信長の本音

 京の都に入った恒興は1500の池田家精鋭を都人に見せ付ける様に室町通りを北上、途中で御池通りに入り西進した。場所にしてだいたい二条城の辺りになるが、現時点では二条城はまだ存在しない。この近くに信長が滞在している邸宅(仮)がある。

 更に西に進むと恒興が借りる滞在所が見えてくる。大きめの邸宅が3棟、ここに1500人を分けて滞在させる。1500人も滞在させるとなると小さな城くらいが必要となるからだ。恒興の滞在期間中は全員に休息を取らせた後に京の都の修繕作業の手伝いをさせる予定である。

 因みに六角親子もここで軟禁し、後に織田信長に引き渡す。彼等は京の都に入る前に貴人用の籠に移して移動している。都を行軍すると必ず野次馬みたいな見物人がいるので、晒しものにならない様にという配慮だ。

 恒興は荷物などを下ろし、親衛隊を見て回る。今回の六角親子の捕物で軽傷を負った者もいるのでお見舞いである。そして恒興は件の一人である可児才蔵吉長を見付ける。


「あいててて、まだ痛むなぁ」


「才蔵、腕の傷は大丈夫かニャー?」


「ああ、殿。何とかですよ。毎日傷口洗って、酒で消毒して、包帯換えてますから」


「そうか、消毒するにしても良い酒を使えよ。それは名誉の負傷と言うべきだからニャー」


 良い酒を使えと恒興が言うと、才蔵は即反応する。その目には『欲』の一文字が書いてありそうなくらい爛々としていた。おそらく恒興の奢りで高い酒が買えると思ったのだろう。


「か、買ってきてもいいんですか!?」


(……飲むつもりだニャー。まあ、いいけどさ)


 才蔵が多少上ずった声で確認してくる。恒興の金で高級な酒を味わえると考えているのだろう。恒興には容易に想像出来た。

 とはいえ、それを否定する気はない。才蔵は見事に役に立ってくれたからだ。油断で死にかけた恒興を救ったのだから。しかし注意事項だけは伝えなければならない。


「酒は良い物を買ってこい。支払いはニャーにつけておけばいい。ただし、まかり間違ってその酒が口に入っても都の中でへべれけになるのは許されないニャ。罷り間違うにしても邸宅内にしろよ」


「下手すると打首ですからね。一度来てるんで理解してますって」


「なら言う事はニャい。兵士も半分交代で休息を入れろ。くれぐれも・・・・・外で羽目を外すなよ。都はまだ厳戒態勢だからニャー」


「了解しました!」


 織田信長が足利義昭を伴って上洛して以降、京の都内は厳戒態勢となっている。それは未だに続いていて、織田軍兵士の暴虐に対する罰は『問答無用で死罪』となっている。盗みや押買いをしても死罪、暴力行為も死罪、店の商品を値切っただけでも死罪となっている。酔っ払って暴れようものなら、直ぐに刑場送りだ。流石に恒興でも庇えない事柄なので釘をさしておいた。

 その後、恒興は信長と面会すべく、信長の屋敷へ赴く。程なくして信長からの許可が下りたので控えの間に伴として付いてきた加藤政盛と飯尾敏宗を待たせる。恒興は屋敷の廊下を歩きながら、信長との久々の対面に心躍らせた。


「信長様、恒興で御座いますニャー」


「応、入れ」


「ははっ!」


 部屋に入った恒興はいきなり面食らう破目になる。信長の横に控える様に知らない人物が居たからだ。


(……?てか、誰?)


「お?もしかして恒興は初対面か?」


「そうですな、では自己紹介を。北畠権中納言具教と申す。以後、お見知りおきを」


(ニャんで伊勢国の剣豪大名がここに居るんだよ。どーなってんだニャー)


 池田恒興と北畠具教。過去に大河内城で直接対戦した事がある二人だが、実は顔を合わせた事は無かった。具教が戦線に立っていた時、恒興は味方本陣の奥に居たし、和平交渉も恒興は滝川一益に任せてさっさと帰ってしまった。なのでお互いに名前だけ知っている状態である。


「……犬山城主の池田勝三郎恒興で御座いますニャー」


「お噂はかねがね。まあ、その実力も存分に味わいましたが」


 恒興も渋々、自己紹介する。嫌そうな顔をしている恒興に対し、具教は平静そのものな対応だった。


「恒興、六角親子の捕縛はご苦労だったな。それで他にも相談したい事があるって聞いたが、何だ?」


「……いえ、その、何と言いますか……ニャー」


「信長様、私が邪魔の様ですので退席致したく」


「おい、恒興!具教はなぁ」


 恒興が話し辛そうにしているのを見て、具教は自分が邪魔なのだと悟る。流石に恒興の中では具教は部外者以外の何者でもないのだろう。具教は恒興の心証を悪くしない様に退席しようとする。

 その一連の流れを感じた信長は恒興を叱ろうとする。だが、恒興の方も退く気は無い。北畠具教は誰が何と言おうが他家の大名なのだ。織田家内部の情報を渡してよい人物ではない。


「いえ、お気になさらず。そうそう、六角承禎殿にお会いしてもよろしいかな?池田殿の邸宅に居られるのでしょう」


「別に構わねぇぜ」


「……逃さニャいで下さいよ」


「彼が逃げようものなら、我が剣の腕前にて阻止してみせますとも。腕前の方は貴殿もよくご存知の筈ですな」


「……了解致しましたニャー。控えの間に加藤政盛が居ますので案内にお連れ下さい」


かたじけない。では信長様、後程」


「応、スマンな」


 六角承禎に面会を申し出る具教に、恒興は加藤政盛を案内に付ける。六角親子は現在、恒興の邸宅(仮)に居るので案内無しには会えない。そのための配慮ではあるが、恒興としては早く厄介払いしたかっただけである。

 特に今回の話は重要で信長以外には聞かせたくないレベル。どう考えても部外者な北畠具教に聞かせる訳にはいかなかった。そんな恒興の思いを余所に、信長は呆れた様に声を掛ける。


「恒興、お前なぁ」


「信長様、アレは他家の大名ですニャー。あまり油断するのはおすすめ出来ません」


「そうは言うが、具教が居たから朝廷との交渉が上手く行った側面もあるんだ。北畠家の家政も放り出してまで、ここに居るんだぜ」


「マジで何をしてるんですかニャー、あの剣豪大名は」


 恒興は予想外の人物が上洛している事に困惑する。更に何故か・・・織田信長に力を貸しているのだから困惑が増してくる。

 恒興が困惑しているのは前世において北畠具教が信長に合力する事はなく、北畠家の領地から殆ど出なかった。京の都には来たかも知れないが、織田信長とほぼ顔合わせしなかった事は確実なのだ。そして恒興も北畠家には何も工作していない。なら、北畠具教は自発的に信長の力となっている訳で、いったい何の目的があるのかハッキリとしない。

 恒興は悩む。北畠家には工作していないのだから前世の通りの行動になるんじゃないのかと。考えている内に原因的なモノに気付く。

 北畠家を降した時期がズレているのだ。前世で北畠家は信長上洛後に降された。それを万難を排して上洛を行いたい恒興の都合で、北畠家は上洛前に傘下に降された。だから北畠家が上洛戦に参加している。出来るからと早回しにした結果、北畠具教の行動が変わってしまったのだと恒興は結論付けた。

 問題は北畠具教の目論見だが、信長が語る通りに朝廷との折衝なのだろう。これまで朝廷の財源を北朝の足利幕府に押さえられ続けた事を南朝派の北畠家が苦々しく思っていない訳がない。その財源おだのぶながを朝廷側に引き寄せたいと考えるのは普通だ。しかし、自分の家の名跡を奪った人物の力になろうとするのだろうか?まだ何か裏があるんじゃないかと恒興は考えるが、答えが出なかったので先送りして次の話題を出す。


「まずは近江商人対策からですニャー」


「ああ、アイツラな。お前の言う通りに来たぞ。ていうか、何なんだアイツラは。いきなり来て権利を全て認めろとかのたまったぞ。そういうのはお互いの理解や信頼関係を築いてからの話だろーが」


 次の話題は近江商人対策である。

 実のところ、織田信長が上洛して一週間後くらいに、近江商人の大店の主人達が来ていた。しかも彼等は既に幕臣に根回しして足利義昭からあらゆる権利を認可されていた。近江商人なのだから当然、近江国における権益が殆どだ。問題はそれが『織田信長の領地』になった南近江に集中しているという点だ。

 信長からしてみれば、地元商人を使う事に忌避感は無い。新しい商人も取り込んで領地の経済規模を拡大する方が理に適っている。なので権益を分配し、働き良く織田家への貢献が良い者は重用していく方針だった。

 だが、信長の所に来た近江商人は幕府の認可を盾にあらゆる権益を要求した。信長としては織田家の領地の取り決めに幕府の意思を介在させる気は無いし、何の貢献もしていない近江商人に権利を渡すつもりも無い。その場で突っ撥ねたい思いに駆られた信長だったが、恒興の助言もあったのでグッと堪えた。結局のところは答えを保留にして、恒興の第一撃が終わるのを待っていた。


「だからニャーはムカつくって言ったじゃないですか」


「お前から話を聞いてなかったら、処刑してたかも知れん」


「お気持ちは解りますが、それはちょっとマズいですニャー」


「まあ、答えは保留のままにしておいたぜ。だが甲賀攻略で一撃を入れた以上、もう我慢する必要はねぇよな。それで次は何をするんだ?」


 信長はもう待ち切れないという感じで、恒興に次の一手を聞いてくる。余程、近江商人にフラストレーションが溜まっていた様だ。


「次の一手は『楽市楽座』をやりましょうニャー。南近江で大々的に」


 近江商人への次の対抗策は楽市楽座。これは前世でも行ったので、恒興もそのままやるべきと考えた。


「楽市楽座か。お前は楽市楽座否定派じゃなかったのか?」


「違いますよ。ニャーはただ津島会合衆の庭でやりたくなかっただけですニャ。南近江は関係無いのでデカいのやっちゃいましょう」


「デカいのか。いいな、それ。となると、場所は……」


「『安土』は如何ですかニャー?南近江中心部の近くですが発展途上で広い土地を確保出来ます。また琵琶湖の水運も近く、街道も通っており発展する要素も揃っていますニャ。信長様の手で一から街をお造りになられては如何です?」


 安土の楽市楽座が後世に最も有名なものとなる。織田信長の代表政策として挙げられる事が多い楽市楽座だが、安土の楽市楽座以外は小規模でしかやっていない。

 では何故、安土の楽市楽座だけ大規模だったのか?その答えが『近江商人への懲罰』だからだ。周りの被害など度外視して行ったからである。

 楽市楽座は地元の商人にとっては打撃である。何故なら『楽座』だからだ。この時代の市場には必ず『座』という仕切る存在が居る。座というのは現代風に言えば『商業組合』や『市場運営』に当たる。奈良に近い市場で警備をしていた興福寺六方衆の浄岩や浄林が座の仕切人である。座は市場の管理運営を専属的に行うが、どの商人が何を商うのかも管理している。つまり座の仕切人はどの商人を商わせるかの決定権を持つ。彼等の許可が無い商人は商う事すら出来ない。

 当然、近江国で誰が座を仕切り、どの商人が何の品を扱うのかも近江商人内で決めている。近江商人はこの権利を信長に要求している。いや、信長が認めなくても現状は彼等の独壇場だ。何しろ織田家が来る遥か以前から仕切っているからだ。だからこそ、まずは近江商人の勢力を削らねばならない。

 楽市楽座は織田信長を代表する政策と言われている。清州や岐阜での小規模楽市楽座なら政策と言ってもよい。だが安土の大規模楽市楽座は明らかに政策ではない。そう、これは『懲罰』なのである。『楽座』によって既得権益者の基盤を破壊するために行うものだ。


「目の付け所がいいじゃねぇか、恒興。実はオレもその近くの『安土山』に大規模な城を築こうと思ってたんだ。何時までも屋敷を借りてられんしな」


「素晴らしいお考えですニャー。付城解体で出た資材もお使い下さい。観音寺城に運んでありますので」


「応よ。観音寺城も解体すればかなりの量になるな」


 恒興の提案に信長は感心する。実は信長も安土に城を造ろうと目を着けていたのだ。恒興が安土に大規模な楽市楽座を行う事を提案してきたので同時に造る事を考える。

 そうなると大量の資材が必要になるが、恒興の付城解体で出た資材があるので問題はかなり少ないだろう。足りなければ観音寺城も資材にすればよい。いや、信長は観音寺城も解体する気だが。


「安土の楽市楽座で近江商人の稼ぎを奪って弱らせるって訳だな。安土も発展出来て一石二鳥か、ハハハ」


「いえ、信長様。一石三鳥になりますニャー」


「三鳥だと?三つ目は何だ?」


 恒興は愉快そうに笑う信長の言葉をあえて訂正する。一石二鳥ではなく三鳥だと。近江商人を倒すために、この三鳥目はしっかり認識しておく必要があるのだ。


「近江商人の稼ぎを奪い叩き続けるのはいいのですが、それだけではアイツラは滅びないんですニャー」


「ん?何故だ?」


「近江国が肥沃過ぎるのと、日の本の流通の要になっているからですニャー。土壌が豊か過ぎて雑草の如くしぶとく、刈り取っても直ぐに元通りになります」


 問題は近江商人はどれだけ叩かれても滅びなかった、という事実だ。たしかに近江商人は強いが武家が放置などする訳がない。特に鎌倉から赴任してきた佐々木家とはかなりやり合っている。武家なのだから武力も振り翳しただろう。それでも近江商人は滅びず団結を強め、ついには佐々木家を分裂させるに到る。それからは六角京極双方が主導権争いに終始したため、近江商人は双方の均衡を保つ様に動いていた。

 弾圧される過程で潰れた商家はあっただろうが、それでも直ぐに代わりの近江商人が埋めてしまう。物流に穴を空ける訳にはいかないからだ。故に彼等は日の本の物流が京の都を中心とした時から存在し続けている。近江国の肥沃さと物流の要となっているが故に、近江商人はしぶとい雑草の如く滅びないのである。


「成程な、分かり易い例えだ。ならば、どうする?」


「簡単ですニャ。雑草を刈り取って、代わりに信長様が気に入った苗を植えて育てるのです。それこそ雑草にも負けない強い苗を育てましょうニャー」


「苗を育てる?……そうか!そのための大規模楽市楽座か!」


「そうです。楽市楽座で信長様の理想や理念を理解する『新型』近江商人を育てるんですニャー。楽市楽座はそのための良い苗床となります」


 近江商人を滅す為に恒興が考えた方策。それが信長の理想や理念を教え込んだ『新型』近江商人を育て上げる事だ。その新しい商人を育成する場所が『安土の楽市楽座』であり、育てた新型近江商人で旧来の近江商人を排除するという事だ。

 便宜上、かの者達を『近江商人』と呼んでいるが近江の商人の全てという意味ではなく、一部の支配者層の大店を指している。彼等は裏で繋がっていても表立っては連合していない為、津島会合衆の様な組織名が存在しない。彼等が連合しない理由は表立っては敵対する時もあるからだ。その争いを理由に物流に負荷を掛けて大名などから楽市の様な優遇措置を獲得する。盗品が溜まってくるとよく行うのだ、楽市で盗品売買をするために。

 この様に近江商人の大店は自分達の利益に傍若無人に振る舞い、他国の商人に対しても近江国通行料をせしめたり、法外な値引きや値上げも思いのままだ。応じない商人は謎の武装勢力に襲われる事になる。

 この状況は近江国の小店や生産者も同じなのだ。小店の商人達は大店の許可が無くては商売すら出来ない。しても襲われるだけだ。許可を得るにも上納金が非常にキツく、利益は雀の涙ほどしか残らない。商才があっても成長の芽を潰され続けている者達ばかりだ。

 生産者などはもっと悲惨だ。彼等は売り場を持っていないのだから、生産した商品を売ってお金にするには商人に売るしかない。近江商人一強である近江国では法外な叩き買いに曝されている。

 近江国が肥沃過ぎるからこそ、この法外が罷り通っても破綻していないと言える。いや、破綻ギリギリまで近江商人が管理しているのだ。

 故に『育てるべき苗』は容易に確保出来る。恒興はこの事を信長に三鳥目として伝えたかった。


「結局の所、近江商人をこの世から消す事は不可能です。ならば信長様の理想を体現する様に造り変えてしまえばいいんですニャー」


「『新型』近江商人を育てて、現在蔓延っている『旧型』近江商人に対抗させるのか。オレが楽市楽座で商人を選定して支援していくという訳だな。おいおいおい、楽しくなってきたじゃねぇか」


「でしょう。佐々木家の様に近江商人を倒す為に武力を振り翳すなど下策中の下策。商人は商人の手によって潰すのです。これが今後の予定となりますニャー。まずは楽市楽座から始めましょう」


 これが安土の楽市楽座の真の目的である。『楽座』によって旧型近江商人の地盤を破壊し、『楽市』によって対抗する新型近江商人を育て上げる。政策というよりは懲罰の意味が強い。

 まずは『楽座』によって自由に商える環境を造る。これまで商売をする権利すら支配してきたかの者達の地盤を崩す。これまで辛酸を嘗め続けた小店や生産者は飛び付く様に参加するだろう。かの者達は小店から捲き上げていた上納金や生産者から叩き買いしていた商品を失う事になる。

『育てるべき苗』である小店や生産者に信長の『楽市』の下で自由に商わせて力を付けさせる。才能があり成長が著しい苗は信長が更に支援して育てる。そして『新型』近江商人としてかの者達に対抗させるのだ。

 楽市楽座の必要性を信長に理解してもらった恒興は一息付いて次の話題に移行する。


「次に寺社への矢銭要求の問題なんですけど。あれは免除出来ませんかニャ?」


「何だよ、不満なのか?」


「織田家の資金が足りないとかは無いですよニャー」


「ある訳ねぇだろ。そんな事になってたら、オレは暢気に座っちゃいねぇよ」


 織田家の資金が足りないはやはりなかった。まあ、資金繰りが危うかったら、信長は本拠地に急いで帰っているはずだ。暢気に京の都に滞在している訳がない。

 では何故、信長は寺社に対して矢銭要求をしたのか?恒興はもしかしてと思い聞いてみる。


「では、もしかして、寺社への課税を考えているのですかニャー?」


「……まあな。商人が居る町も対象ではあるがな」


「信長様、寺社を対象にするのはマズいですニャ」


「何故だ!?アイツラは民衆から阿漕あこぎに金を稼ぎ、その金で酒や女を買い、あまつさえ武器を貯め込み暴れてるじゃねぇか。そんな金があるなら税金払えってんだよ!」


 ああ、それかーと恒興は思い当たる。信長の言にウソは無いのだが、実際のところはただの噂話程度なのである。100%無い訳ではないが、被害者による誇張が酷く、噂話に尾ヒレが付き過ぎた結果だ。


「信長様、それは比叡山の末端くらいニャんですよ。武装しているのは確かですが、他はそこまでではないです。興福寺の六方衆は本当に困窮していましたし」


「やけにヤツラの肩を持つじゃねぇか」


 恒興は実際の寺社の現状を伝える。比叡山の末端が荒れているのは否定しない。というか、噂話の発生源なので。

 恒興に反対された信長は少し不快そうな表情をしている。


「寺社は基本的に『生産性0』ニャんですよ。それなのに寺社課税をしたら更に阿漕に稼ぐか、潰れちゃいますって」


「む、……」


「桶狭間の戦いの前に熱田神宮の修築をやりましたニャ?アレ、幾ら掛かりました?信長様が2千貫、津島会合衆が1千貫、その他豪族やらの寄附が500貫未満で、肝心の熱田神宮は100貫も出しましたっけ?無いんですよ、熱田神宮は基本的に寄附と御札販売で経営してますから。昔はスゴイ鳥居前市が在りましたがそのまま熱田の町になりましたし、室町後期の混乱で利権の殆どを失いましたから。いにしえには日の本の歴史すら左右した勢力が、今はこの体たらくですニャー」


「お、おおう。よく知ってんな」


 寺社というのは基本的に生産性がまったく無い。なので寺社課税をしたら何らかの稼ぎをせねばならない。出来なければ税金で潰されるだけだ。

 恒興が例に出したのは熱田神宮。桶狭間の戦いの前に大規模な修繕工事を行った。信長や津島会合衆、その他豪族や国人から寄附を募って行ったのだが、熱田神宮からは100貫すら出せなかった。古には日の本の歴史すら左右し、鎌倉時代には足利家と縁戚にまでなった熱田神宮だったが、準御連枝の那古野氏などの没落に巻き込まれて力を失った様だ。それ以降は地域の武家や商人が支える形で存続している。


「で、現在は伊勢神宮から寄附を求められてますニャー。もう100年近く『式年遷宮』をしてないって」


「ま、まあな。いや、やるぜ、ちゃんとな」


「幾ら掛かるって言われましたかニャー?」


「たしか3千貫もあればって言ってたぞ?」


「熱田神宮の修築ですら3千貫以上掛かるのに『式年遷宮』が3千貫で済む訳ないですニャー!絶対に3倍以上掛かります!こんな単純な計算も出来ないくらいにお金儲け出来なくなってるんですよ。寺社課税したら潰れますって!」


「お前はいったい誰に怒ってるんだよ!オレか?オレが悪いのか!?」


 そして伊勢神宮の式年遷宮だ。伊勢神宮も資金繰りが非常に悪く、応仁の乱の発生や後ろ盾だった『伊勢氏』が没落したので既に100年も式年遷宮が出来ていない。来年に当たる1563年の式年遷宮を目指して各地で寄附を募っている最中だ。そんな中、濃尾勢の大大名となった織田信長の所にも当たり前だが来ている。

 これに対し、信長は全力で応える気でいる。いや、やらねばならないのだ。熱田神宮の件もそうだが、地元の祭事に対して信長が誰よりも頑張らねばならない。それが出来ないと「何の為の支配者なんだ?」と民衆から思われ支持を失うからだ。

 恒興自身、式年遷宮に掛かる費用までは知らない。ただ前世の記憶から『1万貫ほど掛かった』事を知っているだけだ。だが大した誤差は無いだろう。伊勢神宮自身で巨額を集められるという事は無いと予測出来る。

 当初、伊勢神宮側は「3千貫もあれば余裕ッスよー」と信長に言っていたらしい。信長は「そんな訳ねぇだろ」と看破していた様で、滝川一益をサポートに付けて3万貫ほど岐阜城に用意していたらしい。ただ、今回の式年遷宮は外宮のみに留まる様だが、それでも1万貫以上が掛かった事になる。


「まあ、アレですニャー。寺社課税はマズいって話です。阿漕に稼ぐ輩には免罪符を与える様なもんですし、ニャーはその阿漕な稼ぎを取り締まりたいんですニャー。まずは近江商人の暴力装置でもある比叡山の稼ぎを」


「ほう、何をするんだ?」


「比叡山の稼ぎの一つを奪取しますニャ。まだ狸の皮算用状態ですが、現状でも年間5万貫の利益が出るかと」


 恒興が寺社課税を止めてほしいという目的は、寺社が潰れるからではない。現在、寺社看板を盾に阿漕な稼ぎをしている者達を取り締まりたいからだ。もしも寺社課税をしたら税金を払う為という免罪符になりかねない。


「ご、5万……。お、お前、稼ぐなぁ……」


 年間利益が5万貫と聞いて信長は戦慄する。思えば恒興を城主にした頃の犬山は最前線の寒村でしかなかった。それを恒興はあっという間に尾張でも有数な商工業都市に育ててしまった。その手腕は頼もしくもあり恐ろしくもある。

 池田恒興自身に謀叛の気配など無い。だが二代目三代目以降となると状況は変わる。果たして池田家は織田家を支え続けてくれるのか。

 恐ろしく稼ごうとする恒興を止めるべきか、という考えまで信長の脳裏に浮かぶ。そう逡巡する信長を見て恒興は首を傾げる。


「?何を言ってるんです?これは信長様の新しい財源になるんですニャ。そのためにニャーは近江国で頑張っているんですから」


 恒興は事も無げに言い放つ。これは織田信長の新しい財源だと。そもそも恒興が近江経略の責任者なのは近江商人対策もあるが、それに付随して近江の財源を織田家の物にする為でもある。現在、恒興が頑張って近江国各地を攻略しているのは自分の為ではなく信長の為なのだ。


「そ、そうか、そうだったな!それでオレは何をすればいいんだ?遠慮なく言え」


「まずは楽市楽座ですニャー。大前提となりますので。あとは産業拠点の候補地選びが必要ですが、こちらは1、2ヶ月ほど掛かるかと」


「分かった、楽市楽座だな。それはオレがやる。丹羽長秀も都入りするし、何とかなるだろ」


 信長にとってみれば、楽市楽座は慣れたものだ。それに丹羽長秀が都入りするので奉行に任じて使い倒す予定である。恒興はとりあえず過労で倒れるニャよと願う。


「そういう事情もあり、寺社課税は見送ってほしいですニャー。だいたい、支払いに応じる寺社なんかいないでしょう」


「いや、何故か石山本願寺は支払ったぞ。通常2千貫のところを5千貫と吹っ掛けてやったんだがな」


(ニャんで石山本願寺が払うんだニャー?前世もそうだっけ?よく覚えてねーギャ)


 織田家と本願寺の関係を考えれば、矢銭を払うなど有り得ないと恒興は思う。敵対一歩手前くらいだ。だから恒興は対本願寺の方策を練っている。ただ、その辺の前世の記憶は曖昧だ。当時の恒興が寺社に興味がなかった事に起因する。


「寺社課税は見送ってもいいが、商人町への矢銭要求は取り下げる気もねぇ。商人には腹決めてオレに投資しろっていう合図だからな。贔屓に使う商人の選別にもなる。堺会合衆だって半分以上が未だに日和見してるだろ」


「ニャるほど、それは確かに。そろそろ態度をハッキリさせろという意味もあるんですニャー。では、堺にはニャーが交渉してきます」


「応、任せた」


 信長は寺社課税については撤回するとしたが、商人町に対してはそのまますると決める。それについては恒興も賛同する。恒興としても未だに半数以上が織田家支持を表明していない『堺会合衆』に覚悟を決めさせたいと思っていた。その為に堺の天王寺屋と相談しなければと考える。恒興の義祖父である天王寺屋宗達が未だに動いていないのは恒興を待っているからだと推測している。

 寺社課税の撤回と堺行きが決まったので恒興は次の話題に移る。


「最後に北近江浅井家の攻略を開始しますニャ。名目は『京極家嫡子の京極小法師を奪還』となります。なので京極高吉殿にも来て頂きますニャー」


「いよいよか。どれくらいまでやるんだ?綺麗サッパリまでか?」


「いえいえ、やり過ぎると浅井長政が「もはやこれまで」と京極小法師を道連れにしかねないですニャー。ある程度の力は残して、傘下として従うなら良し、受け入れないならのちに潰します」


「で、あるか。なら目標を追加だ。幕臣の朽木家から幕府を通して要請が来た。浅井長政に取られた人質の返還だ。同時にやれ」


「畏まりましたニャー」


 恒興の次の攻略目標である浅井家について。彼等と戦うにあたり大義名分となるのが『京極家嫡子の京極小法師を奪還』である。この件は既に幕府将軍の足利義昭からの命令でもあるので、十二分に大義名分として機能する。更に追加で幕臣の朽木家からも浅井家に取られた人質の奪還を依頼されたとの事。朽木家は幕臣なので当然、この依頼も幕府の命令である。恒興としても予定通りだし、近江商人の暴力装置の一つである浅井家を放置する気は無い。ただ、浅井家を滅ぼすまではやらないつもりだ。ある程度、勢力を減らして傘下とするのが上策と考える。追い詰め過ぎると浅井長政が人質も道連れに自刃しかねない。

 流石にそうなると京極家の御家断絶が見えてしまう。京極高吉は既に50代後半なので、今から後継者を作るというも中々に無理がある。少なくとも戦国時代では常識的にそう考えられている。


「しかし浅井家ってのは変だな。お前は浅井家を『土一揆』だと言ったが大名にしか見えんぞ」


「そうですニャー。土一揆って参加豪族は同志となりますので甲賀衆みたいな横並び合議制になるのが普通ニャんですけど。盟主はいても命令権までは無いってのが殆どですし」


 信長は浅井家と聞いて、以前に恒興が言っていた事を思い出す。『浅井家は土一揆』『浅井家当主には大した権力が無い』という辺りだ。信長自身でも調べては見たが、恒興の分析は的を射ている様には感じられないのだ。

 恒興自身も普通の土一揆に浅井家が当て嵌まっていないとは思っている。ただ、思い当たる節はある程度だ。


「成り立ちは土一揆なのに大名化したのか?盟主だった浅井亮政は土一揆を大名化させる程の傑物だったという事か?」


「無い訳ではないですが、浅井亮政は朝倉家に惨敗してますからニャー。相当、難しい気がします」


「その朝倉家もたった5ヶ月で小谷城を開放してるし、その間は六角家を入れなかったみたいだな。朝倉家は六角家の要請で動いたんじゃなかったのか?」


「要請したのは土岐家って話もあるくらいで、その辺りの情報は錯綜してますニャー」


 浅井家の成り立ちは土一揆である。土一揆と一揆は別物なので注意が必要だ。一揆は江戸時代に起こった農民蜂起の事である。だいたいの人は土一揆も似たものだと思うかも知れない。文字が似ているので尚更だ。

 しかし土一揆というのは豪族などの武士が主体で、下剋上未満の蜂起の事だ。その後の対応を間違うとそのまま下剋上に発展する危険な代物である。大抵の場合は『惣』を結成して横並びの同志となって協力体制を維持する事が多い。伊賀国の豪族達がこの『惣』の状態で、彼等は伊賀国守護の仁木家に対する土一揆である。

 浅井家の場合は京極家の相続問題が始まりで、京極家当主が対応を間違えた為に下剋上まで発展したパターンだ。普通なら浅井家が大名として名乗りを挙げて終わる話なのだが、京極家と元を同じくする六角家の存在がある為にややこしくなった。六角家が京極家のマウントを取ろうと、浅井家の主君的に振る舞ったのが原因っぽいが。浅井家の凄い所は六角家、朝倉家、土岐家を敵に回して生き残っている事だ。


「意味が分からんな。土一揆が周りの大名を全て敵に回して生き残った上に大名化する、か。何か作為的なモノを感じるな」


「一番、怪しいのがアイツラな訳ですニャー」


「近江商人か。そんな事まで出来るのか。その話が本当なら気を引き締めて掛からんといかんな」


 この浅井家の生き残りに関しても近江商人の関与を疑っている。もしも浅井亮政が近江商人と懇意で彼等の支援を受けていたとしたら、浅井家を中心に大名化するのも不思議ではない。

 ただ、この話は憶測でしかない上に過去の事で、現在は意味がない。なので恒興は信長の基本姿勢について聞いてみる。もしかしたら変化しているかもと思ったからだ。


「信長様は朝廷と幕府と、何方を重視していくんですニャー?」


「ん?どういう意味だ?」


「いえ、幕府の役職を断ったと聞きましたので、朝廷重視で行くのかニャーと思いまして」


「何言ってんだ、お前は?帝はもちろん支えるが、公方様も全力で支えるつもりだぜ」


 信長の答えは両方重視するだった。恒興は信長が前回と同様に幕府役職を受け取らなかったので、朝廷重視で官位を上げていく方針かなと思ったのだが当てが外れていた。そういえば前世でも幕府役職を貰わなかった理由は聞いていなかったので、今回は聞いてみる事にした。


「……?はい?……じゃあ、何故幕府役職を貰わなかったのですニャー?」


「いや、だってよ、お前。素人のオレが役職貰っても上手く務められるかって問題があるだろ。だいたい幕府の仕事をしている暇は無い訳で、受けても迷惑だろうなーと思ったんだよ」


「えー……」


「な、何だよ。オレが嘘や誤魔化しを言ってるとでも思うのか?お前相手に使う訳ないだろ」


(ニャーは嘘や誤魔化しであって欲しかったですよ。まさか目論見無しの真面目に考えた結果、断っただけニャんて)


 信長が幕府役職を断った理由は『上手く務まるか自信が無いから』である。信長はどうやら幕臣になったら政務所とかに行って、延々と仕事をせねばならないと考えている様だ。……大名格の幕臣は役職はあってもそんな仕事は殆どしていない。幕府で偉そうにしているか、領地経営しているかのどちらかだ。


「信長様、朝廷と幕府は水と油ですニャー。混ざり合う事はありません。何方かを重視するのは仕方ない事ですよ」


「そういうのを何時までも引き摺り続けているのがおかしいと思わないのかよ、お前は。帝も公方様も争いを望んでいるとは思えん」


「争いを望んでいるのは、そのお方がたではないですニャ。公家と幕臣です。帝は外にお出でにならないので情報は公家頼りです。公方様は固有の武力が無いので幕臣を頼らないといけませんニャー。結局は公家と幕臣を離せない状況ですから改善は難しいです」


 恒興は朝廷と幕府は水と油で混ざり合わないと説明するが、信長は過去を引きずり過ぎだと反論する。問題は争っているのが帝と将軍ではない事だ。争っているのは公家全てと幕臣全てである。人一人二人の話ではない。こんな大人数の意思を纏めて仲直りさせるなど至難の業だ。それこそ朝廷か幕府を一回解体して作り直した方が早い。まあ、解体するなら幕府だろう。


「何とかならないものかな。そんな不毛な事を続けるべきじゃねぇだろうに」


「まあ、状況が変われば解決策が生まれる事もあります。ニャーも探っておきますので」


「そうだな。今はそんな所か。下がっていいぞ」


「ははっ」


 信長との会見は終わって、恒興は退席する。その途中の廊下を考え事をしながら歩く。先程の朝廷と幕府の何方も重視するかという信長の答えを。


(信長様はまだ迷っておられるのかニャ。だから今はどちらにも良い顔をしておきたいんだニャー)


 恒興は信長が八方美人でいたいのだと考える。朝廷と幕府、何方とも関係が壊れていないのでなるべく維持したいのだと。


(今のところは問題ニャいけど、先々に問題が起こらないってのは有り得ない。数百年も抑え続けられた朝廷は今が好機だと思ってるし、幕府は復権して再び朝廷を抑えようと画策する。カギとなるのは信長様という事だニャ)


 だが、そんな信長の考えとは真逆に公家と幕臣は更に苛烈に争う様に行動しているだろう。公家は平安期の様に武家が朝廷に仕えている状態に戻したい。統治する実権は無くとも上位者として君臨したいのだ。幕臣は足利義満公の治世を取り戻したい。朝廷を完全に抑え込み、天皇位すらも狙えたという足利幕府の最高潮を再現したいのである。そのために両者が欲しているのが金と武力だ。その両方を兼ね備えている織田信長が中心となるのは目に見えている。


(公家には武力が無い。故に穏健な手段しか取れず、訴えを出すくらいしか出来ニャい。しかし幕臣は違う。邪魔なら武力を行使してくるニャ。差し当たっては他の大大名に上洛を促すとかね)


 両者の織田信長取り込みは激しさを増すだろう。しかし取り込み劣勢となった方は織田信長が邪魔になってくる。それはそうだ、相手側に取り込まれるという事は、そのまま敵になるからだ。

 そうなった時、朝廷と幕府では対応が違う。

 朝廷側は訴えを出すか、諦めるくらいしか手が無いだろう。帝の勅を出すという手段もあるのだが、それは最終手段となっている。過去に後白河法皇や後鳥羽上皇が勅を乱発して武家に痛い目を見せられたので学習している。

 だが幕府の対応は違う。邪魔なら武力で始末しようとしてくる。細川晴元など好例だ。彼は細川京兆家の当主争いや幕府の主導権争いで活躍した、……活躍したのは主に三好元長だけだが。自分の為に散々使い倒した三好元長の声望が高まると、邪魔だと考えて一向一揆に殺させた。因みに討伐の報せも宣戦布告もしていない。三好元長は厳しい事を言う人物であったが、全ては主君の為で謀叛など考えてすらいなかった。信長もこのままなら同じ目に遭わされるかも知れない。まあ、恒興は幕府も見張るつもりだが。

 そのため、手切れとなるのは幕府が先だと恒興は踏んでいる。先程も述べた様に、公家と幕臣の争いに終止符を打つなら何方かを解体する必要がある。恒興としては幕府を解体して信長政権を樹立する方が理に適っていると考えている。


(ふーむ、まだ時が早かったかニャ?でも行動が出れば信長様も覚悟を決めて下さるニャー。それまでニャーは織田家の地盤固めを頑張ろう。しかし問題はあの北畠具教だ、あの剣鬼大名は何しに来たんだか。それとなく探りを入れとくかニャー)


 とりあえず問題は先送りする事にした。こればかりは信長自身で決断してくれないと動けないからだ。それまでは織田家の地盤固めをして準備を整えようと恒興は思う。

 そして今一人問題として浮上したのが北畠具教だ。彼が何を考えて京の都に来て信長に与力するのか。その理由を探らねばと恒興は感じた。


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【あとがき】


恒「比叡山の稼ぎを奪うってどんなものだニャ?年間5万貫とかスゴイんだけど」

べ「まだ内緒。この話だけでもいろいろ準備があるから4、5話掛かると思う。なるべく短い話数で書きたいけどね。威力は……比叡山が行動不能になるレベル。行動開始は浅井長政さんと戦った後くらいだね」

恒「いいニャ、それ。比叡山を焼かずに行動不能に追い込めるなら信長様も『仏敵』という悪名を被らずに済むしニャー」

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