彼が18の時
今よりもっと美術室が綺麗な時。
文化祭前の放課後は夕陽に照らされ二つの影が伸びていた。
黙々と絵を描く男子生徒と向かいに座り覗き込む女子生徒。女子生徒は長い髪を耳にかけて話した。
「ねえ、それ何色なの?」
「青。」
無愛想に答える男子生徒に女子生徒は目を輝かせて言った。
「ふうん。お姫様の着るドレス見たいだね。」
「そう言うテーマだし。」
ただひたすら鉛筆を走らせる男子生徒をチラリと見た女子生徒は嬉しそうに話した。
「私もこういう綺麗なドレス着て見たいなあ。」
そう呟いた女子生徒に男子生徒は顔を上げて微笑み返した。
「着れるよ。」
真剣な男子生徒の瞳に映る女子生徒は少しだけ悲しそうに笑った。
「尚、ありがとう。」
夕陽はどこまでも赤く染まっていた。
はっと目を覚ました真野は部屋の時計を見ると
朝の3時を回った頃だった。
ため息をついた真野は起き上がった。
「懐かしい…」
そう呟いてまた悲しそうに笑った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます