第6話 過去

「…痛え…どこだここは…」

ゼロが目を覚ました

そこはさばんなちほーのとある建物の中であった


「よお、目が覚めたかあんちゃん」

老人が声をかけた

「ったく、話も聞かねえでいきなり殴りかかってきやがってよぉ、まだ血の味が残ってやがるぜ」


ガタッ

突然ゼロが起き上がり老人に掴みかかった

「テメエッ!!よくもカズヤをッ!」

すると老人は

「だぁから話を聞きやがれ、大事な可愛いひ孫を本気で殺そうとする奴がどこに居るってんだ?」


それを聞いたゼロは

「は?」

固まった


「ったく、トモカズアイツに呼び出されて来てみればひ孫は荒れてやがるし、いきなり知らねえ奴から殴られる始末だ」

老人は話を続ける

「んで、肝心のトモカズは何処に居やがるってんだ」


そこへトモカズがやってきた、肩には青い何かを担いでいた

「悪りい悪りい、ちょっと色々あってな、遅くなっちまった」


うぅぅ…ううぅ…

突然青い何かが呻き声のような音を出した

「お、おいなんだよそれ…」

ゼロの顔が青くなった


「漆塗り」

トモカズが言った

「は?」

「漆塗りだよ、あいつ最近再現CGメーカーにハマって全然書いてねえからな、そんなに好きなら再現CGのあのぉ…ほらぁ…青いやつにしてやろうと思ってな、全身を蝋で固めて青く塗って来たんだよ」

バシン!!

トモカズが漆塗りを叩いた

すると漆塗りは

「コロシテ…コロシテ…」


「とまぁ、この話は置いとくとして」

ポイ

トモカズは漆塗りを窓から放り投げた


ああああぁぁぁぁぁ…


プチッ…


「はい、という訳で話続けるぞ、お前にはまだ紹介してなかったからな、このジジイはタカユキ、俺の祖父だ、本当は呼びたくなかったが…まぁ猫の手よりはマシだろうからな」


「けっ…ガキが何ほざいてやがる、猫より使えねえ奴がよぉ」

するとタカユキは建物から出て行こうとする

「おい何処行くんだ?ジジイ」

「厠だよ厠、最近キレが悪くてなぁ…歳は取りなくねえもんだ」



建物から出たタカユキはさばんなを歩いていた、すると


「ん?おめえさんは確か…」


「……スター…と申します…実はあなたに言いたいことが…」

スターが苦しそうに口を開いた



その後二人は場所を変えある話を始めた


「…そうか、おめえさんが……で?アイツは最期にどんな顔して逝きやがった」

「笑ってましたよ…私のために…私のせいであの人は…」


するとタカユキは

「そうか、だったら上出来だ」

それを聞いたスターは

「な…何を言っているのですか…?」


「何もしねえでくたばってたら墓石に拳骨をくれてやるところだったが、護りてえもん護ってくたばったんだ、俺の息子にしちゃあ上出来だぁ」


「あなたは私が憎くないのですか?」

するとタカユキは静かに口を開いた


「……人間ってのはいつ死ぬか分からねぇ…もし死んだ時、残された奴が何をするべきか、涙で目を濡らすか?憎しみで目を曇らせるか?いいや違う、前を見て進む事だ、憎んだところで何も変わらねえんだ泣き叫んだところで戻って来ねえ、だからこそ前に進まなきゃならねえ」


そう言ってタカユキは歩き出した


残されたスターは

「前に進む…ですか…」

そう呟いた

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