前のエピソード――おいなりさん

　昔はよく帰宅途中の車の中で、妻が帰りに『何か』食べて帰ろうと提案することが多かったのですが、最近では作り置きのおかずや、未調理の野菜がたくさん冷蔵庫にあることから、外食の提案はすっかり少なくなりました。

　そんなある日、スーパーでお買い物中に

『最近野菜ばかりだから、たまに肉か魚食べたいな』

　という僕の提案を受けて、さっそくお安い食材探しの開始。時間も丁度良く半額シールが張り出される頃だったので、色んなものが選択肢に上がります。

　僕的には肉を食べたい気持ちだったのですが、採ってきたばかりの大葉が冷蔵庫にあったことを思い出して

『大葉がたくさんあるから、刺身にでもしようか？』

『いいねぇ～』

『それなら、これどう？』

　手に取ったのはサーモン・ホタテ・エビ・鯛にマグロと彩りも良いお刺身の盛り合わせ。半額まではなって無かったけど、３０％オフで約１０００円、これ確かにウチではお高い方に入ります(笑)。

　スーパーでの買い物で妻に教えられているのは、割引シールが付いたもので、少しでもいいなと思ったものを取りあえずカゴに入れとけ(笑)なので、すかさずカゴに入れて見せます。

　でも妻は、割引になってるとはいえ、１０００円もするのは高すぎると思ったようで

『半額じゃないし、ちょっと高いよ』

　いやいや、あなたが良く会社帰りに行きたがる中華屋さん、美味しいけど２人で食べたら２０００円近くになるじゃない？僕はそれを何十回と戒めて、その代わりにもっと美味しいものをたくさん買えばと誘導してきたよね？

　たまには、このくらい（一応割引中）は買っても罰は当たらないと思うけど・・・

『今まで結構外食我慢してきたし、このくらい買っても良いんじゃない？』

『そっか・・・そうだよね！』

　途端に顔色が変わる妻、やっぱ食べたかったんでしょ！っていうか、いつも我慢させてたのが普通になりすぎて、たまの贅沢くらいしたって良いと思うんだけど、ちょっとやりすぎてたのかな？と反省しました(汗）。

　思い起こせば去年の北陸車中泊の旅のとき、旅の中で一番贅沢で一番食べたかった富山の白エビ。そもそもお高いのは知ってましたが、旅行の半分は車中泊で宿泊費浮かしてる分、美味しいものたくさん食べようと言ってたのに、いざ白エビの値段を見たら腰が引けたらしく

『う～ん・・・高いから別に白エビじゃなくてもいいや』

と言い出す始末。その意志は思ったより固くて、結局白エビ料理はゴーゴーカレーに変わったことがありました。いや、ゴーゴーカレーも金沢・富山のご当地グルメだから、それはそれで良かったんですが、元々倹約家な妻ですから何となくそうなりそうと思って、事前に車中泊で浮くお金を計算して、罪悪感を払しょくしておいたつもりだったのですが(笑)。

　そんなわけで、収穫の秋ではありますが、そろそろ貯金出来てた分を引き出さないと、常に質素な食事になりそうなので、今年は思い切ってアレを作ろうと思います。