第36話 自宅にフクロコウジに追い込まれた

「お兄さん。フクロコウジに追い込まれたって?」


小学生には袋小路ふくろこうじなど

難しい言葉を愚痴ってしまい

疑問符を浮かべる佐々木さんに

頭の上をポンと置く。


「行き止まりになっている道に追い込まれた

状況のことだよ」

「ふえぇ、スゴイですね。なんだか、

カッコいいです!」


羨望の眼差しを向けられ、どうも返答しにくい。佐々木さんには、俺がカッコいい

姿など想像しているのだろうか。

そうだとしたら・・・イヤ、自意識過剰って

奴だこれは。


「フッ、やっぱり話していると

なんだか自然体でいられるよ」

「そ、そうなのですか・・・えへへ」


褒められ照れ笑いを浮かべる。虐待を

受け自殺まで選択をしたことある失望の

面影など感じれないほど今は

満面な笑顔であった。

背後が静かなので振り返ると、よく知る

面子の集団様は表情を歪めていた。


「ハァー、・・・お前ら引くような

顔をするのやめてほしいんだが」

「あ、あはは。だっていつ見ても

慣れないなぁ~と」


集まったランクSの中央前に久坂が

苦笑し答える。なにが慣れないのか

理解できん。


「本当に幼女が相手だと生き生きする」

「そこ、誤解を生む発言を控えろ!」


エリーゼに指を向け制止しようとしても

その思惑などもちろん一抹も応えないのが

金髪碧眼様よ。


「人の趣味をアレコレ言わないけど

警察沙汰にはならないでくれよ由利」

「安藤・・・そう思っていたのか」


憐憫れんびんそうに佐々木さんを

見て俺には紳士的に忠告を告げることに

今まで以上にショックだ。


「・・・色々、ツッコミたい所だけど

貴方ロリコンなの?」


ストレートな問いをする本田、質問。


「ちがう!断じてちがう!!」

「由利さん。あんな風に笑うんだ」


小声なのと距離で聞き取れなかったが

憮然ぶぜんとした表情からして

衝撃的だったのだろう。


「轟どうして憮然としているんだ?」

「・・・えっ?わたし怒っていますか!?」

「フッ、それは誤用だ。

本来は、呆然としている意味だ」

「そ、そうなんだね由利さん!

頭いいうえにカッコいい」


あれ、怒っているから憮然とした尋ねて

窺おうとしたけど、素直な称賛に

罪悪感が奔流のように襲う。そして、

案の定イケメン様のありがたくご迷惑な

言葉を発するのを感じ警戒する。


「・・・・・・犯罪はダメだよ由利くん」

「そんなリアルに言ってわるいんだが、

それ誤解だから!!」


氏家が真面目にそう言われ精神にダメージを

受ける。ぐっ、どうしてこうも集中砲火を

浴びねればならないのか・・・理不尽。

俺の汚い家の前に見上げる同級生ども。


「これが・・・」久坂大将が

「まさか・・・」エリーゼお嬢様が

「あの・・・」毒の言葉使いのイケメンが

「あの狂人者の・・・」本田女帝が

「・・・・・」心優しき轟が

「うわあぁー」本当はぼっち疑惑の氏家が


思い思いの言葉をする。佐々木さんはずっと

俺の裾を握っていてみんなの言動に

警戒状態のまま。そんなこと露も知らない

奴等は絶叫する。


「「「「「想像したのと違う!?」」」」」


轟以外の者達は異口同音で見て感じたことを

言にした。まぁ、どうせ長い年月を

語るかのような建物とか年季を感じさせる

なんて、色々と思っているだろうなぁ。

本当に俺の家は規模だけでいえば

普通のマイホームで、ラノベ主人公が

住んでいてもおかしくないスケールだ。

しかし、ドアは傷がついていて

屋根は昔を味わえるもの。別の言い方、

古くって汚い。

窓や壁はそれなりに普通で庭も手入れしているが、雑草が生えていて一応は生活しているだけ理解できる家。そして、皆が叫ぶと

佐々木さんは――


「ひぃ!?」

「大丈夫だ。安心しろ俺がいるから」

「は、はいお兄さん」


佐々木さんからしたら、大人が急に叫び

出して怖がり頭をなでて安心させる。

なんとか、笑顔を向ける余裕に出来て

俺も安心し狼藉者らに俺は視線を向ける。


「お前らなぁ、佐々木さんがいるんだから

もう少し模範もはん的な行動が

出来ないのかよ」

「あ、あはは由利くんの言う通りだね。

ごめんね怖がらせてしまって」

「・・・ごめん」

「ごめん、ごめん。次は気を付ける

からさぁ」

「・・・悪いわねぇ。傷つかせて」

「申し訳ない」


まさか謝るとは思えず少々、驚いた。

相手が初対面で配慮に欠いていたことに

反省できる唯一の常識能力はあったようだ。


「こう、みんな反省したから佐々木さん。

俺がついているから、少しだけでもいい

から、話とかしてみたらどうかな?」

「・・・はい。お兄さんがそう言うなら」

「そうか、偉いぞ佐々木さん」

「えへへ、好きなお兄さんに

褒められました」


こう頭をなでて褒めると自然な笑顔になる。

虐待の傷と会話が苦手な佐々木さんには

成長できるなら、いくらでも力になろう。


「さあ、時間が惜しいからそろそろ入ろうぜ

みんな。あと安藤、軽い謝りはやめろよ。

見ていて軽蔑する」

「え、えぇと怒っていらっしゃるのでしょうか由利殿?」


恐る恐る尋ねてくる安藤の言葉を無視して

鍵をドアに回して、ガチャと音がなり

ドアノブを掴み開いて俺と佐々木さんが

入ると次々と不本意に入っていく

同級生どもを見て絶対に平穏にならない

ことにため息が三度もでる。


「・・・できたら、クレイジーな人は

一人か二人だけにしてほしいのが

本音だけど・・・我慢してやるか」

「「「いや、言われたくない!?」」」


俺の正直な言葉に不平不満の言葉をするのは

久坂と安藤と本田の3人。

なにがって詰問したい気持ちをなんとか

抑えてるのに苦労した。


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