そろそろエロいのいくよ?

「寿司食いに行こうぜ」

 安定の美姫との下校途中。夕飯なにがいいか話していたとき、猛烈に寿司食べたい欲が出た。

「無駄遣いはダメー」

付かず離れずの距離で歩いていたが、美姫が立ち止まった。

「今、ダイエット中だから……」

 頬を赤らめて恥ずかしがる姿は本当にかわいい。スカート短くしようが、萌え袖やろうが、この素での反応に勝るものはない。


 その後、強引に寿司を食べに行くことを決定しての待ち合わせである。俺は5分まえに到着していた。12月の寒さが体を引き締めてくれるような感じがして冬は好きだ。

 時間にきっかりの美姫に珍しく約束の時間に来なかった。この遅刻には絶対なにかがある。

 電話をかけてもつながらない。寒さに耐えて待ち合わせ場所で待ち続けていた。


 不意に電話が震えた。知らない電話番号だ。美姫絡みだと思い耳にスマホをあてると

「連絡遅くなっちゃてごめんね。

迷子の男の子のあ母さん探してあげてね。見つかったから今からでも会えないかな? もしかして怒っちゃって帰ってるかな……。」

「良かった……。なにがあったか心配してた。これで安心したー

まだ待ち合わせ場所にいるから来る?」

「行く!」

 

 まゆと寿司を食べながら。

「なんで知らない電話番号でかけてきたん?」

 ネギトロパクっと。

「私のスマホ、充電切れちゃって。見つけた男の子のお母さんに借りたんだ」

 鉄火巻を口にして。

「よく俺の電話番号、覚えてたなあ」

「付き合い長いからねぇ。自然と覚えてるよ」

「まぁ実際、俺も美姫の電話番号とか覚えてるわ」

 大トロを口に放り込みその美味しさを感じていた。


「遅刻しても怒らないんだね」

 満腹で帰り道。バカみたいな質問だった。

「俺が怒って帰ると思ったの?」

「ちょっとね」

 そのちょっとは俺たちが踏み越えられない一線。

 表情さえ見ることはできない。


 でも自然と手を握り合っていた。


 ごめん。謝ることすらできない。


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