第七章 死ぬと会えない

草太そうた、いつか一緒に住もうな』

 マー兄ちゃんは、オレに言った。


 母ちゃんはそのうち、じいちゃん家に引っ越すつもりだっだ。

 わりとじいちゃん家は近くだけど、学区が違う。


 母ちゃんは、草太が小学校があと一年で卒業なのに違う学校に変わるのがなあ、転校はさせるのはなあと、悩んで。

「もうちょっと、踏ん張る」と言ってるらしかった。


 

 死んだマー兄ちゃんは人形みたいだった。

 あんまり近くに行けなかった。

 怖かった。

 マー兄ちゃんが動かなくなったことが、そして、死んだ人を見ることが怖かったんだ。


 線香の匂いが絶えずしている。


 仏壇にある写真は、笑っている。

 

 マー兄ちゃんが二階からいつもみたいに、降りてくる気がした。


『よおっ、草太。

 来たか』

 聞こえる気がした。

 

 でも、もう会えない。


 

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