第20話 怒り

グシャ…


ポタ…ポタ…

男が手にしているナイフから血が流れ落ちた



「触んじゃねえ…」


カラン…

男はナイフを落としプリンセスを離した

「なッ…」

ナイフを手にしたカズヤが男の手を貫いていた

「て…てめえ…」

「それ以上…そいつにその汚ねえ手で…」

カズヤはナイフを引き抜き

「触んじゃねえッ!!」

ドゴオオォォッ!!

男を地面に叩きつけた


「……」

カズヤはプリンセスに近づき縄を切った

「怖い思いさせてごめん…俺のせいだ…」

するとプリンセスがカズヤに抱きついた

「そんな事ないわ…本当に…」



その後駆けつけたペパプのメンバーがプリンセスを連れて行った


「ふぅ…相変わらず面倒事ばっかりで嫌になっちゃうよ…さて、次はゆきやまか…寒いだろうなぁ…」


そして


ヒュオオオオオオ!!

「やややっぱり寒すぎだってば…」

カズヤは吹雪の中を歩いていた、そして

「もう少し…もう少しで温泉だ…うおおおおおおおお!!」

全力で走り出した




「ねえギンギツネ、これってカズヤだよね」

「そうね、何してるのかしら」

旅館の前でカズヤが雪に埋もれていた


「いや…雪が凄かったから温泉まで全力疾走したら途中で力尽きた…」

「なんかカズもこんな事してたよね」

「流石親子よね…」



カポーン


「ああ…良い湯だったー吹雪が止むまでしばらくここに居よう」




その頃

「ヒヒヒ、また小僧にしてやられたか、ヌシも大変よのぉ」

タダヒサが笑った

すると別の人影が

「黙っていろ、次の手を考えなければならない…そうだ…アレを使うか、あのガキは今どこに居る!!」

タダヒサは

「あの小僧は既に雪山よ、一体どうするつもりだ」

「手はある…これを使え…タダヒサ君」

「……ヒヒヒ、あいわかった」



「はい、俺の勝ち」

カズヤは吹雪が止むまでの間キタキツネとゲームをしていた

「うぅ…もう一回!もう一回だけ!!」

「いや、もう天気も回復してきたから行くよ」

カズヤはそう言って歩き出した


そしてロッジでは

「さてタイリクオオカミよ、ヌシには今からやってもらう事がある」

タダヒサがオオカミと何かを話していた

「断るよ、なんで私が貴方の言うことを聞かなければならないんだい?」

「ヒヒヒ、そう来ると思っておった…しかし絶対にやってもらうぞオオカミよ」



そしてカズヤはロッジに到着した

「今日はここに泊まろう、なんだかんだで今からじゃ帰るのが遅くなりそうだ」

ガチャ

カズヤはドアを開けて中に入るが

「あれ?アリツカゲラが…居ない?」

入り口には誰も居なかった

「おかしいな、いつもは居る筈なのに…」

そして廊下を歩き始めた

「まあ居ないなら居ないでいいや…っとあれは」

廊下の先にオオカミが立っていた

「ねえオオカミ、アリツカゲラ知らないかな」

カズヤは近づきながら訪ねた

「全然見当たらないんだけど…」

オオカミの目の前に来た瞬間

ブォン!!

「……ッ!!」

オオカミが突然爪を振り下ろした

カズヤはギリギリで躱した

「……で、一体これはどういうつもり?」

オオカミはニヤリと笑った

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