モンスターへ乾杯!

ぴおに




「あっ、ちょっ、待って、ダメ…あっ、ああっ!」




つたい歩きを始めた「ちびモンスター」しょーた。

ちょっと目を離した隙にキッチンにご機嫌で座っている。だからやっぱり、この前アカチャンポンポで見つけた突っ張りゲートを買って置けば良かった…

結構高いんだよね。リサイクルで見てみようってことで買わなかった。でもキッチンは危ないし、やっぱりすぐに買わないと。子供の成長に家計が追い付かないよ…



「あきゃお!」



「やめてぇぇぇぇぇぇぇ!」



しょーたが手にした小麦粉の入ったケースをぶん投げた。



頭から真っ白になる私。

きゃっきゃと喜ぶちびモンスター。



片付ける間、ベッドに入れておくと立ち上がって危ないから入れられないし、かといって遊ばせておくと次は何をするか分からない。

おんぶだ。体に縛り付けるしかない。

しょーたをおぶって、真っ白になった床を掃除機と雑巾でキレイにする。


「痛い痛い痛い‼」


おんぶすると必ず髪の毛を引っ張られる。

やっと終わって、ぺたんと座り込むと

視界の端に何かがチラチラ映り込む。

なんだろ?なんか見たことある…ああああああああ!



スローモーションで皿が飛んでゆく。



「ガッシャーン!」



さっきキレイにした床に、割れた皿が散らばる。

私におぶられて、いつもより高い所に手が届く状態のしょーたは、いつも触れないものが触りたい。

洗い終わった食器のカゴに手が届いた。

一難去って、また一難。

なんか、バカにされてる気がして泣けてくる。



「ただいまー」


「おかえり」


「ぶわっはっはっ!何その顔!なんで真っ白?つーかメシは?」




殺意が芽生える。




私が風呂に入っている間、夫にはしょーたをおぶって床を掃除してもらった。

もちろん夕飯の支度は出来ていない。

ピザでも取りたいところだけど、今日はケーキも買ったし、そんな余裕はあるはずもなくダッシュで料理する。



食後、ケーキにロウソクを1本立てて火をつけた。


「おぉぉぉぉーーーーー!」


しょーたはロウソクの炎に興奮して、キラキラと目を輝かせている。




「しょーた、1歳のお誕生日おめでとう!」




ほんとにちびモンスターで、毎日クタクタになるぐらい大変なのに、なんでこんなに可愛いんだろ?

ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう

毎日、奴隷のようにコキ使われているのに

喜ぶ笑顔を見ると可愛いすぎて泣ける。

なんなんだよ、ちびモンスター!

大好きだよ!

1歳おめでとう。

これまで怪我もせず、元気に育ってくれてありがとう。

生まれてくれてありがとう。

三人でオレンジジュースで乾杯しよう。







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