大葉好き

 畑には大葉が2株生っています。これは実家を壊す前の畑からずっとあって、特に毎年苗を買ってこなくても、ほったらかしにしてても毎年青々と葉を付けてます。

 ちなみに赤しそも勝手に生ってて、鮮やかな色の葉を付けています。


 結婚した当時、妻は大葉が嫌いでした。厳密に言うと大葉ではなく赤しそだったのかも知れません。

 なぜかって、実家の家があった時に義母ちゃんが、赤しそを使った赤しそジュースを作っていて、妻が貰って来たものを僕だけが水で割って飲んでて、妻に


『それ美味しい?』

『うん、氷入れてキンキンに冷たくして飲むと、さっぱしりてて美味しいよ』

『あたしそれ苦手なんだ(汗)』

『勿体ないけど、仕方ないね』


 そんなわけで、赤しそは嫌いみたいだったのですが、赤しそで色を付けたであろう梅干を食べてるのは良く見てました(笑)。

 ある日大葉が安売りしてたので、お刺身にでもして大葉で巻いたら?と提案したところ、イマイチ乗り気じゃ無さそうだったので、僕だけ食べれば良いかと思いお刺身の飾りとして食卓へ。


 お刺身も2人で好きなものが違うので、基本妻の好きなものに1品僕の好きな魚が入る感じなので、だいたいホタテ・エビ・サーモン+ブリとかマグロな感じで、僕の従兄弟に魚を扱ってる人のアドバイスもあり、サーモンはノルウェー産となっております。

 まず食べる前に大葉の匂いを嗅いでもらいました。


『どうこれ?良い匂いしない?』

『ほんとだ!良い匂いする』

『色は違っても紫蘇だと思ってたけど違うんだね』

『きっと仲間なんだろうけど、匂いは違うよね』

『エビとかホタテに巻いてお醤油漬けて食べてみ』

『わぁこれ美味しい!』


 そんなわけで、それ以来お刺身には大根のつまだった妻が、大葉一択になりました。でも、大葉って10枚くらい入って100円くらいと結構お高いんですよね(ウチとしてはですが)。

 ある日、畑弄りをしてた妻が大葉を見つけて


『これって大葉かな?』

『そうだよ、知らなかった?実家壊す前からあったけど』

『えーっ!畑にあったのかぁ』

『葉っぱ1枚千切って匂い嗅いでみ』

『(店で売ってる大葉と)同じ匂いだ』

『そりゃ、同じ大葉だからね』

『今までお金出して買ってたの、損した・・・』

『まぁ良いじゃない、食べきれないくらい出来るんだから』


 それ以降、畑に行くたびに、せっせと新しくて柔らかい葉を持ち帰っては、お刺身を買ってきて巻いて食べてます。

 それでも使いきれないときは、僕が刻んで納豆に混ぜたり、大葉を巻き込んだ出汁巻き卵作ったりと、大葉の香りが溢れる食卓になったりしています。

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