食わず嫌い

 港町育ちの僕は、どちらかというと魚の方が好きなことを、過去のエッセイにも書きましたが、海から遠いところで育った妻は、あまり魚の種類を食べたことが無いそうです。


 そもそも僕が炊事担当になったのは、一番最初に書いた”干したカレイの煮つけ”事件

https://kakuyomu.jp/my/works/1177354054887150515/episodes/1177354054887151013

のように、基本魚をあまり食べない生活だったからのようです。

 それでも、毎日肉ばかり食べてもられない訳で、たまに魚を提案すると、決まって答えは


『ホッケの開き』


と、メッチャホッケ推しでした。

 それ以外にあるとすると、シシャモ(本物ではないロシア産)、秋にサンマと焼き魚としては、この3種類でローテーションでした。

 北海道ですから、焼いて食べれる魚はたくさんありますが、キンキ(キンメダイ)やアブラコ(本州で言うアイナメ)は、子供のころ安い魚で良く食べていましたが、今では漁獲な少なく、非常に高価なお魚になってしまってます。当然、食べたいけど買いません(笑)。でも、全国区で美味しい魚”サバ”があるので、塩サバ(フィレー)を提案すると


『え”-、サバぁ?』


的な反応になり、買うのを躊躇してたんですが、僕だけ食べるからと塩サバを買い、ガスコンロで焼いていると


『なんか凄く良い匂いするね』

『良い匂いだけじゃなく、脂ものって美味しいんだよ』

『ふーん、それで一口だ食べ見ようかな?』

『ちょっと骨に気を付ける必要はあるけど、美味しいから食べてみなよ』


そして出来上がった塩サバ、サバって魚の中でもサンマ位に皮が薄いので、魚の皮が苦手な人でも食べやすいと思うのですが、それでもその薄い皮を切れに避け、骨の少ない尾っぽの方の身を一口


『あ、美味しい、それに脂がのってて味が濃い!』

『でしょ?しかも安いとなったら買わない手はないでしょ?』

『ホッケも好きだけど、サバも好きかも』

『このサバフィレーも元々冷凍だったものを買うとして売ってるから、一年中食べることが出来るのも便利なんだよ』


いまでは、当たり前のように塩サバを食べるようになった妻、先日たまにサバにしようと買い、さっそく家で焼いて食卓へ上がったサバを食べて


『サバはあぶらのってて美味しい』(ドヤ顔)

『いや、って、あたかもお姉さんが僕に勧めたような言い方になって無い?(笑)』

『そう?それは失礼しました(笑)』

『しかし、育ったところ違うと、サバも食べないもんなんだね』

『もしかしたら、たまに出てたかもしれないけど、元々青魚苦手だったから食べてないだけかも知れない』

『それは損してたね』


 妻の食わず嫌いはまだまだありますが、それはまた追々にでも。

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