内陸育ちと海育ち

 妻とは同い年、いや同じ学年と言わないと、早生まれの妻にはすぐに年下だからと文句を言われますが、生れ出た時期は同じでも、育った場所は全然違います。

 生まれた場所というか病院は、結構近かったりするんですけどね。

 妻の家の周りは畑とか牧草地で、海は無いところで育ちました。

 僕は生まれた病院こそ海が無いところでしたが、生れてから小学校を卒業する12年間は、海のすぐ近くで育ちました。


 これだけ地理的に違うと、当然食べてきたものも違ってくるわけでして、僕は魚を多く食べて育って、妻はお肉や野菜が多かったみたいです。

 そのせいか、まだ僕が炊事担当では無かった時の魚と言えば、塩鮭の切り身かホッケの開きかナンチャッテシシャモ(ナンチャッテとは、シシャモの仲間らしいロシアの方で捕れる魚、たしかキャペリンとか言ったかな・・・本シシャモは道民でも中々手に入りません)ばかりでした。

 サンマも好きだったみたいですが、自分が調理するとなると出来なかった、いや焼くのは出来ますが、頭が付いてたり内臓が入ってたりだったもので。

 

 炊事担当を変わったことで、サンマの頭や内臓の処理は僕がしますから食べるようになりましたが


『たまに魚にしようか?』

『うん、ホッケが良い!』


 決まってこう答えるほど、どんだけホッケ推しなんだと。


『たまにはサバにしてみない?油乗ってて美味しいよ?』

『えー、サバかぁ』


 なぜサバよりホッケだったのか、未だに良く分かりませんが、きっと子供のころの食卓に、サバが出なかったんだと思います。

 結婚してから初めての焼きサバ、サンマやホッケに負けず劣らず、良い匂いが漂って来ます。

 食卓に並べ大根おろしを添えて


『(僕は)久しぶりのサバだ、きっと美味しいから食べてみて』

『うーん・・・』


恐る恐る一口食べる妻


『ほんとだ、美味しい!』

『でしょ?』

『大根おろしも合うね』

『大きい骨はサンマよりあるけど、小骨は少ないから食べやすいと思うよ』


 そんなわけで、最近干物を買おうとすると


『今日は大根買ってサバにしよう!』


 って感じになりました。

 もちろんホッケもサンマも美味しいので、最近は季節に合わせて満遍なく食べてますよ。

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