特別篇バレンタインデー

由利騎魅正ゆりきみまさが高校入学する

前の中学三年の頃。

家が近くなる距離に住宅街の丁字形の

左右の道に分かれる真ん中に

最近よく会う小さい女の子と隣は

保護施設の人がいた。

「あっ、お兄さーーん!」

俺に気づき手を降ってやって来るのは、

佐久間香菜祢さくまかなね

小学生三年生の黒髪ツインテールの

女の子である。

「ああ、佐久間さん今日も元気だな。

・・・おっと!」

勢いよく走りそして、ハグをするのだった。

ダッシュでハグされると、ほぼ体当たりと

変わらないなぁ、そんな益体の無いことを

考えながら頭を撫でる。

こうされると、嬉しそうに反応するし、

もっと、もっと!そう要求もよくされる。

暫くそうしていると、満足したのか

離れ上目遣いで見る。

はしゃぎ過ぎたのか頬が赤い。

「あ、あの・・・・・お兄さん・・・

こ・・・・これを受け取ってください!!」

袈裟懸けさがけのバッグから

ピンクのリボンを十字掛じゅうじが

した箱と手紙もある。

手紙は、落ちないようにしているなら

小学生にしてはスゴい・・・けど、何故か

ハート型なのはバレンタイン仕様だろうか?

誰から見てもバレンタインチョコである。

「もしかして・・・俺に?」

母親以外から受け取った経験がないので

ここは、勘違いしないよう確認する。

「・・・・・・・・はい・・・・・。」

今にも消えそうな声で肯定するのだった。

「ありがとう。まさか、貰えるなんて

思わなかったから嬉しいぜ!」

「そ、その・・・心を込めて・・・

作ったんです!!」

声高にそう言う佐久間さんは、俯き始める。

「作った・・・それじゃあ、佐久間さんの

手作りチョコと?」

「・・・・・は、はい。」

なるほど、羞恥に悶えているのは手作りと

伝えると、恥ずかしくなったわけか。

「ありがとう、最高に嬉しいぜ!」

「はわわ!?・・・・・さ、最高にうれしい

なんて・・・・そんな・・・えへへ!!」

顔が満面なく赤くなりながら、

嬉しそうに笑う。此方も此方も見ていると

嬉しくなる反応で、つい微笑む。

「そうなると、ホワイトデーを返さないと

いけなくなるから、好きなお菓子とか

訊いてもいいか?」

「へへへ・・・へぇ?

す、好きなお菓子ですか・・・えぇーと、

チョコレートかな?」

チョコレートだと、色んな種類があるのだが

・・・まぁ、当日になったから考えるか。

「お兄さんもしかして・・・

ホワイトデーきたいしてもいいのですか?」

「ああ!」

答えるとまたも、はにかんで俯く。

暫くすると、嬉しそうに笑い声が聞こえる。

「折角、会ったのだから一緒に遊ぶか?」

あそこで俺のために待っていたのなら

遊ぶぐらいしてもいいだろう。

「お兄さんと遊ぶ・・・うーん、

何をして遊ぼう?」

腕を組み悩む佐久間さん。今まで遠く

見ていた保護施設の20代の女性が近づき

アドバイスをする。

「それでしたら、いつも遊んでいる。

クイズとかどうでしょう?」

「クイズ・・・ですか?」

俺の疑問に笑顔で次の言葉を言う。

香菜祢かなねちゃんは、

お兄さんと親しんでいる貴方に憧れて

クイズのために知識を増やそうと

勉強とか本など色々がんばっていて

可愛いんですよ。」

まるで、自慢の娘のように語り始める

施設の女性の言葉に驚く。

俺なんかに憧れるなんて・・・。

「ま、まってぇぇぇぇぇ!!?

それは、それだけは言わないで!!」

必死になって止めようとする佐久間さん。

「はい、はい。どうですか香菜祢ちゃんと

クイズは?」

「そうだな・・・よし、

佐久間さんやるか!」

「うん!」

場所を近くの公園のベンチまで移動する。

アプリとかグッズなどない

お互い声だけで出題して、回答するだけの

クイズを始める。

「それじゃあ、まずは俺から・・・

2月14日は、なんの日かな?」

「・・・バレンタインデーです。」

「正解・・・はは、簡単すぎて

機嫌を悪くしてしまったか。」

「はい!子供、扱いはやめてほしいです!」

そうは言っても、中学三年と小学三年だと

離れているし、子供扱いはするだろう

なんて言ったら怒るから言わない。

「次はわたしの番です。覚悟して

ください、お兄さん!

バレンタインデーは、偉い人が亡くなって

祝日になりました。

その偉人は、誰でしょうか?」

おぉー、まさか、小学三年なのによく

知っているなぁ!

知っているけど、俺は腕を組みう~ん

唸りながら長考の構えの演技を始める。

「そうだな・・・聖人

ヴァレンタインかな?」

「正解です!お兄さんやっぱり

スゴいです。」

それから、佐久間さんが施設に帰る時間まで

クイズをしていた。

「それから、出題続け帰宅の時間になると

佐久間さんは、すごーーい問題を出すっと、

言って帰っていた。」

正午でいつものように呼ばれた俺は

久坂やエリーゼと屋上で食事することに

なるのだが久坂は、スマホを鳴り響き

確認すると、用事が出来たで去っていく。

そうなると・・・久坂はいない。

怒るブロンドヘアーのエリーゼと二人に

なり、佐久間さんの話をしろ・・・

下知に従うのは癪なので拒否したが

口論になり結果的に語ることになった。

「言い逃れできないほど、嬉々として

語るとロリコン以外の何者もない。」

「だから、ロリコンじゃない!

どこが何者ないだよ!!」

まったく、この説明でそう判断するなんて

早計にもほどがあるだろ!

もしかして・・・・・知り合いに

ロリコンでもいたのだろうか・・・

いや、それこそ早計か。

「でも、わたしの国では女性が男性に

プレゼントなんて無かったわね。

日本ぐらいだよねそんな風習があるのは。」

忘れていたがこの人はアメリカ出身で

このイベントに疑問を覚えるのは当然か。

「それと・・・貴方、絶対に来年には

バレンタインチョコで大変な事に

なると思うわ。」

「はぁ!?大変な事って・・・・・

バレンタインチョコを家族以外で

貰ったのは、佐久間さん以外ないのにか?」

俺の問いに頷いき答える。

駄目だ・・・分からないけど、エリーゼが

必然そうなるようなトーンで言われると

不安になってくる。

俺とエリーゼはこの正午ずっと

過去のバレンタインデーを話題で

機嫌を悪くなるのだった。

まさか、女子と二人で話をしてブルーに

なるとは昔の俺が聞いたら地獄だろうなぁ。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る