤは右手に力を込め

スパァンッ!!

男の右腕を斬り飛ばした


「はあああああああああああ!!」

そのまま刀をなぎ払おうとするが


「無駄ですよ」

男が左腕でカズヤの右腕に発勁を繰り出した

グギッ!

「うぐ…」

ドガァァァン!!


カズヤは吹っ飛びステージに叩きつけられた


ステージからは煙が上がり、そして



ポト…


刀を握った手だけが煙の中から飛び出してきた

煙が晴れカズヤが姿を現した

「うぅ…ぐ…」

カズヤは右腕のあたりを押さえていたが…


「君程度の実力では片手失うだけでもかなり痛いはずだ」


袖から先が無くなっていた

「はあ…はあ…クソッ…」

カズヤは近くに落ちた木刀を残った左手で拾おうとするが


ヒュンッ!

グサッ!


男がいつのまにか手にした刀を投げ左手に刺した

「なっ…!」

男は距離を詰めカズヤに殴りかかった


男の左手がカズヤの顔に当たる直前



グサッ!


カズヤが右手に持った刀で男の左手を突き刺していた


「なるほど…あれは私の腕でしたか」


「があああああああああッ!!」

スパァン!!

カズヤは力を込め男の左手も斬り飛ばし

ガッ!

刀の柄で男を突き飛ばした

「はあ…はあ…」

カズヤは左手に刺さった刀を引き抜き男の元から走り出した



「やれやれ…少し甘く見過ぎたようですね」

突き飛ばされた男は何事もなかったかのように立ち上がった

そして


シュゥゥゥゥゥウ…

カズヤに斬られた両腕が煙を出しながら再生を始めた…


「だが、君の剣では私は倒せない」

そう呟き男は遊園地から姿を消した




「はあ…はあ…うぐ…」


遊園地から逃げ出したカズヤはさばんなまであと少しの所まで来たが

ドサ…

ついに倒れてしまう


「はは…もう力が入らないや…せっかくトラウマ振り払って戦ったのになぁ…これじゃ…全然ダメダメだよ…俺は…」


カズヤはそのまま意識を失った









「あ!気がつきましたか?」

カズヤが目を覚ますと知らない顔が目の前にあった


「……ここは?それに君は…」

すると

「私はイエイヌです、あとここはさばんなのおうちですよ」

カズヤは

「さばんなに家なんかあったっけ…」


その時

「ったく無茶しやがるなお前は」

トモカズが手に何かを持ちながらやって来た

「よぉ、久しぶりだなワン公、来てもらったのに悪かったないきなり看病させちまって、ほらよお前の大好きなクリームパンだぜ」

イエイヌはそれを受け取り

「いえいえ、私は全然大丈夫ですよ」


「……全然話が見えないんだけど…え?父さんの知り合い?」


「あ?まあそうなるな…でも詳しく話すとめんどくさくなるからなぁ…よし、次回あれだ、回想シーンみたいにして漆塗りあいつに書かせるからそれ見てくれ」


「いや丸投げかよ!!」





次回

特別編第0話トモカズとイエイヌの出会い

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