第23話 黒
「おい、タダヒサさんよぉ」
トモカズはタダヒサに呼びかけた
「一体何のようだ?」
「…園長から話を聞いた、親父が死んだ理由をな…アンタが絡んでるのも全部な」
「……」
タダヒサは黙っている
「教えてくれ…本当にアンタなのか?」
するとタダヒサは
「ヒヒヒ、その通りよ、ヌシの父はワシが殺したようなものよ、それで?どうするつもりだ?仇でも打つ気か?」
トモカズはタダヒサを睨み
「今はそんな気分じゃねえ…お前は後だ…」
タダヒサに背を向け歩き出した
「そろそろ頃合いのようだな」
タダヒサはトモカズの背を見ながら呟いた
ロッジでは
「タダヒサさんが?」
「ああ、そうだよ…君を襲え、とね」
目を覚ましたオオカミがカズヤに説明をしていた
「私に機械をつけ君を襲わせる…そして彼が私を止める、聞いただけじゃ訳がわからないだろう?」
カズヤは頷く
「彼は…あくまで嫌われ役を演じているだけに過ぎない…それがよくわかったよ」
「失礼するぞ、園長よ」
タダヒサは部屋に入った
「タダヒサ君か、一体どうしたのだ?」
するとタダヒサは何かを取り出した
「実はこの録音機の中にヌシが今まで行った事が全部記録されておる、それを今度…バラす」
園長はタダヒサを睨みつけた
「なん…だと…君は私のために…」
タダヒサは園長を睨み返した
「本来ならもう少し待とうかと思ったが気が変わった…ヌシは…ヌシはトモカズにヤツの死の真相を全て話したッ!!ワシを悪者として語るのは構わんッ!」
タダヒサは園長を指差し
「何故ヤツが自らの死を隠すよう仕向けたか分かるかッ!!トモカズにパークを憎んで欲しくないからだッ!!それをお前はッ!!」
「たったそれだけのために裏切るのか?」
「裏切った訳ではない、元からお前の味方になるつもりは無かったッ!!始めの事件…お前らが柱を壊しステージを崩す…それを阻止するためにアフリカオオコノハズクを使った…あの場所を狙えば速度は落ち、逃げられるッ!!」
園長は
「もし逃げられ無かったとしても威力も落ちた分フレンズなら耐えられる…と」
「その通りだ、カズヤが助けに入ったのは想定外だったがな…」
「なるほど、つまりツチノコの件もライオン、ヘラジカの件も私の邪魔をしたのは君だったのか」
タダヒサは拳を握りながら
「砂漠にカズヤを向かわせたのも止めるため、そして平原で人質を取るときお前はこう言った…殺してもいいと…所詮奴らには分からないとな」
園長は
「しかし君はこう言った、殺せばすぐに姿が変わり、バレて計画は失敗するから眠らせる…と…ようやく分かった、君は人質を生かす…いや、助けるために眠らせたのか」
「そうだ、お前がその後カズヤを消そうとした時は焦ったがな…だが…ようやく」
すると園長はニヤリと笑った
「それは君が生きていればの話だよ…入れッ!」
タダヒサの周りを男達が取り囲んだ
「私のシナリオはこうだ、これ以上自分の過去をバラされたくない君は私の口を封じに来た、私は必死に抵抗し君を殺してしまう、正当防衛として処理される…おい、そいつを押さえろ」
男の1人がタダヒサを押さえ込んだ
そしてナイフを手にした園長が近づく
「さよならだよ、タダヒサ君」
そう言ってナイフを突き立てた
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