第八章 マー兄ちゃんの、友達

 オレは中1になった。

 

 オレとアヤミとモエの、中学校の制服代をマー兄ちゃんがずいぶん前からコツコツ貯めて用意してくれていた。


 母ちゃんはびっくりして泣いていた。


 オレは春休みにじいちゃん家に引っ越した。


 中学校はいくつかの小学校の生徒が集まるんで、フーちゃんとヨッシーとも離れずにすみ一緒の学校だった。


 すごい嬉しい。 


 サッカー部に入った。

 部活に慣れたころ先輩にしごかれて帰りが遅くなった日。

 じいちゃん家の玄関前に、金髪でいっけんやばい感じの派手なスーツの知らないおじさんがいた。


(誰だ。こえ〜)


 なんかのセールスマンか?


「おう! 草太か?」

 オレを見て親しげに笑った。

 にこっと笑ったら、あまり怖くない。

 オレにはこの人が分からない。

「ど、どちら様ですか?」

「さとう たくみだよ。忘れちまったか?」


 たくみ。たくみって。

「あー、たっくんだ!」

 昔マー兄の自転車屋さんで働いていた、友達のたっくんだった。

 



 

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