第26話 取引

「じゃあ取引でどう?オオカミ」

椅子に縛られたままカズヤが言った

「取引?」


「僕が話す代わりにアンタはヒトのフレンズ…かばんの事を教えてよ」

カズヤがニヤリと笑った


「ッ!!それは…」

「知らないわけ無いよね、だってコノハズクが、いや、が言ってたんだからさ」

オオカミはしばらく考え

「わかった…取引に応じるよ…」



その頃トモカズは

「という訳でアンタにはこれからいろんな奴に謝ってこい、それでいい」

タダヒサに言い残しゼロ達と共に歩いて行った



そしてカズヤは

「つまり、かばんは父さんやゼロさん達と暮らしてた…で?他は?」

「悪いけど知ってるのはこれぐらいだよ、その後の事は分からない…さ、今度は君の番だよ」

するとカズヤは

「じゃ、ありがとさん」

シュルッ

縄を解いて走り出した

「え?」

オオカミはしばらく固まっていたが

「……私を出し抜くとは、ますます面白くなってきたね」

不敵な笑みを浮かべた


ロッジから出たカズヤは

「荷物をロッジの外に置いてて助かったあ…」

かばんを背負って歩き出した


その後さばんなちほーに着いたカズヤは

「え?解決したんですか?今までの事件」

ゼロから先ほどの話を聞いた

「ああ、意外な結果になったがな、まさか園長が黒幕だったとは…」

するとゼロは

「で?お前は探し物は見つかったのか?」

それに対しカズヤは


「ええ見つけましたよ、だからこそゼロさん、貴方にもう一度訊きます、ヒトのフレンズ、かばんは今どこに居るんですか?」


「……それを知ってどうするつもりだ?」

「何も、ただ知りたいだけです、ヒトのフレンズがどんなのかを、それと何故貴方達が必死に隠すのかを」


「はあ…分かった教えてやる、どうせ見つけられないだろうしな」

「見つけられない?一体どういう…」

ゼロは静かに口を開いた


「かばんというヒトのフレンズはこのパーク、いや、この世のどこにも居ねえんだよ」

それを聞いたカズヤは

「え?居ないって…まさか…」

「そのままの意味だ、探したって無駄なんだよ」

ゼロはカズヤから離れて行った



その後カズヤは家に帰ったがゼロに言われた事を考えていた

(もうこの世には居ない…だから隠してた?でもそれだったら隠す必要は無いんじゃ…)





その夜

カツン…カツン…

何者かが何処かを歩いていた

すると牢屋の前で立ち止まった


「遅かったじゃないか、まあいい、早く私を出せ」

牢屋の中に居た園長が立ち止まった何者かに声をかけた

すると園長は

「訊きたいことがあるからと私をここに閉じ込めたのが間違いだったな!!さっさと警察に預ければ良かったものを!!今に見ていろ!!貴様も父親のように!!」


グサ…

「グサ?」


牢屋を開けた何者かが園長に刀を突き刺していた

ドサ…

「な、一体何のつもりだ…裏切ったのか!!」

すると

「いえ、裏切るつもりはありませんよ、私はただ使えない駒を切るだけですから」

園長に刀を向け


「私の目的の妨げになる者達を消すように仕向けたのですが、全く役に立ちませんでしたね」

すると園長は

「ま、待ってくれ!!目的はなんだ!!私を助ければその目的が達成できるかもしれないぞ!!」

「貴方が?無理に決まっているでしょう、それに私の目的は貴方に理解できない…ですが教えて差し上げましょう」

園長に刀を向ける何者かが顔に手をかけ仮面のような物を外した

「な…き、貴様は!!」


「私の目的はパークを壊し自分も…全てを終わらせる事ですよ」

園長に刀を振り下ろした

ザク…

「2度目は失敗しない」

そう言いながら再び仮面を付け歩き出した

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