そらをたつ(7)
☆ † ♪ ∞
[二年前 七月某日]
[午後五時二八分]
[八王子市 エスフォルタアリーナ八王子前]
「刻先輩!」
全国大会における地区予選を勝ち抜き、剣道着のまま帰路につこうとしていたランセを元気な声が呼び止めた。
振り返ると、そこには二人の少女。
「お疲れ様です!」
「お、お疲れ様です……!」
彫谷ナオエと三葛フミカ。休日だからか、二人とも私服である。
「……なんだ、観に来てたのか?」
わざわざ後輩二人が試合を観に来ていたことにあまり関心がないのか、ランセの反応は冷たくはないものの淡白だった。
ランセにとってナオエとフミカは特に親しい存在ではない。
ナオエはちょくちょくランセを部活に誘ってくるのでようやく顔と名前を覚えたくらい。
フミカにいたってはランセが部活に顔を出さないためこれが初対面となる。
ナオエとフミカ自身も、ランセにとってはその程度でしかないという自覚はある。
されど、二人にとってランセは特別だった。
「ホントは声を出して応援したかったんですけど! 三葛さんがそれはダメって……あっ、紹介します! 三葛さんです!」
「みっ、三葛です! 彫谷さんとは同じ剣道部で……!」
ナオエと違い、憧れのランセを前にしてかなり緊張気味のフミカ。
そうとは知らず、ランセにはフミカが単なる人見知りにしか見えなかった。
「ほらほら三葛さん。刻先輩に聞きたいことがあるって言ってたでしょ。今聞けるんじゃない?」
「え……今!? や、それはそうかもしれないけど……!」
てしてしと肘でフミカをつつくナオエだが、フミカにはそれが念頭になかったせいか素っ頓狂な声を上げた。
「聞きたいこと? オレに?」
「あっ、いえ、今じゃなくてもそのっ……まっ、またの機会で!」
「……? いいのか?」
顔を真っ赤にしながら目が泳ぐどころか反復横跳びするぐらいしどろもどろになるフミカに、小首をかしげるランセ。
普段は落ち着いた物腰のフミカも、まるでアイドルを前にしたファンのような取り乱し方もするんだな……と、ナオエは笑みをこぼした。
「刻先輩、これからお帰りですよね?
一方で、ささやかとはいえフミカには絶対にできなさそうな要求をランセに叩きつけるナオエ。
フミカの顔が一瞬で青ざめるが、ランセは微妙に嫌そうな顔をしながらも――
「……高尾塚までだからな」
その要求を呑んだ。
嫌ではあるが、それを断る強い理由もない。
きっと断られる――そう思っていたフミカは、驚愕で丸くなった目をナオエに向ける。
単に図々しいといえばそうなる。けれど、自分に同じことができるだろうか。
「……これでもうちょっとだけ先輩といっしょにいられるね」
ぽそ、とフミカに耳打ちするナオエ。
フミカは恥ずかしそうにしながらも静かにうなずいた。
飾らずに自分を前に出すこと。
それができるナオエが、フミカには羨ましかった。
☆ † ♪ ∞
[現在]
[午後四時三九分]
[津雲市
芽吹きはじめたブナ林。
その合間をそよぐ風は静かで、穏やかだった。
奉禅山。津雲市の郊外にある山で、標高は1400メートル。
休日には登山客もちらほらと見られるが、平日は人の気配もなく、動物もほとんどいないためより静かである。
そのおよそ中腹――傾斜もなだらかなブナ林に、三人は瞬時にして転移した。
「……奉禅山か」
見覚えのある風景にぽつりと漏らすランセ。小学生の頃、鍛錬の一環として何度か奉禅山に登った経験があった。
「今更だけどやりたい放題だな。お前」
春日峰高校から奉禅山までの距離はおよそ一三キロ。交通状況が良ければ車で三〇分もあれば移動できるが、そこをほんの一瞬で転移したことにつくづく現実離れしているといったある種諦めたような視線をアマネに向けるランセ。
「そうでもない。これでも転移できる距離と質量に制限があるからな」
だがアマネは、それほど大したことではないと肩をすくめるだけだった。
そして、二人は同時にある一点に意識を向ける。
う ぅう ぅぅぅうううううぅう っっ
嵐の前触れ。強風を思わせる獣の唸りを上げるナオエ。
その下には、蛆虫のようにうごめく赤黒い肉。
皮を剥いだというのに血は流れず、それどころかその部分が急速に広がっていく。
ナオエの全身、衣服や右手に持つ折れた竹刀すらも取り込む津波のような侵食。
存在そのものを別のなにかに直接書き換えていく変容。
時間にして三秒足らず。
ナオエは人の領域を捨てて、怪人と化した。
骨格の伸長と筋肉の肥大によって身長は一九〇センチ超。
赤黒く硬質化した表皮は岩のように、少女の柔さなど微塵もない。
増殖した細胞に取り込まれた竹刀は右腕と一体化し、岩石から粗雑に切り出された巨大な出刃包丁を思わせる武器肢となった。
収斂進化――というより悪性変異。
人の形をしながら人の道を完全に踏み外した、その末路。
《 ―― ―――― 》
亀裂のような眼がランセとアマネを捉える。
正確には――獲物。己の暴力をぶつけるための矛先。
ただそこに在るから殺す。
それ以上の理屈がない純然たる殺意が、『ナオエ』を動かした。
《~~~~~~~~~~~~~~~ッッッ!!》
大気を震わせるほどの咆哮とともに突進する『ナオエ』
右腕の武器肢が風を破り唸る。
ランセとアマネは互いに別方向に飛び退くが、ブナの木を盾にするような動きは同じだった。
しかしそれは、怪人の前では気休めにもならない。
ごめぎゃっっっ――と、文字通り生木を裂くかのような破砕音。
『ナオエ』の右腕はブナの木を真ん中からへし折り吹き飛ばした。
出刃包丁のような形をしている、というだけであって『ナオエ』の右腕に切断能力はない。ほとんど鈍器である。
よって斬撃ではなく打撃。にもかかわらず、あまり太い樹木ではないとはいえブナの木をマッチ棒がごとく一撃で叩き折る威力――常人に直撃すれば死に直結するのは間違いない。
が、それほどの威力を前にしてもランセとアマネは冷静だった。
二人に動揺が走ったのは、その先――
『ナオエ』が二つに両断したブナの木が、それぞれ変容する。
めぎめぎと音を立てながら、変色、変形、変化を経て。
二本の腕と二本の脚。不格好な木偶人形。
ほんの数秒で、それは『ナオエ』の尖兵となった。
(増殖……いや、複写か)
『ナオエ』から距離を取りながら、その様を観察するアマネ。
触れたものが有機物であればそこから細胞を移植して対象を侵食、筋肉から中枢神経まで高速で形成し極短時間で己の分身を作り出す能力。
ゾンビのような侵食汚染とは似て非なるもの。植物ですら怪人にするのは、もはや強制的な異常進化か高速改造。
つまりこの場所なら、『ナオエ』は攻撃する度に自身の戦力を増やすことができる。
一本、もう一本と『ナオエ』がブナの木をへし折っていく。
二体、四体と『ナオエ』の分身が増えていく。
計八体――『ナオエ』の命が分け与えられた分隊が完成した。
ランセとアマネを敵と認識した木偶人形達が、それぞれ統率の取れてない動きで次々と迫る。
怪人の分身といっても元は植物。しかも生後間もない赤子のような存在である。
複雑な戦闘思考や技術を有しているわけがなく、分身一体の戦闘力はおよそ『ナオエ』の一〇分の一以下。
加えて、移植するための細胞も時間単位で見れば無限ではない。
分身を生み出すことは生命の割譲と同義であり、一定数以上の分身創出は『ナオエ』本体の活動に支障をきたす。
それでも、容易に戦力差を出せるという点では厄介な能力。
それぞれ木偶人形の攻撃を躱し、捌き、いなしていくランセとアマネ。数的には劣位だが、危なげのない防戦だった。
問題は、その防戦にも限界があるということ。
退避という選択肢は――最初からない。
「――おい、チビスケ」
「なんだ?」
木偶人形から間合いを取りつつ、ランセとアマネは肩を並べた。
「……元に戻せるよな?」
一言だけ、アマネに問いかけるランセ。
沈黙は数瞬。
「――無理だ」
一言だけ、静かに、しかしはっきりとアマネは答えた。
ランセ自身、その返答は覚悟していた。
以前ランセは怪人と戦ったことがあるが、その怪人は一部記憶を消されていたものの人間性は失っていなかった。
だから殺し合いまでせずとも最終的には話し合いで決着が付き、かつアマネの計らいで怪人には新しい人間の体を用意されることとなった。
アマネがそこまでしたのも、外身は変わっても中身が変わっていなかったから――取り返しが付くと判断したから。
それなら今の『ナオエ』は、もうすでに――
アマネの返答の意図を察して、ランセは意を決した。
「……これを持って離れてろ。後は――オレがやる」
アマネの方を見ずに持っている木刀を差し出す。
それが意味することを、アマネは知っていた。
もしもランセが『ナオエ』と戦うことを拒否しても――アマネはそれを責めることはできない。
いくら関係が浅かろうとも、見知った相手と命のやりとりをするなど尋常の沙汰ではない。
それをやれてしまう強さを持つことは、果たしてランセにとって幸なのか、不幸なのか――
「――解った。お前はお前の
いずれにせよ、覚悟があるならそれを尊重する――その意を汲むかのようにアマネは木刀を受け取り、すぐさま後退した。
《 ――! ~~――ッ!! 》
ざりざりとささくれた枯れ木をこすり合わせたような威嚇音を発しながら、再びランセに襲いかかる木偶人形達。
――なぜランセは木刀をアマネに渡したのか。
答えはひとつ。
「――――――来い」
ランセの命令に応じて、それは紫電を伴いながら虚空から現出した。
全長およそ一メートル。
鮮やかな紫紺の鞘。白い
打刀と呼ばれる、最も標準的な日本刀の姿。
ただ一点奇異な部分を挙げるなら――金色の鍔。
平たい金板ではなく
まるで刀自らが鞘を抜かせまいと禁じている――そんな形だった。
以前、超能力者と対峙して逃げることしかできなかったランセ。
超能力者だけでなく、怪人/星人と渡り合うための力――それを願った結果、数日前からすでにアマネが預けていたもの。
目の前に現れた刀を迷わず左手でつかみ取り、そのまま間合いに入ってきた木偶人形の一体を鞘で払い打つランセ。
木偶人形を引きつけるかのように、アマネとは別方向へと駆ける。
駆けながらランセが刀を腰に当てると、鞘から銀色の液体金属が勢いよく噴出し瞬く間にランセと刀を繋ぐ腰帯が形成された。
反転し、刀の柄に手をかける。
がぎゅ――と、金色の鍔が展開し、禁が解ける。
閉ざされていた狼の顎が開く。
鞘ではなく、眼前の敵を喰らうために。
木偶人形の一体がランセの間合いに入る。
無防備なただの突進。
斬ってくれと言わんばかりの自殺行為。
漆黒の滅閃が奔った。
三つになって突進の慣性を残したまま吹き飛ぶ木偶人形。
切断――ではあるが、分割と呼べるほどの曇りなき断面。
木偶人形を斬ったその刀身は、鋼でも、ましてや木や竹でもない。
それは物質ですらなかった。
黒い炎――もしくは、暗闇そのものが柄から噴き出している。
これがアマネからランセに与えた力。
念動発振式極小次元断層剣。その
刀身そのものが次元の断層であり、極限定的に展開されたある種のワームホール。
黒く見えるのは断層を抜けた先にある次元の狭間――無明の虚無。そこに触れたものは総て切断、ではなく正確には次元の狭間に転送される。
どちらにせよ、すくなくとも――この剣に斬れない物質など地球上に存在しない。
むしろ実体がある限り『殲空』の刃からは逃れられない。
まさしく
だが、それだけだった。
『殲空』は――なんでも斬れる剣でしかない。
一体が斬られても、残り七体の木偶人形が退くことはなかった。恐怖という感情すら知らないのだからそれも当然のこと。
残り七体が一気にランセへと殺到する。
いくら魔剣といえども、その刀身となる次元断層は不定形ながらも通常の打刀と変わらずおよそ六〇センチ前後の長さしかない。
神域の切断性能を持っていても、それを活かすには結局近付いて斬る以外の方法はなく――その点だけなら普通の剣となんら変わらない。
ゆえに『殲空』は兵器ではなく武器である。
武器と兵器は敵を攻撃するという一点は同じであっても、その性質は異なる。
兵器とは、習熟にあまり長い時間を必要とせず、老若男女問わず使用者の戦闘力を一定の水準まで引き上げるもの。人を兵にする器。
対して武器はその性能を発揮するのに充分な時間を必要とし、使用者の技量がなければ戦闘力の上昇もあまり見込めない。人の武に
仮に――素人に『殲空』を持たせて『ナオエ』の木偶人形七体と戦わせるとするなら、良くて二体を斬ったところで残り五体にやられるのが関の山。
それなら『殲空』ではなく拳銃でも持たせた方がまだ戦える。
しかし、ランセは素人ではない。
父から継いだ剣才を死狂いで鍛え上げた達人である。
兵器はそれ自体の性能を超えることはできないが、
武器は使用者の技量によって性能限界をも超える――
「――――っ」
びょう――とランセの体が流れる。
研ぎ澄まされた集中力と積み重ねられた経験則が、限りなく予知に近い予測をランセの眼に写す。
どこに向かえばいいのか。
どこを斬ればいいのか。
思考よりも速く、直感が反射となりその体を突き動かす。
一秒先の未来に自ら切り込むランセ。
それは疾風か、それとも迅雷か。
殺到する七体の木偶人形を透り抜けながら、ランセはその全てを二つに両断した。
一切の無駄がない、流麗にして瞬速の
達人と魔剣の二つがそろって初めて成しえる絶技だった。
《――――――~~~~~~ッ!!》
木偶人形が全滅するほんの寸前、ブナの木を足がかりに上空から強襲する『ナオエ』
元より木偶人形は『ナオエ』とって贄か囮。それこそ人形もろともランセを殺すための一手。
しかしランセに叩きつけるはずの右腕の武器肢は、ランセではなく地面を打った反動で千切れ飛んだ。
『ナオエ』の一撃を躱しざまに、ランセがその右腕を切断していたのである。
完全に視えていた。
だから躱した。
ついでに斬った。
ランセにとってはそれだけの話。
だが木偶人形を囮にした視界外からの一撃に対し、回避と反撃をほぼ同時に行うなど機械以上に精緻な芸当。
その圏内に入ったものはなんであろうと瞬刻斬断する――今のランセはもはや人間というより、意思を持った斬撃そのものだった。
《~~~~~~~~ッ!?》
右腕を切断され、断面からどす黒い体液を噴出させながら絶叫する『ナオエ』
腕を斬られたことに対する怒りではなく、耐えがたい痛みから絞り出された悲鳴――ランセにはそう聞こえた。
普通の生物なら、大抵はそこで戦闘不能――継戦の意思は折れる。
激痛は恐怖を喚起し、恐怖は戦意を侵食する。
そのために腕を斬った。
が、絶叫しながらも『ナオエ』はランセに突進する。
残った左腕が唸る。右腕ほどではないとはいえ、その剛力はランセの命に十分届く。
しかし先ほどの強襲よりもはるかに見え透いており、ランセなら難なく躱せる攻撃だった。
『ナオエ』は左腕を振り回し続けた。
黒い体液と悲鳴を撒き散らしながら。
不様と呼ぶには、あまりにも悲惨な姿。
なぜナオエが怪人になったのか、未だランセには解らない。
だからこそ、もう『ナオエ』と命のやりとりはしたくなかった。
襲ってきたから相手をしただけで、この命のやりとりにそれ以上の大義はない。
ナオエが止めてくれるのであれば、それでいい。
しかし腕を一本失ってもなお止まらないなら――
ランセは奥歯を噛みしめた。
黒い剣閃が二つ――『ナオエ』の左腕と左脚を切断する。
四肢のうち三つを失い、自立もままならなくなった『ナオエ』はどぢゃりと地面を転がった。
右脚一本ではまず立ち上がることも困難。
これ以上の戦闘は実質不可能。
――決着が付いた。
その勝利に、歓喜も充足もない。
「……終わったか」
離れた場所から始終を見ていたアマネが近付いてくる。
「……チビスケ」
「ん?」
「どこまで……戻せる?」
アマネの方を見ずに、ランセは言った。
ほとんど沈黙し、断面から黒い体液を垂れ流している『ナオエ』に視線を向けたまま。
納得がいかない――と、その背中が語っていた。
「……以前のように新しい肉体を用意するだけならできる。だが……精神汚染が深刻だ。肉体はともかくそこまで汚染が進んだ精神を元に戻すとなると、それはもう人格更改に等しい」
言いながら『ナオエ』に歩み寄るアマネ。
「その過程で記憶も大部分が欠落するか、もしくは虚偽記憶による自己補完で認識が大幅に歪曲するか……どちらにせよ、改造前と比べたらほぼ別人になるだろうな」
忌憚なくアマネは見解を述べた。
彫谷ナオエは、ほとんど死んだも同然だと。
ぎち、と『殲空』の柄を強く握りしめるランセ。
「……彫谷がどうして怪人になったのか、それがもし彫谷自身の意思なら後はお前の好きにしろ。でも……そうじゃなかったら……」
脳裏に、あの人懐っこい笑顔が浮かぶ。
別に親しくするつもりはなかった。
だが――純粋に慕われていたのは、そう悪い気分でもなかった。
「……彫谷を、日常に帰してやってくれ」
そう言ってようやくアマネを見たランセの左眼は、理不尽に対する怒りと剣を振るうことでしか『ナオエ』を止められなかった悲しみが複雑に入り混じっていた。
独善であり、わがままであることはランセも解っている。
それでもこの結末は認められなかった。
ランセには、どうしてもナオエが怪人になる理由が見当たらない。
きっとナオエの意思とは関係なく、なにかに巻き込まれた結果こうなってしまったのだと――その可能性しか考えられなかった。
「――解った」
短く言ってうなずくアマネ。
本来、アマネに怪人化した地球人に新しい肉体を用意して社会復帰させるといった義務や義理はない。
しかしランセが信じる可能性の通り、その怪人化が理不尽なものであったとするなら――その負わなくてもいい責任を負ってしまうのがアマネという星人だった。
理由としてはもうひとつ。本人の意思はどうあれ怪人を倒したことによるランセへの褒賞でもある。
それを口にした場合ランセが怒るのは目に見えていたので、アマネはその理由を伏せた。
「それと……ひとつ言っておく」
「……聞こう」
次元断層刃が消失した『殲空』の柄を鞘にはめるランセ。
そのまま、ランセの腰から『殲空』そのものが消失する。
「彫谷が怪人になった原因と戦うことになったら――そいつは、オレがやる」
言って、ランセは『ナオエ』から背を向けた。
「こんな事は……もう、たくさんだ」
許しは乞わない。
ただ、やると決めた。
こんな事を繰り返させないためにも。
静かな決意が、ランセの胸に灯った。
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