第25話 ラッシュダストストーム

2回戦の4戦目。ジャンル数学。

「残念だったな!俺はあの百発百中の

狙撃主の息子なんだぞ。」

確か、予選が始まる前に待っていると

自慢していた奴か・・・。

見た目はどこにもいそうな黒髪で

気付かなかったがなら実力は期待できるか。

「くく、そうか。

さあ、魂を揺さぶる戦いをしようぜ!」

熾烈しれつな戦いを予想した。

俺以外にもそう感じたのだろう。

だが、以外な事が起きたのだ!それは

さすがの慧眼けいがんの俺でも

予想できなかった。

『圧倒的!これが本当のダークホース。

全て正解した由利ゆり選手の

勝利。』

「・・・・・・」

すぐに終わってしまった。

手応えがないにもほどがある戦いだった。

相手の方はポカンと茫然となっている。

軽く礼をし、チームの方に戻る。

これで、準決勝にいける。久坂やエリーゼは

勝利し安藤は、破れた。

最後がスゴく強者を漂わせていたのに

ナニコレ?弱すぎて驚いたよ。

ゆらゆらと歩く俺に安藤と久坂は苦笑する。

「えーと、やっぱり無敵だね由利くん。」

「・・・それは、どうも。」

「由利は、強い・・・うん。」

「そんな聞き飽きた称賛を俺やお前たちが

よく知っているだろう。」

「「・・・・・」」

「まるで、一人でクイズしている

みたいだった。」

二人が沈黙するとエリーゼがスゴく適当な

言葉に納得する。もちろんこういうときの

適当は、頷ける当てはまっている意味で。

はい、2回戦は終わり、終わり。

時間があったので観客席に行き

無駄話をし、三回戦は少ししてから

始めると響き渡るボイス。

次の指定される場所は、多目的室で

旧講義室から、さほど時間がかからず着くと

中は講義室より狭いだろうか。

その中央にこの催すために用意した

イベント規模の2メートルくらいある台と

向き合うように設置のクイズ用にした机。

その交互の後ろには観客席によく見られる

待機のパイプ椅子の五つ。

(そして、この台から右側が運営側で

左が観客席で、その観客席と繰り広げる

戦いための少し小さいモニターが

置かれていると・・・か。)

正直、準決勝なのに拍子抜けの感がある。

職員に案内され台の上に上がり右の席に

座ると、いつ思考が読まれたのか

久坂がその疑問を答える。

「んー、実はねぇ由利くん。ここの座る

観客席だけど、過剰な盛り上げと

声援がないように参加者のみしか

座れないんだよ。」

「参加者だけって、もう少し詳しく。」

「えーと・・・この大会参加者のみしか

座れない指定席になったわけかな。」

「なるほど、大人数に入れるような

場所が確保できなかった時も考えている

わけか。それじゃあ、それ以外は

モニター越しでしか観戦しか

できないルールがあるんじゃないか?」

この推測に驚く久坂だが、すぐに

いつもの表情に戻る。なにその、耐性?

「うん。その考察とおりだね。

残念だけど、想われているあの子はこない

訳だけど、そう気を落とさないでねぇ。」

久坂がうんうん、わかるよ!そう言わんばかりに分かりきた顔で腕を組み思いきり

間違えた考察をするバカランクS様に

ため息と半眼になる。

「いや、別に他の所で見ているのなら

どうでもいいし、お前達の方が

モチベーションがあるじゃないのか。

ほらお前らは、リア充だし。」

すると、3人は肩をすくめる。

「いえいえ、由利くんのような

仲のいい人はここしかいないし。」

「そう・・・名誉とか中身のない会話で

辟易する人しか、いないわたし達よりも

いいはず。」

「人数的には、そうだけど実質的には

由利がリア充じゃないか。」

久坂、エリーゼ、安藤がそう俺の応援に

訪れた三人にそう評する。

もしかしたら、3人は俺の想像できない

苦労をしているのかもしれない。

「・・・・・・」

なんだか、空気が重たくなった気がした。

軽口を言えない敬意があり、それを否定を

冒涜のように思い言葉を発することできなく

なる。これが、ほだされるという感情なのか・・・・・・・。

『時間になりました。それでは、

準決勝を開始します。』

次の司会者は、三十代ぐらいでベテランの

落ち着いて動揺がない人。

対戦相手に座る席を見るとあの

イケメンチームの目黒ネクスト高校。

1戦目は、われら唯一のイケメンの

安藤左内あんどうさない(2回戦の1戦目で敗北した)が立ち上がり歩く

そして、対戦相手のイケメン集団から

温厚そうなイケメンが歩けば

観客席から黄色い声の歓喜のおたけび。

うわあぁー、女が3人が喋ればかしましいと言葉があるがその、百が集まったような漢字になれるほどの熱狂ぶりである。

イケメンブランドの人気すごいなぁ!

「由利くん。実はわたしや安藤くんは

このチームのメンバーとよく戦って

いるんだ。」

隣の久坂がそう説明が始まる。この久坂という奴は女なのにあまりうるさくないのは

助かる。質問攻めがうるさいが。

「あの人は北条氏綱ほうじょううじつなさんで、得意クイズが歴史だったかな?」

「詳しいなぁ、確か・・・エリーゼが

前に中学の頃はアメリカで学校に

通っていたよなぁ。ならエリーゼは

知らないのか?」

俺の視線に不満そうにする金髪碧眼の

常に怒るエリーゼ。もうやめてその顔!

「そう・・・でも、貴方よりも早く

戦っていた。」

「まぁ、予選前にそんな雰囲気があったな。それとドヤ顔なんかして、バカじゃ・・・

ないなぁ、勝つだろ安藤なら。」

エリーゼの鋭き眼光がなりそうだったので

途中からヘンテコな言葉になる。

「あっ、話をしていると始まるよ。」

久坂の言葉どおりお互い座り、

クイズが出題する。

『ここからは、ジャンルは一つに絞らずに

出します。画面の両端にボタンが

ありますので分かった人は押してください。

それでは、早押しクイズ第一問。

ノルウェーのしゅ―――?』

ピンポーン。ボタンの音が鳴らした安藤。

「オスロ!」

『正解!やはりまだ、一問なのか

解答が早かったようですね。

それでは、第二問。これも早押しです。

徳川将軍で最も若くして亡くなった――』

ピンポーン。次は北条氏綱。

徳川家継とくがわいえつぐ

『正解!四歳で将軍となった最年少で

早く亡くなったことで有名ですね。

それでは第三問。』

熾烈な戦いが繰り広げ勝利したのは・・・

「なんとか、勝ったみたいだな!」

俺がそう言うと辛勝した安藤は、

照れ隠しのような笑いをする。

「はは、なんとかねぇ。」

二点差で勝利した安藤で

そして、2戦目エリーゼが立ち上がると

観客席に叫ぶ主に男が。

目黒ネクスト高校一年代表クイズ部からは

鳥居黒駒とりいくろこまが久坂解説で知った。黒髪が肩まで伸ばした

静かなイケメンで理系が得意で

数学や物理の問題ではこのチームでは

最も早く正確に答えれる強敵のようだ。

お互い向かうあう机に座ると言う。

「ただ、静かに答えるだけ。」

エリーゼが昂る心と焦りなど落ち着かせようと唱える。これは、ルーティンで

押し潰れそうな心、実力をいつもと同じに

するためのいつもの言葉を言って精神を

安定させるための一種の儀式であり

鼓舞させる言葉。

もちろんエリーゼではなく相手も。

「勝つ」短くシンプルなルーティンセリフ。

『第一問!解答はペンでの入力式。

上杉謙信うえすぎけんしんの前の

名前は?幼名やどの名前でも構いません。

前に名前が問題です。』

簡単なクイズだけど、エリーゼは

難しいかもしれない。日本の歴史もアメリカ

にいたので、どうしても差があるはず。

『おぉーと、エリーゼ選手が早く正解した

長尾景虎ながおかげとらと解答。』

エリーゼが早く正解したようだ。

相手も動いていたが、どちらに書こうと

迷っていたのが、敗因となったようだ。

漢字のクイズになると鳥居黒駒が正解されたが、エリーゼは漢字が苦手だから仕方ない。

でも、英語や歴史、地理だと正解する。

『これが、最後の問題の十問目。

解答は早押しクイズ。世界最古にして――』

ピンポーン。押したのはエリーゼ。

長い金髪がその激戦を物語るように

舞う、金の一本、一本の髪は輝く。

そのボタンを押す姿は芸術。

「答えは、プラハ城!」

『正解!2戦目はエリーゼ選手の勝利。』

2回連続の勝利。安堵と落ち着かせる

息を吐く。そして、礼を済ませたエリーゼは

戻ってくる。

「勝ってた。」短い喜びを込められた言葉。

「ふん、お前が勝って当たり前だろ!」

「おめでとうエリー。美しかったスゴかった

カッコよかった!」

想いの丈を全て言わんばかりの勢い。

「ああ、本当に美しかった。」

エリーゼが好きな安藤左内は、高い

テンションで言う。

さて、この流れでいうと久坂が負ける

パターンになりそうだ。

だが、案の条と言うのかこうなった。

『まさかの最後のクイズも久坂選手が答えました。差は4点差。全十問中の7解答数。』

「やったーーー!!」

圧勝したはずの久坂が歓喜の叫び。

それ、圧勝した喜びじゃないだろうけど

期待の上下もナナメにめ進む

久坂らしい喜びの表しだった。




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