これ、本当に収束するのか?

 長谷川みうについて


「このボロいアパート見たでしょ? 貴方だって笑っちゃうわよね。

 昔はもっといい暮らしをしていたのよ」

でもね、と

「今の高校の入学式が終わって帰ったら。父親は夜逃げ。本当に大切なものだっけ持っていってようだ。

 ただそこに私は含まれなかった、それだけ」


 顔を見て悲しくなった。

「泣きそうなのを我慢して、へっちゃらって言ってても傷は治らない。

 長谷川なら分かってるだろ? なのになんでそんなに自分を安くしたがるんだよ?」

「いっぱい泣いたわよ 毎日毎日。今だって泣くことがある。でもそれをアピールして同情を買うのも嫌だった」

「そっか。」

 短く答える。


 いつだったか。「なんで私だけ『長谷川』なの?


 だったかな? この質問に応えるよ。


「なんとなく俺には、長谷川は愛情を欲してるように見えて。

 そんな娘が嬉しいいことに好きって言ってくれた。

 嬉しかったよ。でも長谷川が求める『好き』は全然違うように感じてた」


「今日は教えてくれてありがとな。そっか長谷川はそう思ってたのか」

 恥ずかしいけど嬉しい。


「今日からみうって呼んでもいいかな?」


 返答はちょっと涙を浮かべた、みうの優しい微笑みだった。

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