プレ結婚記念日旅行

 今年銀婚式を迎え、たまには記念日的なことをしようと、老舗温泉旅館を予約したことを書きましたが、今回の、というか今日の旅行とは別物なんです。


 これを書いている今日は、10月21日(月)で明日は即位礼正殿の儀の行われる日なので祝日なわけです。しかも偶然ではあるようだけど、来月に延期さらたパレードに参加する要人が札幌に来ること(あるんだろうか?)想定した訓練とやらで、交差点には警官が立ち、何やら器械をつかって信号の変わる調整とかしていて、道路もいつもより混んでいます。

 妻は前から、母ちゃんの誕生日に合わせ毎年両親とホテル(温泉ではないところもある)で1泊を過ごすというイベントを続けています。

 今年は今日から1泊で、札幌の奥地にある温泉地のホテルで両親と過ごすはずでした。

 僕はお留守番で特に予定もなく、あっ、筋トレ日なので筋トレしてネコズとダラダラ過ごそうと思っていました。


 お昼休み、いつものように車で休憩してると助手席のドアをノックする音が。見ると妻でした。

 予定ではお昼で会社をあがり、バスで自宅に帰ってワンボックスの方で両親を迎えに行き、温泉地のホテルに向かうはずでしたので、たまたまバスの時間で月極め駐車場の近くのバスまで歩いてきて、ついでに寄ったものだと思ったら乗り込んできました。そんな予定でしたから今日の通勤はいつものワンボックスではなく、昨日仲間と林道遊びに行って洗車してない泥んこの軽自動車(ジムニー)でした。


『あれ?急いでバスで帰るんじゃないの?』

『もう!ちょっと聞いてよ!』

『どうした?』

『午前中に父ちゃんから電話が来て、母ちゃんが調子悪いから行きたくないって言ってるって!』

『あちゃー、今日は天気がすごく良いのにね』

『それなのに、父ちゃんから聞いたら、朝からご飯モリモリ食べてて調子悪くは無さそうなんだって』

『それじゃ気分が、気分じゃなくなっちゃったんだね』


 義母はここ最近、認知症が進んでいて、娘である妻ですら困惑するときがあるみたいで、そのうちこういうこともあるだろうとは思っていましたが、それがまさか当日とは・・・


『で、どうするの?』

『どうするって、当時キャンセルは100%だから、ホテルに行っても行かなくてもお金は掛かっちゃうんだよ』

『まぁ当日キャンセルはねぇ・・・誰か一緒に行ってくれる人居ないの?』

『平日だし当日だし、流石に居ないよ』

『そっか、それじゃ1人で行ってくれば良いじゃない?』

『一人で行ってもつまんないし・・・』

(チラッとこちらを見る)

『あ、いや、18時出発で良いなら行けるけど・・・』

『ホテルに確認してみるね』


『夕食はバイキングで、会場に20時までに入れば良いみたい』

『う~ん、通勤時間になるからギリギリかもしれないな、流石にスーツのままバイキングってのも落ち着かないから、着替えくらいはしたいしね』

『もう母ちゃんの誕生日旅行は今年で最後にするわ、残念だけど毎回こんなことになっても大変だし』

『ところで宿代って幾らなの?』

『3人でだいたい4万円くらい』

『そりゃ痛いね』

『温泉とかホテルとかはどうでも良いんだけど、バイキングと朝食が勿体ない!』

(えっ?そこ?)

『う~ん、流石に朝食のためだけに、朝から車で行くのは面倒くさいな』

『どうしよう?行かないで全額払うのも勿体ないけど、行っても晩御飯食べれないなら余計に晩御飯代掛かるだけだし(行く途中にどこかで食べるという想定らしい)』

(チラッ)


『わかった!わかった!それじゃ定時より1時間早くあがるように調整するから、17時にワンボックスで迎えに来て』

『オッケー!着替えとか靴とか、猫の留守番の支度とか全部してから迎えに来るから!』


 かくして急きょ妻の両親の代わりに、温泉ホテルに泊まることになったのでした。

 でも、その理由が、ご飯代が勿体ないというところ・・・


『そういえば銀婚式の温泉の予約、2週間後じゃなかったっけ?』

『うん、そうだよ』

『それじゃ、今日のを記念日の分にして、2週間後のはキャンセルする?』

『う~ん・・・これはこれ、それはそれだから(笑)』

『でも、今ならキャンセル料掛からないかもよ?』

『いや、今日のはイレギュラーでしょうがないけど、銀婚式は銀婚式だから』


 恐らく、銀婚式の宿として予約した温泉は、銀婚式で泊まると言うと特別にお祝い膳として1品サービスされるので、それが目的なので外せないのでしょう(笑)

 僕は食べ物より、温泉の方が魅力的なんですがね・・・

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