前回の続きですよ。たぶん……

「「「あけましておめでとうございます!!!」」」

 全然めでたそうにない凍えた声で美姫とみうが。どうにでもなれという気分の俺。ヤンデレからただのデレデレになってしまったまゆ。

 個性強い? 強すぎる? メンツだなー……。


「はっきりとしましょ? 誰が正妻なのかをね」

 もういやだ……。

「そんなの誰も得しないじゃない」

 敵意しかない美姫。喧嘩したときより怖い。てか今までで一番怖い……。

「神楽坂さんはわかってないわね。現実問題、三原さんがこの甲斐性なしの唐変木の心を落としかかってるのよ」

「まったくそんなことねえ……」

「確かに」

 おかしい。味方がいない。おい、まゆ。そこは照れるところじゃないぞ。

「まぁ一番遅れてるのは神楽坂さんだけど」

「ちょっ」

「うるさい」

 伸ばした手をはたき落とされた。フォローしようとしたのに……。

「神楽坂さんはそのままでいいの?」

 余裕たっぷりのみう様。

「よくないわ。でも焦らないことにしたの」

これまた余裕が見える美姫。なにしたのっと聞こえるかのように、みうに睨みつけられた。

「誰か俺に優しくしてくれ……」

 世界は俺に優しくない……。


 みうと美姫の間で両方から凍てつく波動を浴びせられるままでは命が保たない。するっと抜け出してソファーまで行くと、まゆが小さくなって寝ていた。綺麗な髪の毛を手で梳くと、これまた小さな寝息がもれて。かわいいやつだなぁなんて思って眺めながらよしよしと撫でていたら

「寝ているのをいい気にして……」

「なついてる子猫をかまっている……」


 こんな修羅場は仮想の世界の出来事だと思っていました。はい。まる。


 くっそ寒い中神社に行こうと言う人おらず。美姫がまゆを寝室へ連れていき、俺はみうと二人でなにが楽しいのかまったくわからないアイドル番組を見ていた。

「で、神楽坂さんになんて言い訳したのか気になるところね」

「言い訳なんてしてないよ。俺は俺の言い分を突き詰めて、美姫も美姫なりになにかを納得したんだろ」

「わたしにはどう納得しろと? まぁ言い分も聞いてはいないけど」

 みうの表情に微かにくすっと笑顔がもれた。

「聞いても納得するタイプじゃないじゃん」

 俺の表情にも微かに笑顔が出てきて、それを鼻で笑ってしまった。

「貴方って私といるときはかなり冷たいわよね?」

「こっちが素だからな」

「知ってる」

 この短いやり取りが好きなんだよなぁ。


 美姫が戻ってきて3人。みうも泊まっていくということでまゆの部屋に布団を運び込んで寝てもらった。


 ひとり、リビングでタバコを吸いながら。

 俺はどうしたいのかよくわからない。

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