第11話正午で遭遇する尊い形

この日、平日の学校は当たり前だが

正午になれば

食事タイムで喧騒になる。

つまり、俺は静寂の地に向かっている

わけだ。

(静かな場所は、中庭にある

東屋から距離があるベンチとか

廃部になった部室・・・

さて、どっちにするか。)

ぼっち飯をどこで食べるか

由利騎魅正は、あごに手を触れ

廊下を歩いていた。

そんな考察していたとき

背後から自分の名を呼ぶ声。

「あっ、由利くーん!」

「この・・・声は・・・やっぱりか。」

振り返れば

学園では知らない者はいないと

謂われる(俺はまったく知らんが。)

長い黒髪をゆっくり流れるように

動くのは、久坂篤。

いつものきらびやかな笑顔で

手を振ってくる。

「あはは、由利くんだけだよ。

そんなあからさまな嫌な顔をするの。

でも話していて面白いよ。」

なにが面白いのか嬉しそうに笑う・・・

もしかしたらMなのか?

そんな変態かもしれないな。

「・・・こんにちは。」

金髪碧眼の久坂の

同級生エリーゼ・アダムスは、

露骨に嫌な顔で挨拶する。

推察するに悪く言う理由もないので

そんなアクションができず

歓迎とかしたくないけど

折衷案としてこの挨拶なんだろう。

さて、挨拶されたら挨拶がえし。

「こんにちは。」

手を挙げ挨拶(笑顔なし)

そんな挨拶を目撃者の久坂は、

ニコニコなんだが・・・。

「二人とも最近なんだか

仲が良くなってきてるよね。」

「「違うから!」」

異口同音。完全に同時に否定を言う

俺とエリーゼ。

・・・これが勘違いのおおもと

気がしてきた。

久坂は俺達の否定の言葉など

仲のいい行動として受け取ってるよこれは。

笑顔だった久坂が、暗くなり俯き始める。

「?

どうしたんだ久坂。」

俺の問いに少し間が生まれる。

・・・・・本当にどうしたんだ一体。

何度も言動を振り返ても分からない。

そして、エリーゼも同じく不安そうに

なっている。

俺の顔を見て、なにか知っていると

表情で問われ俺は、首を横に振る。

久坂が顔を上げると

複雑そうにして重くなった口を徐に

開く。

「エリーゼが他の人と仲よく話すの・・・

何て言うか嬉しくないと、言うのか

イヤで・・・あわわ、

な、なんだか変なことを言ってしまったね。

ご、ごめん。

ちょっと混乱していたみたい、

あははは・・・。」

心配させまいと・・・だろうか。

やや拙い笑い。

「・・・違うよ。」

両手で久坂の左手を掴み始めるエリーゼ。

「・・・エリーゼ?」

「わたしが好きなのは

あっちゃんだけだから!」

久坂に向ける真摯な瞳のエリーゼは、

想いを口にした。

「・・・そ、その・・・・・

ありがとう。」

熱い視線と想いに俯き赤くなる久坂の反応に

エリーゼは、窓に視線を移す。

恥ずかしかったのだろう。

「も、もちろん好きなのは

友達としてだよ。」

久坂は、満面の笑顔になり走る。

「エリーゼわたしも、

だーーーい好きだよ!」

抱きつく。

抱きつかれたエリーゼは、

顔全面を赤らめ戸惑う。

「え、え!?」

そんな一部始終を見た俺は。

「アルティメットぎょうこうーーーー!」

魂の叫びをあげる。

「わあ!」

驚きと悲鳴の久坂。

ハグを中断して怪訝そうにする。

「っー!」

エリーゼも驚き俺に鋭い目を向ける。

ちなみに他の人達はヤバイ奴だと

引かれ離れていく。

「ど、どうしたの由利くん?」

久坂の疑問。

その問いに素晴らしい光景を見れた

お礼として誠心誠意で答える。

「美少女同士が好きと台詞ありがとう

ございまーーーす。

こんな・・・場面が見れるなんて

こんな嬉しいことはないよ。

あえて、言おう!

我が一片に悔いはなし!

そして、二人とも朗報だ。

トルコの世界遺産の

カッパドギアだけど結婚式に

できるんだぜ。

簡単じゃないだろうけど、

俺が全力で協力してやるよ!」

イヤー、あまりに熱く語り過ぎて

二人放心状態になってしまった。

さすがに引くような。

そして久坂は恐る恐るに訪ねる。

「え、えーと・・・

結婚なんてわたしはまだ早いと

思うのだけど・・・。」

蚊が鳴くような声の久坂。

「そ、そう!

急に変な事を言うのはやめてよ。」

いつものような強気じゃなく

困惑が増しの声音と表情で言うエリーゼ

そんな二人の反応に・・・。

「やっぱり百合百合は最高だぜ!」

廊下に響く音量で叫んでしまい

教諭から怒られるのだった。


屋上に手すりを乗せ清々しい

顔で青空を見上げる由利くんは言う。

「今日も快晴だな。

そして心も晴れ晴れしいものだ。」

わたし久坂篤。

一緒に食事を誘ったけど

今でも信じられない。

一緒に食事に!

まだ、そんなに経っていないが

由利くんは、孤高を愛しているゆえ

誘いは、100%断り

クイズに熱くなると凶変する

すこぶるの変人なのだ。

なのでクイズでエサにしないと

釣れなかったりするので

完全にダメ元で誘ったらまさかの

二つ返事。

そしてこの爽やかな笑み・・・。

「どうしようエリーゼ、

いつも以上におかしいよ由利くん。」

隣のエリーゼに声を潜め

相談する。

「うん。

あの晴れた顔・・・気持ち悪いし、

いつものあの荒んだ態度もないのは

気になる。」

彼だけ辛辣だなエリーゼは。

でも、由利くんは、いつも通り?と言えるし

何て言うか分からない。

なので少し質問を敢行する。

「・・・由利くん

どうしてわたし達と食事を?

・・・誘った身としては変な質問だけど

いつもそんなじゃないなぁーと

思いまして、はい。」

途中から敬語と拙い台詞になる。

どう思ったのか由利くんは、

はっ!となにかを勘づいた反応をする。

「すまない。

分かっていたんだ・・・俺がいることで

こんなことになることは。

でも、杞憂だと決めつてしまい

こんな事態に・・・。」

ど、どうして懺悔を!?

色んな人と話しているけど

由利くんは、かなり特殊な人だ。

対処は深く考えずに答えよう。

それが答えだ多分おそらく。

「よ、よく分からないけど

そんな事態ではないと

思うけど・・・。」

「貴方が杞憂とかなにか言っているけど

そんな心配するような

他人でもないでしょ、わたし達は。

だから、これくらい普通だからね。」

エリーゼは、自分の作ったお弁当を

咀嚼後にそう強気で答える。

「そうか・・・ありがとう。

なら遠慮せずに百合百合なやり取りを

この目で焼き尽くすぜぇ!」

拳を天に向けこれで何度目になるか

叫ぶ。

「やめなさいよそれ!

周りが引いているんだから!?」

癇癪を起こすエリーゼ。

それよりもわたしは

気になる言葉を訊くか悩んでいたけど

思いきって訊こうと決める!

「由利くんのいつも言うゆり・・・

てなに?」

「そうよね。

最初は花の言葉とか思っていたんだけど

ニューアンス的に違うし。」

エリーゼも手をあごにあて考察。

由利くんは、目を見開き

ひどく驚いていた。

そ、そんなに常識的な言葉なのかな。

「・・・まさか、知らないというのか!?

分かった!

説明しよう。」

・・・・・・・え?

つ、つまり。

「あ、貴方!

なんて趣味をしているのよ!!」

エリーゼが頬を赤らめ詰問する。

まさか、女の子同士が恋なんて

知らなかった。

それとそれを崇拝するほどレベルの

人がいることも・・・あれ?

そんな人は由利くんだけではないかな。

かなり変だし。

「これで、新たな歴史を刻んでしまった。

百合百合の世界的大規模なイベントを。」

そして意味やそんな嗜好しこうの人も

知ってしまった今は、

恥ずかしい。

あと、言っていることが

支離滅裂すぎる。

エリーゼは、好きだけど

女のどおしだし、

想い人が同じ考えとは違うだろうし。

「あーもー!!

杞憂とか貴方が言っていたけど

わたしが一番杞憂だったわよ!

この変態!」

エリーゼ本当に由利くんにはすぐに

怒る。

「ははは!

変態じゃない。

至高で素晴らしいこの趣味を

知らずんば、濁っているのだ!」

そして由利くんがその百合百合に

変なテンションで

・・・疲れた。ツッコミとか

期待される視線に。

そして予鈴が鳴り、

昼食と開放的な時間を終わりを告げる。

わたしとエリーゼは、ベンチから

立ち上がり由利くんは、

手すりから離れ

ついていく。


そんな3人を

屋上の出入り口の上から

隠れ潜み観察する者がいた。

「あれが今回の一年代表の奴等か。」

ジャンプし、出入り口の前に着地する。

その男は平凡な容姿だった。

鋭い眼光の一点を取り除いては。

「よく騒ぐ選ばれし者よ!

ランクSの久坂、エリーゼ・・・

いつか我らとは、聖戦で合間見えるだろう。

そして・・・」

男は一層、鋭い目をさらに

猛禽類のごとく鋭くなる。

「あの男、由利と言ったか。

奴は一体なにものなんだ!」

蠢く存在。

その存在の戦いはそう遠くないのを

この男とわずかな者のみしか

知らないのだった。



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