ご飯食べたい

 その日の前日の夜


『明日の晩のお米無いから、炊く準備しとく?』

『いや、面倒ならパスタにするからお米じゃなくても良いよ』

『よっしゃー!それなら明日の準備は無しね』

『それより明日の朝のお米はあるの?』

『1人分あるけど、私はうどんでいいから』


 翌日朝、予定通り妻はうどん、僕は納豆ご飯を食べて出社。

 そんで、いつものように一緒に帰宅し


『そういえばパスタにするんだったね』

『よろしくお願いします!』

『あいよ』


 納戸の食糧庫を確認すると、レトルトのナポリタンソースが1つ発掘されました。

 容量は(たっぷり2人前)って書いてるので、まぁ普通なら十分でしょう、普通なら・・・

 野菜室を確認すると、まだ最後のピーマンとナスがあったので、ナポリタンには合うだろうと取り出します。ピーマンが1つ、2つ・・・7つ、ナスが4本と(笑)。

 ついでにブナシメジとニンジンもあったので、これも入れちまおう、でもそうなるとお肉成分が無いんだよなぁ・・・あ、竹輪あったからコレでいいや。


 さて問題です、ピーマン7つにナス4本、それに竹輪5本とブナシメジ1株に対し、容量2人分のナポリタンソースで和え、そこにパスタを300g入れたらどうなりますか?(笑)。

 はい、正解!普通だったら野菜のナポリタン風味になるわけですよ、鋭いですね!


 野菜を炒め終わるころ、アレクサ君が5分間タイマーの終了をお知らせしてくれるので、パスタをザルに揚げ、ナポリタン風味の野菜が入ったフライパンに投入。

 いや~、ずっとメガネをしてこなかったんですが、数年前から乱視と老眼が進みまして、老年に入ってからメガネ男子(老年は男子じゃないな)デヴューしたんですが、このメガネって煮物の大敵で、一気に曇って何も見えなくなっちゃうんですよね。

 メガネを外して、フライパンの中で野菜たちとパスタをワシャワシャ混ぜ込んで行くのですが、当然ですが麺に絡むソースの色がほのかな感じです。

 でも、そんなときのためにケチャップは存在するんです。慌てずケチらずビューって掛けて良くかき混ぜて行くと、そのうちそれっぽいナポリタンになりますから安心してください。

 ここで味見ですが、それっぽいナポリタンの味と、思いっきり手作りのケチャップナポリタンの味が混然となっています。

 この状態のままでフェニッシュを迎えるとした場合、作ることはアレなのに味にはうるさい妻が


『なんかナポリタンっぽくない!』


とか言い出すのは必至です。


 でも安心してください。ここでドン・キホーテで買った、大容量の粉チーズの登場です。まだ湯気がモウモウと上がっている状態で、この粉チーズを全体的に振りかけ、混ぜ込んでいくと粉チーズが熱で溶けて、あら不思議!

 さっきまでケチャップで伸ばした安っぽいナポリタンの味が、濃厚な味に生まれ変わります(笑)。

 

 メインディッシュが完成したため、いつものサラダを作っていると、洗顔を終えた妻が来て


『おー!夏野菜たっぷりで豪華だねー』

『お肉系無いから竹輪入れたけどね(笑)』

『ケチャップの色だったから気がつかなかった』

『あとはマイセルフでお願いします』

『はい』


ということで、サラダを食べてから一緒にパスタを食べていると


『あっ・・・』

『どうした?マズイ?』

『いや、そういえば今日ご飯(お米)食べてない』

『え?昼も麺食べたの?』

『うん、明太パスタ(笑)』

『今日はパスタにするって言ってたよね?』

『聞いてました』

『なら、僕に罪は無いね(笑)』

『はい、そうです・・・』

『それじゃ我慢して食べてね』

『うん・・・あれ?これって市販のソースだけ?』

『具を入れたら多すぎて足りなかったからケチャップで伸ばした』

『それだけ?』

『仕上げに粉チーズをタップリと』

『そうか、チーズの味かぁ』


 そんな翌日(土曜)の朝食には、残念ながら妻が会社帰りに買ってきたパンの予定になってました(笑)。

 その土曜日は妻と妻の父ちゃんとで、長沼町のコメ農家さんに年に一度、直接ゆめぴりか(玄米)を買いに行く日でした。

 お昼ころ、留守番してた僕のスマホにLINEが


『父ちゃんとうどん食べてるなう』


というメッセージと温かいうどんの写真が・・・・あれ?


 帰宅して第一声


『あーーーーー!ご飯(お米)食べたい(笑)』


まぁ、そりゃそうでしょうね(苦笑)。


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