第13話由利はロリコンだった?

わたし久坂玄瑞くさかあつは、

土曜にな、な、なんと!

ブロンドヘアーがキレイでファンタジーで

とにかく語彙力が低下するほど

美少女なんです!スゴい本当に、うん。

お互い高校一年で休みの日になれば

必ず会います。

と言うか毎日、会っていますね。

そんな二度と古今東西の美少女と

手を繋ぎに一緒に歩いています。

いつも歩く並木道は、

特別に感じますね。

これは、ドキドキとかキラキラしているから

だね。うん。

わたしの心がそう錯覚させるでしょうか。

そうだったら、素敵ですね。

「あっちゃん!

・・・その気になる映画の前売り券が

二つあるんだけど・・・。」

隣のエリーゼは、頬を赤らめ

視線を泳いでいます。

つい好きなんじゃないかな?など

勘違いしそうになるので

すぐに取り繕います。

ただ誘うのが恥ずかしいのは

重々に承知しています、はい。

「うん。

もちろんいいよ。」

エリーゼは、嬉しそうに明るくなり

自分の表情が今どんなのか

想像ついたのでしょう、

コホンと口にして取り繕っています。

・・・可愛いです。

「か、勘違いしないでほしいのだけど

これは、木津川先輩とか

岡崎先輩とかに誘ったけど

断れたから仕方なくだから。」

「うん、そうだね。」

これは、いつものツンデレだ。

「信じていないでしょ、

あっちゃん!」

半眼になって睨むのだけど

本気に睨んでいるわけではなく

演じているのがまるわかりで

けっしてツッコまないと決めています。

本人は、恥ずかしいのあまりに

反射的にそう誤魔化すのは

最近になって知ったから。

「うぅ!・・・・・

あれ、アイツじゃ?」

エリーゼが前を向きなにかを気付きました。

視線の方にわたしも向けると

なんと並木道の端のベンチに座るのは

荒れた黒髪と鋭い眼光を持つ高校男子の

由利騎魅正で・・・えぇーーー!?

「由利くんだね。

おーっ!

んんん!?」

背後から想い人のエリーゼに口を

押さえられ止めました。

マンガとかアニメしかやらない方法だと

思たんだけどリアルに遭うとは

努々、思わなかったよ。

「待ってあっちゃん・・・

アレを見て!」

ようやく解放されたわたしは

その方向を見て・・・言葉を失いました。

小さい女の子が由利くんに楽しそうに

話をしているからです。

あっ、勘違いしないでほしいのですが

由利くんが好きとかじゃないですよ。

「えーと、由利くんの妹かな?

小学生の妹さんなんているなんて

知らなかったけど、

可愛いよね。」

黒髪ツインテールでずっと

太陽のような笑顔。

もはや兄妹なのが信じられないほど

対極的。

由利くんの場合だと

普段は怒っているような顔だし

笑うとしてもクイズとかで

熱くなり・・・くく、あははは!とか

哄笑するのが彼だからね・・・うん。

「・・・待って!

アイツがあんなに微笑まない!

つまり別人物の可能性がある。」

エリーゼの推測にわたしは

もう一度だけ凝視します。

「やっぱり由利く・・・

違う。

由利くんは、あんなに笑わない!?」

驚愕するわたしにエリーゼは、

額の汗を手で拭います。

「もしかしたら兄とか弟の可能性が

出てくる。

もはやそうとしか思えない。」

エリーゼの推測にわたしは

驚きます。

慧眼に。

「確かにそうだね。

じゃあ、通りすぎるか話しかける?」

質問にエリーゼは、わたしを真摯な

眼差しで見ます。

「いえ・・・ここは、

潜んで確かめよう!」

・・・それは流石にどうなのだろう。

「エリーゼ・・・それ

ストーカーじゃないかな?」

「ち、ちがうから!

よこしまな目的で尾行するのがストーカーであって、わたしたちの場合は

捜索で今日だけだから違うはず!」

なんだか自分に言い聞かせている

みたいで友達として止めよう。

そう決意して口を開こうとすると。

「あっ!」

エリーゼが驚いたので

その驚いた所を見ると、

由利くんが立ち上がって手を差し出すと

妹らしき小学生が

頬を赤らめゆっくり手を動かします。

由利くんは、根気よく握るまで

優しく待ちます。

そして、手を掴むと妹(100%違う)さんが

さらに嬉しそうで恥ずかしそうにして

・・・・・。

「エリーゼ!

追跡しよう。」

由利らしき人物と

妹さん(どう呼称しよう?)が

歩いてわたしとエリーゼは追跡します。


俺は、不幸な小学生四年生の佐久間香菜祢さくまかなねと手を繋ぎ

歩いていた。

・・・いや、違うだろ。

憐憫な感情をこの子にあわれむ感情で

向けるのも話すのもよくない。

やることは、この子が楽しませること

こそが最重要なんだ。

「佐久間さん良かったら家に来ないか?」

「はあぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

背後から甲高い叫び声がして

振り返る・・・誰もいない。

(・・・・・いや、路傍ろぼうの人

の視線が一ヶ所に向けているとなると

あそこにその叫んだ奴がいるわけか。)

「・・・お兄さんどうしたの?」

上目遣いで不安、恐怖で表情も握る手には

僅かに力が増して震えるのが

伝わる。

・・・そうだな今はこの子のことだ!

「いや、なんでもない。

それよりどこに行く?」

不安を払拭させようと

慣れない微笑で明るく答える。

「えーと、それじゃ・・・

家!」

「わかったそれじゃ行くか。

佐久間さん。」

「ちがう!」

「え?」

年相応に頬を膨らませ機嫌を悪くして

しまった。

どんなミスをしたんだ俺は!?

「かなね。」

「・・・・・あー!

行くか香菜祢。」

「うん。」

当たったか。

当たったようだ、よかった。

名字でさん付けで呼ぼうとすると

先みたいに機嫌を悪くなるのだ。

理由を訊ねると距離感があるとか

などなんだか要領えない返事。

それはともかく、

小学生でもちゃんとか下の名で

呼ぶとロリコンとか警戒されたり

馴れ馴れしいとか思われるから。

(そう本人が許可をもらっても

どうしてもさん付けで

呼んでしまうよな。

久坂とかエリーゼとか安藤の近い年なら

平気なんだけどな。)

並木道から今は生活道路に

歩いている。

つまりドラマやアニメで見る

左右に家やお店など林立していて

その中央の道路が狭く車が入るのも

やっとのあれだ。

狭隘道路きょうあいどうろ

呼ばれる。

その端の場合だと別の呼び方だが

まっ、長いから説明はやめとく

としよう。

「わたし・・・お兄さんと会うのずっと

楽しみにしていたよ。

・・・だからまた、クイズとか

したい。」

悲痛を耐えに耐えようやく

遊べることに喜色満面な香菜祢に

俺も子供の時にこんな純粋な時期は

あったかなと感慨深く感じた・・・って

まだ16なのにいや、普通かな?

とりあえずいつもの俺らしく答える。

「そうか・・・でも、最後に会ったのは

2週間前じゃなかったか?」

「そ、それでも長いんだよ

2週間は!」

まっ、小学生の場合だとそうなのだろうな。

高校生の身として大人の時間が経つのが

早い、早いと嘆いているのを聞いても

それしか知らないのかとツッコんでいたが

もしかしたら俺もそちらがわに

近づきあるのかもしれないな。

「まっ、高校生になると

時間が少し早くなることかな?」

「どうして分からないような

声なの?」

疑問系なのか訊かれる。

「それは・・・大きくなれば

分かるだろう。

まっ、その頃にはこんな風に

手を繋いでは、いないだろうな。」

「で、でも!

わたしが成長しても手を繋いで

ほしいなぁ・・・あわわ!?」

?なぜか恥ずかしく混乱する。

別におかしなことはないし、

恥ずかしがることないのだが。

「フッ、そうだな。

かわらずにこうしよう。」

いつかは、やめる時が訪れるが

その時になれば自然にやめるはず。

「わあー・・・うん!」

屈託な信頼される笑顔をこれで

何度目になるかやはり

なんだか慣れないなぁ。

「やっぱりロリコンだ!!」

「――!?」

香菜祢は、怯え俺に袖をつかむ。

またも叫び声が背後からした。

振り返るが・・・それらしき人物は

周りの反応からして角にいるようだ。

(それにしてもどこか

聞き覚えがある声だった気がするな。)

「こ、こわいよ。」

「大丈夫だ・・・俺がいるから。」

頭をゆっくりなでる。

すると落ち着き始める。

「う、うん・・・大丈夫だよ。」

「よし、行くか。」

そして香菜祢が怪訝や不安させないため

自然に背後を一瞬だけ振り返ると

案の定だれかが隠れる。

(追跡されている?

まさかアイツ等か!?)

だとしたら、家に行くわけには

いかなくなった。

そうなるとあそこにたどり着き

助けてもらうか。

「少しより道をしてもいいか?」

「うん、いいよ。」

手を繋ぎ歩き追跡されるが

なにも行動を起こらず

自然にこの子に振るまいたどり着く。

そこは、交番。

「すみません、あの電柱に

怪しい人が!?」

俺の言葉に義憤を燃やす警察官。

「わかりました。

すこし調べてきます。」

警察官が電柱に進みなにか質問する。

電柱が邪魔でよく見えない。

「お兄さん、なにが起きているの?」

「そうだな・・・俺と戦う

秘密結社かな?」

もちろん頭から出た戯言のような

その場しのぎの台詞だ。

「秘密結社・・・お兄さん。

カッコいいです!」

「ああ。」

キラキラした目で見てくる。

罪悪感で視線を逸らす俺は、

電柱を見る。

(なんだか見覚えがあるような・・・。)

警察官がストーカーを連れて・・・。

「久坂とエリーゼ・・・

なにを知っていたんだ!?」

俺が飽きれ、ため息が出る。

「あ、あはは、こんにちは由利くん。」

久坂は、微苦笑で挨拶する。

「あ、ああ。こんにちは?」

反射的に挨拶した俺・・・あれ?

「あなた、まさかわたし達を

不審者扱いとはねぇ。

この美少女を!」

はい、はい自画自賛はいいので。

この現状を見るに二人が追跡した輩って

ことになるのか。

それにしても・・・俺の鋭い慧眼を

持ってもなにがどうなって

そうなったか推測もできない。

「こちらのお二人は、

お知り合いですか?」

警察さんは、体育会系のように爽やかに

微笑んで訪ねられる。

「いえ、赤の他人です。」

「「ええぇぇぇぇぇぇ!!?」」

疑われた二人は絶叫するのだった。


それからは、一応

まことに一応、俺が知り合いと発言で

疑いは晴れ警察官殿は

次から気を付けてくださいと

これも爽やかに言って

交番に戻り

俺達四人は、とりあえず

近くの公園のベンチに座り事情を話す。

「・・・なるほど俺が小さい女の子と

話していたからロリコンとか

思われたわけか。」

「そ、そう。

だから由利くんに尾行するのは

反対だったけどラブラブだったから

危惧したわたしは

遺憾ながら追跡しました。」

語る久坂は、なんだか

予防線を張って語って聞こえるなぁ。

「その答えが遺憾だが・・・

当のエリーゼ殿はなにゆえ

俺に尾行した。

そして叫んだのもお前で当たっているか?」

もう顔を見てすぐに誰が叫んだか

理解した。

久坂のツッコミは、鋭いツッコミではなく

困惑や驚愕などの声量だが

エリーゼの場合は、鋭利な刀とは

言わないがその一方手前ぐらい

鋭い。

それにしてもツッコミにうるさく

なっていないか俺は・・・

将来はツッコミ評論家になりそうだな

コイツらのおかげで。

さて、バカなことは思考は中断して。

「し、仕方ない。

あなたが幼女に笑っているのを見て

危険視するのは仕方ないと思う。

普段の振る舞いが悪いから

そう考えてしまったわけだから!」

エリーゼが俺にロリコンの証拠をと

なるものを説明するのを

ロリコン?と疑問符を浮かびそうに

首を傾ける香菜祢。

話は続く。

「そして単刀直入に言わせてもらうけど

あなたはロリコンなの?」

「ちがう。」

否定する。本当にちがうので否定した。

「なら、普通に笑みを浮かべたのを

どう説明する?

返答しだいでは、遠慮なく阻害させて

もらう。」

真剣な目で喋るエリーゼ。

香菜祢かなねに心配してくれるのは

立派で好感を持てるが

俺の信頼が・・・いや、不敵に笑って

いたのが原因かもしれないかな?

「・・・詳しいことは月曜に話す。

とりあえずこの子に元気になって

ほしいから明るくしている。」

さすがに本人がいる前で話すのは

ためらう。

「・・・お兄さん。」

涙目で俺の裾を掴み上目遣いで見る。

安心させるため頭を撫でる。

「それじゃ、妹さんなんだね。」

久坂の言葉に香菜祢は、首を傾ける。

「久坂はそれはちがう。」

「え?さきお兄さんって?」

ロリコン疑惑がなんとか晴れると

妹と判断されたか。

思考をトルネードのごとく回転するのを

イメージする。

「この子がそう呼んでいるわけで

いとこでもないし

そう慕ってくれるわけだ。」

すると二人はポカンと茫然自失ぼうぜんじしつする。

「・・・お兄さんこっちの人達は?」

裾を引っ張り訊ねる。

「そうだな・・・この黒髪ロングが久坂で

この金髪バカがエリーゼだ。」

「ちょっと!

わたしだけ辛辣じゃない!」

すると香菜祢は不機嫌になる。

「お兄さん・・・仲よすぎるよ!

もっとわたしに話をしてよ!!」

「わ、わかったから落ち着け!」

駄々をこねるなんて珍しい。

頭を撫で満足してくれた。

そして俺にさらに距離を縮み

手を繋ぐ。

不安なのかな?

「・・・なら、家に行こうとか

聞こえたけど

さすがにわたしの気のせいだよね。」

こめかみに手で押さえるエリーゼ。

「うん。そうだよ。」

香菜祢が認めた。

そしてこうなる。

「ロリコン!!?」

エリーゼが叫びあげると指をさす。

「ま、まってなにか勘違いしているぞ!

母親がいるわけで

変な想像のような展開なんてないからな!」

俺が必死に本当の事を説明という

ツッコミのようなトーンで

遮る。

そしてようやく説得を終えたのが

夕陽が沈んで暗くなってからであった。

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