重力からの解放
結婚しましたがお互いに仕事は続けて行くため、流石に毎日お弁当を作るという行為は、僕の妻でなくても大変なことだと思います。
それでもたまに
『今日はご飯多めに炊いたから、おにぎり握ろうか?』
などと提案される日もあったりしましたが、せっかくの気持ちを無下にする訳にも行かず、たまにブラックホールおにぎりを職場で食べてました。
昼食時間、職場でおにぎりを食べてるのを見た同僚が
『あれ?今日は愛妻弁当ですか?』
『まぁね』
きっと彼には、可愛らしいおにぎりを握る奥さんだなぁ、程度にしか思っていないだろう、外からこのおにぎりを見るだけでは本質までは分からないはず。
このブラックホールの件は、やはりマンションを買ってから本人に伝えたので、何個食べたかは分からないけど、3年はそっとしていきました。
ある日、たしか休みの日だったと思うけど、意を決しておにぎりのことを言いました。
『あのね、おにぎりなんだけど、もう少し柔らかく握らない?』
『えっ?何それ?何かおかしいの?』
『い、いや、ほら、お店とかで買うおにぎりって、もう少し柔らかいじゃない?』
『・・・』(めっちゃ不機嫌顔になったーーーーーっ!)
『あ、いや、僕の家ってお米も柔らかめじゃない?』
『・・・』
『ぼ、僕的には、柔らかめの方が好きかなぁ~って』
『普通に握ってるだけだし』
(いや、普通じゃないし)
『いや、出来ればなぁ程度だから』
その後妻は母ちゃんに電話し
『どうやったら、おにぎり柔らかく握れるの?』
と聞いたそうです。
『力入れなきゃ良いんだよ!』
(まぁそうでしょうね・・・)
その後、試行錯誤を繰り返し、今では立派な普通のおにぎりが握れてます。
普通のおにぎりが握れるようになってすぐに、ブラックホールおにぎりと思っていたことはバラしました。
勿論笑って話せるくらいにおにぎりが握れるようになってからですが、おにぎりを握ってるときに
『今にしてみたら、全然難しく無いのにねぇ』
という顔に、過去に握ってたおにぎりの恥ずかしさと、何も知らず重力攻撃を与えてしまった人への後悔の表情が出ているときがあったりします(笑)。
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