第5話 秋山君と高田君。
「ねえ今日高田君どうしたの」
お昼休み秋山君に聞いてみた、高田君が来ていない。
「それが無断欠席なんだ、帰りに寄ってみる」
「無断欠席って、、、お母さん勉強にうるさい人なんでしょ、それなのに連絡なしなんておかしくない?」
「朝何か有って連絡が遅れたのかも」
「チョークの悪戯が親にばれたとか」
「それくらいならいいけど、そんなバカをする奴じゃない、それに親が電話してこないって家で何かが起こったんじゃ、、、」
話を遮り秋山君に詰め寄る。
「家どこ?」
「岩戸」
「目印何かない」
「あいつの家高田医院」
それを聞いて私は教室を飛び出した岩戸なら歩いて15分走れば5分で行ける。
「蒼井さん!」
秋山君とヒカルが呼んだけど無視して下駄箱迄走り、靴を履き替えダッシュ、私の足なら楽々間に合う。
高田医院なら知ってる、医者いらずの私は行ったことが無いけど母はよく行ってた。
フーフー、軽い走りなら息が上がることは無いが、今日はかなりのハイペース、多分5分と掛かってない。
医院の前に着くと張り紙がしてあった。
「身内に不幸が有りました数日間臨時休業させて頂きます、診察治療の方は佐藤内科さんの方へご足労願います。」
(不幸か、学校へ連絡を忘れるほど切羽詰まっていたのかな)
帰りは軽く走って帰り楽々昼休みに間に合った。
二人、ヒカルと秋山君を集めて、
「高田医院に張り紙がしてあった、身内に不幸が有って数日臨時休業しますって、よほど急いでいたのかも」
「だろうな昨日の夜中にでも連絡が有ったのかな、何処って、、、書かないよな」
「私先生に話してきます」
職員室に行こうと振り返ったヒカルを両肩を掴んで引き留める。
「ネタはどこで仕込んだって言うの」
「あっ、、、」
「落ち着いたら電話してくるだろ、でも蒼井さんめちゃ早い」
「このお方実はアンドロイドでございますから」
「そんな訳ないでしょ走りならヒカルの方が早い、私は長距離いや10キロまでの中距離かな、それ以上はやだ」
「僕は50メートルが限界」
秋山君の腕を掴んで「放課後特訓します」
ヒカルもニンマリ。
そして放課後、男子は良いけどヒカルはトレーニングパンツに履き替えると言う、私は履き替えなくても実はスカートの下は短パンを履いている、結構飛び跳ねる事が有るので。
秋山君が廊下で待っているとき先生の声が聞こえた。
「秋山ちょうど良かった高田君から電話だ、職員室に来てくれ」
「職員室行ってくるから」
秋山君は私たちに声を掛けパタパタと遠ざかって行った。
職員室に行くと秋山君が出てくるところだった。
「おじいさんが亡くなったんだって、昨日の夜危篤の連絡が有って慌ててでかけたらしい」
「えっでも不幸が有ったって書いてたけど」
「秋山が早とちりして書いたらしい、それとも予感かも」
「あっ有るねそれ、あー間に合わないとかって」
私が言うとヒカルが、
「伊佐宵さん死期が分かっちゃうの」
「えっ分かるでしょ、この人明日までかとか知ってる人なら電話越しに後何時間かとか」
「普通時間まで分かりませんけど、ヤバそうって事くらいしか」
「そう?秋山君は」
「おじいちゃん死んだとき離れていたから全然知らなかった、もっと早く知らせて欲しかった」
「そうなの、、、まあうちの両親特別だからそれでかもね」
「特別って?」
「あえっとね、こんな子の親だもの普通じゃないでしょ、天文館に行ったら会えるけど」
「小学校の時何回か行ったけど」
と秋山君。
「星のおじさん、お兄さんて良く言われているけど」
「えっ星のお兄さんて王子様?」
「王子さまは止めてよ鳥肌立つわ、その人がお父さん」
「えー、結婚してたとして子供が居るように見えなかったけど」
ヒカルは黙って下を向いている、きっと学校から社会見学で行くと時も行かせてもらえなかったんだろう。
「ヒカル今度行ってみる?」
ヒカルは黙って下を向いたまま首を振る。
「ヒカル一人くらいなら何とかなるよ、差し入れ持ってきたとかって裏口から入れて貰うの、私いつでも顔パスで入っているから」
「顔パスってどういう事?」
「一応私も天文館のお泊り会でボランティアで子供のお世話してるから顔見ただけで入って入ってって感じ」
「そうでございますか」
「蒼井さん僕もできないかなボランティア」
「多分出来る、聞いておくね」
走る特訓の後ヒカルと秋山君は帰りその後、姫ちゃんこと原先生ともう一度体育館のステージの再調査に来た。
和太鼓を収納する場所を探しているのだ、和太鼓を安全に保管できる場所、それが借用する条件だから。
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