久しぶりに舞い降りたわ

 爽やかな目覚め。とはいかず眠気がダラダラとつながっているような寝起き。言うまでもなく最悪の寝起きだ。3人共(俺も)旅行について、行く、いかない、場所はどこがいいなんて夜中まで起きていたからだな。

 寒さにめげることなくキッチンへ移動。ポケットから愛用のものを取り出して火をつけた。寝起きの一服ってなんでこんなに美味しいのか。トイレに寄ってから布団に戻ろうとして扉を開けると――なんで電気ついてんだ。消し忘れかな? この疑問に直面したら……。みうがいた。


 ごめんなさい


 最悪の失敗をしてしまった。


 みうがいた→その場で謝って怒られる、そのはずが


 みうがいた→悲鳴を出される前に手で口を閉じて、誰にも見られないためにそのまま壁まで押し付けた。これは犯罪のニオイしかない。


 気がつくとみうはボロボロと泣いていた。

「違う! そんなつもりじゃなかったんだ!」

 小声で、でも焦る俺。

 みうは一生懸命に頷いている。

 そっと手離し……出ていく寸前でみうは手でオーバーアクション。指は床を思い切り示していた。


 トイレの前で正座して10分ほど。寒いし、痛いし、衣擦れの音が妄想を駆り立てるし……邪なことを意味もなく考えていた。きっとこの話を聞いた美姫に殺されるのは確定的で、この物語も序盤にあったヤンデレはまゆのハズだったのに。幼馴染が強すぎて怖い。

 

 がちゃり。鍵の開いた音。

 流れるように土下座。

「わざとじゃないんだ。そこをわかってくれ。冷静に話をしようじゃないか」

 無言で頭を踏まれた。

「冷静? 私はいつも冷静じゃないかしら? ねえどうなの?」

「いつも冷静で助かっております」

「私は怒ってないわよ」

「存じております。みう様の深い懐には……」

「前置きはいいから事実を事実のまま私に離してくれる?」


 「……」


「ということで私にも落ち度がありますゆえ和平としていただけないでしょうか?」

「ほう? 本心は?」

「あの2人に黙っていただければなんでします」

ここは引けないラインだ。生死を分けるデッドライン。

「なんでも?」

「俺にできることなら全力で」

「じゃあそれで手を打ってあげるわ」

 嫌な汗かいた……。しかし最悪の事態は避けられたはず。

 

 ぶっちゃけ役得があったのは否めない

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