第31話 クイズの狂人者はそれでも独歩する
「・・・みんな、ごめんねぇ」
二点差で敗北した無駄に明るさを誇る
久坂の奴はその笑顔は影を潜め、
今は
「あ、あっちゃん・・・・・」
「部長・・・・・」
チッ、エリーゼと安藤なにしているんだ。
二人は久坂が落ち込んでいるのに
一緒に落ち込むのが答えなのか。
「フン、負けるなんて誰でもあるだろう。」
「貴方ねぇ、あっちゃんがどんな
気持ちで!」
俺の言葉にエリーゼが激昂する。
どんな気持ちなど負けた者しかない。
それを理解したつもりの方が失礼だろ。
「なら、負けたから一緒に苦しめと
お前は言うのか?それが正解だと
思うようなバカなのかエリーゼ」
エリーゼは俺の怒りを向けられ
驚きうつむき肩を震わせる。
・・・俺らしくない。これだけで怒るなんて
その結果、エリーゼを追い込むような
発言にイヤ、行動になった。
「わるぃ、俺らしくなかった。
・・・・・励ましたりするのが
正しいんじゃないかそう言いたかったんだ」
「・・・・・ええ。貴方の言う通り
励ますのが正しかったと・・・思う」
エリーゼの表情は伺えないが、俯くその姿は
弱々しく見ていられない気持ちになる。
「二人ともそんな暗い顔を知らないで
明るく行こうぜ。・・・今がそうでも
次にはそうしよう!」
ポジティブなら久坂の次にと見ている
安藤は俺達に鼓舞しようとする。
気づかないうちに安藤も成長していた。
「分かってるよ。でも、自分で考えられる
ようになったのは驚いたぜ。
お前がこの中では一番、成長しているん
じゃないか?」
「由利にそう言われると、なにか裏が
あるんじやないかひやひやするんだけど」
「フッ、なんだよその言葉は?」
安藤の以外な言葉に自然に笑みが出る。
「由利殿は、特殊な人生を
そう言うが、顔は笑顔なので果たして
本当か嘘か・・・まぁ、戯れているのは
間違いないな。
いつかは、この男がチームを率いる
もちろん、本当に武将になるわけでは
ないが、もしかしてこの能力はスポーツで
培ったかもしれない。
『それでは、四回戦目――』
「そろそろ大将戦ところか。
久坂、
クイズに大事な人の言葉や応援よりも
優先するべきものがあるのをなぁ。」
さきの見ていてこの才媛の久坂が
こだわり見失ったものを見せるためにも。
「由利くん?」
今は分からないだろうが、見せてやる
俺の・・・求めて唯我独尊のクイズをなぁ!
なるほど、いざ注目される中央に近づくに
つれ緊張がしてくる。
まさか、こんなプロクイズ参加していない
から気楽だろうと考えていたが
これは、なかなか本能がそう思えて
くれない熱狂さだ。
『永平寺正解高校からは、全ての戦いに
圧勝する!彼の実力は・・・正体は・・・
最大注目のダークホースの
やはり俺の登場しても誰も声援などない。
無名だからないのは、俺的には
逆にやり易いこの孤高なのが俺だからなぁ。
「が、頑張ってーー!!」
(この声は・・・ああ!)
綺麗な黒のツインテール長さは肩まである
内気な
応援している。
「頑張りなさいよ!」
「応援しているよー!」
フン、クラスメイトのランクSが俺のために
応援するなんて・・・わるくはないなぁ。
通常の筐体よりもややサイズがある。
イスに腰を落としペンを握る。
『流星左京高校の一年クイズ部の部長。
彼女は各クイズ大会で優勝を飾ること
数えきれず。最大の武器は回答スピード!
その速さから【神速の矢】と呼ばれる』
相手を見ると優雅に歩く姿は自信が
溢れる顔つきに落ち着いていた。
長い黒髪をなびかせ、奴の自信と華麗さを
増強させているようだった。
俺にの視線に気づいたのか一瞥し
会釈など何もなく歩く。
(眼中にないってことか。まぁ、熱い
クイズできるならなんでもいいが)
『それでは、両者がペンを持ったよう
なので始めたいと思います。
決着となるであろう最後の戦いの
第一問。春の七草を全部、書いてください』
まずは、そこそこ頻繁に出そうなクイズだ。
『答えたのは十条さん!
セリ、ナズナ、ハハコグサ、コハコベ、
コオニタビラコ、カブ、ダイコン・・・
正解。これが神速の矢!』
「「わあぁぁぁぁぁ!!」」
最初の問題は十条が答えるのだった。
「由利くん・・・」
わたしは、イスに座って戦いを見ています。
まさか、あの由利くんよりも速いなんて。
「相手はそんなに・・・強いの」
エリも驚愕し、呟くほど。
「うわあぁー、まさか由利が遅れるなんて
油断していたのかな?」
安藤くんは惜しいってそんな反応をして
驚きました。いつもは冷静に分析とか
話とか・・・つまり忖度してしたので、
わたしの視線に気づいた安藤は、
恥ずかしそうに頭を掻きながら答えます。
「なんか、らしくないって
思いましたよね。」
「そ、そんなことは・・・まじまじと
見てゴメンねぇ」
落ち込んでいるからって、少し不快な
言動しないと決めていたのに、
わたしは部長なのに。
「いえ、そんなことありませんよ全然。
由利を見ていると思い出したんです」
「思い出す?なにを」
すると、安藤くんは少年のような純粋な
笑みを浮かべる。
「だって、クイズを
忘れた熱い想いを引き出すなにかが
あるんです!」
安藤くんの熱意にわたしは驚きのあまり
口を開いていたのを遅まきながら気づく。
表情を戻し考えます。
(由利くんはわたしに刮目しろって言った
・・・もしかして、わたしの悩みを
知ってあの発言を・・・・・・)
慧眼。由利くんの鋭い観察眼なら
気づかれても納得してしまう。
けど、由利くん時々だけど勘違いして
場を混乱させるのも優れていることもある。
「フフ、由利くんの刮目しろって
言っていたから、しっかり見るよわたし」
安藤くんの言うとおり何か得られるかも
しれないと、期待して見る。
(ほう、なかなか面白くなってきた。
俺よりも速く答える奴がいるなんて!)
停滞の闘志がようやく動きだす。
『第二問。
最も短い年号は?・・・なんと由利さん
回答でました。
正解!』
スピードを優先して感じてはなく
カタカナで答えた。
『第三問。とある
冒頭が出ます作品名は?拝読します。
医者は探りを入れた後で、手術台の上から
――なんとまたも由利さん回答。
十条さんよりも速い!』
最後の小説。この本の冒頭が何故か
インパクトがあって覚えていた。
『第四問。映像に映るこの建物はなに?』
土手のような物が連なるようになっている。
『先に答えたのは十条さん。
一秒あとに答えた由利さんの答えは
正解!沖縄の世界遺産ですね。』
相手がなんとか答えようと意志が伝わり
これこそ激戦!
「さあ、魂を揺さぶる戦いをしようぜ!」
白熱の焔は爆発する闘志。
決勝でやっと全力を熱さを出せることに
俺は歓喜する。
『第五問。アメリカ二代大統領は?』
画面にサインのごとく素早く書く。
『答えたのはまたも由利さん!
ジョン・アダムズ・・・正解!』
しかしこの熱さの奔流は少しずつ
冷めていく。
「ううぅ。」
対戦相手のむせび泣きが聞こえた。
『第十問。この映像に映る動物は?』
9問連続で正解して勝利は確定したが
クイズは最後まで続き相手のプライドを
傷つかせた。
相手の顔は筐体で見えないが
泣いているのだろう。
(だけど、相手は次に繋がる。
成長を掴もうとしているのを感じる。
フッ、熱さは霧散したが相手は熱ぜぇ!)
『由利さんの回答は、マンドリル・・・
正解!圧倒的です』
「ぐうぅ!」
相手の呻き声しかし戦意はなくても
希望を捨てていなかった。
それからも配慮も遠慮もなく連続正解する。
『最期の十五問。
この漢字はなに』
画面に表示するのは三つ。
鰻
鰤
鰰
魚へんの難読漢字そしてどれこれも
答えてきた漢字ばっかりだ。
『由利さんが答えました。
順番に言います。
由利さん!!』
終わったのか・・・またも勝利の喜びも
知らずに俺は勝った。
「う、うわあぁぁぁぁ!!?」
向かいにいる相手は大敗に
観客はシーンと静まるのだった。
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