第25話 昔話

「果たしてどこから話そうか…」

タダヒサが口を開いた

「私が元医者だった、というのは知っているだろう…そして辞めた…いや、辞めさせられたと言った方が正しいか、濡れ衣でな…まあそれはいい、その後だ、私は路頭に迷っていた、そこを救ってくれたのが君の父親だった」


タダヒサはトモカズの方を見た

「親父が?」

「ああそうだ、医療機関の発展のため、という名目でな、そして私はパークに来た」


その頃カズヤは

「で、何で僕は椅子に縛り付けられてる訳?」

オオカミにより椅子に縛り付けられていた

「色々聞きたい事があるのに逃げようとするからだよ」

「いや、何を聞きたいのさ…」

するとオオカミは

「君の過去、かな」

「は?」

「君は本当は戦えるはず、なのに戦えないフリをしている、その理由を知りたいんだ」

「はぁ…」

カズヤはため息をついた

「知ってどうするのさ」

「もちろん漫画のネタにさせてもらうよ、訳ありの主人公ってね」




トモカズside

「それから数年が経ちセルリアンがパークに姿を現した、私達はパークを離れた、だがある日君の父親はパークに行くと言い出した」


「スターか」

「そうだ、そして帰ってこなかった、同じ頃に上層部の人間が数人失踪…」


するとスターが

「それが私を造った人間達ですね」

タダヒサは頷き

「私は一人でパークに向かった…そして見てしまった、失踪した奴らの死体と、君の父親が持っていた刀を縛り付けたラッキービーストを、私はすぐに映像を再生し全てを見た、だが気になる事があった」

「気になる事?一体なんですかそれは」


「君の父親がパークに行くと知っているのは私と園長、いや、あの時はまだ園長ではなかったが、この二人しか知らなかった…アイツは親友だった私達にだけ教えた筈だった、だが何故上層部は知っていたのか」

トモカズが静かに聞いた

「まさか…園長が?」


「その通りだ、アイツは出世の為に友を売った、そして同じ事を繰り返し園長の座に就いた、私は許せなかった…だが何もできなかった、だから私は君の父親が残したものを守ろうとした、どんな手を使ってでも、それで周りから嫌われようとも」

タダヒサは拳を握った

ゼロが

「じゃああの喋り方とかも全部」

「そうだ、いかにも悪役っぽい喋り方だろ?」

タダヒサが笑いながら答えた

「時は経ちパークは復興した、そして私は聞いてしまった、園長の企みを」


「フレンズを使ったビジネスか」

トモカズが口を挟んだ

「そうだ、だから私はアイツに協力するふりをしてアイツの計画を潰してきた…そしてやっとアイツは…」

タダヒサは上を見上げた

「これで私の役目は終わった、私も罪を犯した、ここに居る資格はない…」

タダヒサは歩き出した


「待てよ」

ガシッ

トモカズが肩を掴んだ

「まさかやる事やってそのままトンズラする訳じゃねえよなぁ」



その頃カズヤは

「いい加減解いてくれない?」

まだ椅子に縛り付けられていた

「君が早く話せば済む事だよ」

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