数少ない夫婦共同作業

 先日、義理の弟夫婦にアイヌネギ(行者ニンニク)の餃子を持って行った話を書きましたが、唯一夫婦で一緒に作る料理は、この餃子です。

 一緒に作ると言っても中身は僕が作って、皮に包むところだけ夫婦でするだけなんですが、恐らく一緒に食べ物を作るのはこれだけかな。


 そんなわけで、2回目の山菜採りで採ってきたアイヌネギを刻み、食卓テーブルで向かい合い、それぞれ担当分の餃子の皮分だけ包むわけですが、最近は皮の枚数に対するタネの量がかなり正確になってきました。


 スーパーで大きなトレーに入った豚のひき肉を会社帰りに買って帰り、冷蔵庫に入れず台所に放置して夕食。

 夕食後の後片づけが終わるころ、挽肉も程よい温度になり、思いっきり捏ねても手が冷たさで痛くならない状態でタネが作れます。


 うちのアイヌネギの餃子はものすごくシンプルです。

 アイヌネギの茎の部分を細かく刻み、挽肉に混ぜ込みながら、塩・コショウ・醤油で味を調えたら、あとは包むだけ。


 今回はアイヌネギを色々お裾分けしたので、前回より茎の部分が少ないため、挽肉は100個分作れるだけの量を買ってきて、餃子の皮はそれぞれ50枚入りを1袋づつが担当。

 お互いティースプーンと糊付け用のお水を用意したら、いざ作成開始。


 2人でテレビを見ながら、他愛もない話をしながら、猫に邪魔されながら、黙々と包んでいきます。


 ある程度出来上がると、妻が冷凍庫に入れ急冷するため席を立ちますが、こちらも芽ヒジキを煮ていたので、ちょいちょい様子を見に行きながらなので、作業時間はイーブン。

 そして今回も僕の方がノルマを先に達成し、ソファーに座ってテレビをじっくり鑑賞するわけです。


 最後に妻が、ちょうど皮1つ分だけネタを余らして終了。

 普通の餃子100個と皮なし餃子(もはや肉の塊?)が1つ出来上がりました。


 思い起こせば、僕が料理を担当するきっかけの煮魚を、妻が作り上げる少し前、妻の高校からの親友の女性が、買ったばかりのマンションに遊びに来たとき


「ちょっと旦那さん、こっちに来て」


 と、食卓テーブルに夫婦2人で並んで座らされ、向かいあったその妻の親友から


「はい、これで旦那さんも、たまには料理手伝ってあげてね!」


 と夫婦2人に手渡された赤い物体は、挟むだけで簡単に餃子が包めるグッツでした。

 夫婦で餃子を包んでいると、毎回その話になり


「まだ、僕が炊事担当なこと言ってないの?」

「いいんだって!そういう幻想を壊しちゃいけないから(笑)」

「ま、僕は良いんだけど、君はそう思われてることが辛く無いの?」

「全然(笑)」


 こんな会話が必ずあったりします。


 そういえば、あの時貰った餃子包みのグッツ、どこに行ったのかなぁ?


 

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