天涯の夜明 6
足元のゆれがおさまらない中、いく度も折れる無機質な通路を、先導するイビアスに続きただひたすらに走り抜ける。ひずんでいるのか、両手首の幅より広く
巨大な
かつて星々の海を渡り来た神々の乗物の写し。そして、今より
「ぼやぼやするな、急ぐぞ。ハドリ」
「動力を供給します」
外部制御卓に取りついた機械技術士が指をすべらせ、次々と文字式を描いてゆく。
「イーリエ、
段差に足をかけた瞬間、アズナは異様なけはいを感じてうしろをふり返った。
突風に殴り飛ばされる。巨人の手のような一撃だった。
「
イーリエを腕にかばい、こちらは背から叩きつけられた
『逃がさない』
波をさかまく嵐のような声が響いた。
『
『我々を踏みにじった
『ゆるさないよ』
『おまえたちが栄えるなんて』
「先に行け。ロゼニア、あとを頼む。リグリア、
「
根のクスビの声がふたつ重なる。肌色以外ロゼニアと同じクスビが、
「行け!」
「頼む!」
イビアスなら生き残る。そう信じて駆け上がる。
「ッ、どうすれば――」
「わたしにつづいて、同じように」
「〈
アズナ、イーリエと、つづいてその隣に右手のひらを押しつける。
「〈
「〈
すべての〈鍵〉が解放される。三つの手のひらから読み込まれた
血流のごとく巡りはじめた
*
黄金の瞳を持つ太い輝きが八条、イビアスが引き出した
「
莫大な
『アァァァアりィィィトなジィィアァァァア』
「
ぶつかる。
荒ぶる神の竜巻が、はじかれた先の壁をえぐる。硬化ケルサライトの破片を取り込み、標的をめがけ撃ち出した。
同じ力。同じ威力。
暗く濁った竜巻が、ふたたびこちらへ迫り来る。
『アァァァア憎イィィイイ』
「黙れ亡霊ども。
守護と
拮抗する。二呼吸後、守護の嵐が暗い嵐へギリギリと削ぎ入った。混ざりあい肥大した嵐の、吹く風の無い中心で、
抵抗する〈
ゆがみ重なり合った
「リグリア、最大出力だ」
「
いまだ〈
かろうじてまだ人の形を保ちながら、イビアスはふ、と笑った。このゆがみきった
「ひとつだけ聞きたいことがある」
「
返る言葉は無かった。
嵐がわずかな吐息を残し完全に消滅する。灰が風にくずれた。硬化ケルサライトの床が、
白い鳥の姿へと形を変えた
いまだ暗い
〈
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