稲葉山城攻略
信長の軍団は小牧山城から出陣し一宮、墨俣と経由し稲葉山城へと到る。その間に恒興は可児才蔵の親衛隊五百を率いて信長と合流した。そして信長は稲葉山城に進軍すると城を囲む様に布陣した。
一方、稲葉山城の斎藤龍興は対応の遅れと徴兵拒否もあり、2千の兵力を集めるのが精一杯だった。しかし2千でもよく集めた方だ。兵を集めるなら一週間くらいは見ておかねばならない。民兵である農民を集めるには時間が掛かるからだ。その為、敵対国を見張り徴兵を始めれば同時に徴兵を始めるのだ。
だが織田信長は小牧山城に家臣と傭兵を集住させ、その兵士徴収に掛かる時間をほぼ無くした。そして尾張国内の街道整備に墨俣城を造った事により、3日で稲葉山城に迫った。つまり信長が出陣を指示してから、実質4日で来た事になる。これでは龍興が兵を集められなくても仕方無いだろう。
そして信長が稲葉山城に布陣して3日後に池田家家老・土居宗珊率いる犬山軍が到着する。
「殿!ようやく追いつきましたぞ。遅くなって申し訳ありませぬ」
「いや、3日でよく来てくれたニャ、宗珊」
「見たところまだ城攻めは始まっておらぬようですな。他の皆様はもう来られたので?」
「いや、皆ニャーと一緒だ。手持ちの数百の手勢で駆けつけた者達ばかりだ。まあ美濃の豪族は流石に来たけどニャ」
織田家の家臣達は皆、突然の出陣に驚き、恒興の様に今直ぐ動ける者達だけを連れて合流した。故に一万五千程度の兵力となったが、十分過ぎる程だ。何しろ対する龍興は二千の兵力しか集められなかった。六千近くの限界兵力を徴集可能な稲葉山城だが、関城でも起こった徴兵拒否に時間が無い事もありこの程度しか集められなかった。流石に織田軍一万五千を二千の兵では迎撃出来ず、龍興は最初から稲葉山城に籠城した。
そして信長は難なく包囲を完成させ、近場の豪族は順次集結した。
「成る程、では我等の配置もまだ決まりませぬか」
「いや、決まっているニャー。木下秀吉の援護だ、ニャーは別行動だけどね」
「?それは一体どういう事で?」
宗珊は不思議に思う。普通、池田軍が木下秀吉の指揮下に入る事はない。総大将の信長の命令なら聞かなければならないが、通常は別の部隊として運用する。そのための軍団長だ。
「城攻め前にちょっとしたイベントをやるんだニャー。それで秀吉が一番人手が足りないから手伝いだ。あと、長安にニャーの所に来る様に伝えてくれ」
「そうですか。ではその様に」
「頼むニャ」
信長は城攻めの前にある事をやるつもりであった。というよりそれが今回の目的と言える。そのため稲葉山城攻略の方がオマケでしかなかった。
恒興はそのある事の司会を務めるよう、信長から言い渡されていた。
----------------------------------------------------------------
夜になり、手の空いている家臣が全て集められる。
現在、稲葉山城の包囲は主に美濃の豪族のみで行われ、信長の傭兵及び他の織田軍は別の場所に行った。今この特設会場に集まったのは信長の家臣のみである。
一段高く作られたステージに三人の人物が座り、脇に恒興がいる。他の家臣は皆ステージ前に並んでいる、城主も奉行も母衣衆も関係無く。
そして恒興が一歩進み出て、説明を始める。
「はい、皆様。まずお手元の資料にあります通り井ノ口の町を焼きます。全部です。一切合切を火の海に沈めます。よろしいですかニャー?」
「「「おー!」」」
「注意点は3つ。まず割り当てられた場所は隅々まで焼いてくださいニャー」
「「「おー!」」」
「次に猫がいたら優しく避難させてくださいニャー。その優しさがいつか世界を救います」
「「「おー!」」」
「最後にこの催しはポイント制になってますニャー。頑張った人には信長様からご褒美がありますニャ」
「「「おー!!」」」
これから始まる催しは稲葉山城の城下町・井ノ口の町に対する焼き討ち大会である。対象は井ノ口の町全域に及ぶ。戦国の常識としては占領する城の城下町はあまり焼かない。占領出来ないのなら相手を弱めるために焼く事はあるが。
なので信長の行動はかなりの常識外れとなる。だが信長は何としても井ノ口の町を焼き滅ぼさねばならない理由があるのだ。その真意を知る者は少数であった。
次に恒興は猫の避難を呼び掛ける。それは飼われている犬は既に避難したはずなので、残っている可能性があるのは気まぐれな猫だろうと言う訳だ。それがいつか世界を救うと信じて……。
最後は採点方法である。ポイントは三人の審査員の独断と偏見によって決められる。簡単に言うと三人の審査員を楽しませれば高得点となる。これが今回の褒美の多少に関わるので各人気合いを入れた。
「では審査員のご紹介ですニャ!まずは織田家筆頭家老にして苦労人・林佐渡守秀貞殿!」
「苦労人って・・・否定できないのが悲しいよ」
「目指せ路上格闘家、織田家家老・佐久間出羽守信盛殿!」
「ワシそんなの目指してんの!?」
「そして眉目秀麗、空前絶後、史上最強、権謀術数、偉大なる織田家の当主・織田信長様ですニャー!!」
「今日は楽しませてもらうぜ!」
審査員は主催者である織田信長、家老の林佐渡、同じく家老の佐久間出羽となる。
「それでは皆様『第一回織田家主催・井ノ口の町焼き討ち大会』開始ですニャー!!」
こうして『第一回織田家主催・井ノ口の町焼き討ち大会』は開始された。因みに第二回は無いので注意してほしい。
「因みに真面目にやってない方には罰として・・・信長様による身も心も(地位的、金銭的に)凍るお仕置きだニャー!」
「月末の給料査定はドラマがあるぜ」
これが一番怖い罰となるだろう。信長の罰となると領地に関する事まで可能だからだ。だから参加者は家臣に限られる。豪族の領地に手を出すと離反される理由となってしまう。
という訳で(?)家臣には手加減無しである。
「あるいはサドの神降臨による鞭乱舞ニャ」
「何?ストレス発散に協力してくれんの?」
林佐渡は何処からともなく鞭を取り出し構える。その表情には愉悦の笑みが浮かんでいた。
「はたまた出羽殿による何とか殺とかいう何かでK.O.のどれかを選んでいただきますニャー」
「なにそれこわい」
そして佐久間出羽の『何とか殺』という何かは瞬きの間に何かを数十発叩き込むという、何か精神的にくるものがあり何となくK.O.されると言う恐ろしい技である。精神的攻撃なのでこの技を受けると何となく一週間は立ち直れないと言われている。
「さあ始めましょう!まずは織田家きっての万能武将!丹羽五郎左衛門尉長秀の登場ですニャー!」
「ふっ、何故この私が『米五郎左』と呼ばれるか、今こそ見せましょう!」
長秀は進み出て自分の四方に篝火を用意させる。その篝火に入っている松明を
「ファイファイファイファイファイファーイッ!」
「おおっと、米五郎左の連続松明投げだニャー!精密なコントロールで狭い窓をくぐり、民家はたちまち炎上だー!」
投げられた松明は恐ろしい精度で、民家の窓を潜り抜け次々に炎上していく。そして長秀は周りをあっという間に火の海とした。
「流石は織田家の未来のエースだね、10ポイント!」
「うむ、松明投げで奴の右に出る者はおるまい、10ポイントだ!」
「五郎左、天晴れだ!10ポイントやるぜ!!」
合計30ポイントという高得点となった。長秀は満足そうに拍手を浴び下がっていった。因みに丹羽長秀はこの松明投げの名手であるから『米五郎左』との異名を取る!……訳ではないの注意が必要だ。実際のところは米が食べ物にも通貨の代わりにもなる便利な物なので、米の様に便利な(何でも出来る)五郎左という意味である。
「次に出るは織田家きっての猛将!柴田権六郎勝家!さあ、始めるニャー!」
二番手は柴田勝家。
彼は自分が鍛えた自慢の精鋭部隊と共に安濃津城から急いで来た。その精鋭達を一列に並ばせ火矢を
「くっ、五郎左に負けてなるものか!柴田衆!かかれぃ!!」
「おお、こちらは火矢の一斉発射だニャー!一糸乱れぬ動きとはこのことかー!」
勝家の大きな号令の元、柴田衆の精鋭達は一斉に火矢を放つ。それは炎の軌跡を夜空に残して、美しい放物線を描き目標へと命中していった。
「もうちっと捻れよ、権六、3ポイント」
「ただ矢を放っただけではないか、2ポイントだな」
……しかし精鋭達の弓術技能が如何に優れていたところで火矢では目標に燃え移るのは相当遅い。結局受けは散々であった。
「恒興!権六の兜を剥ぎ取れ!」
「了解!兜没収だニャー!」
「アーッ!!」
恒興は容赦なく勝家の兜をを没収する。信長の命令が出た場合の恒興は、相手が誰であっても手加減はしない。
しかも信長の命令はただの採点なので、勝家への罰はこれからだ。
「権六~、お前真面目にやらなかったらオレから身も心も(地位的、金銭的に)凍るお仕置きがあるって、恒興が説明しただろうが」
「え?あれは選べるんじゃ……」
「罰だ、お市との祝言は延期だぜ!」
「ギャーーーーーッ!!!???」
信長の宣告を聞くと、勝家は叫び声と共に大きく仰け反った。そのまま膝から崩れ落ち、
(信長様、公私混同になってますニャ。権六、成仏しろよ)
取り合えず恒興は合掌して勝家の冥福を祈った。
信長はシスコンと言うか兄弟は全員大切にしている。故に弟の信勝の事はとても後悔しており、彼の子供は信長が養育していたりする。
「さあ、成仏した権六は放っといて次ですニャー!赤母衣筆頭・前田又左衛門利家!」
「この『槍の又左』が決めるぜ!!」
利家は槍を回しながら舞う様に登場する。そして槍を篝火に
「見よ!この俺の究極奥義・火炎槍!!」
利家が炎の槍を派手に振り回すと次々に民家が燃え上がっていく。おそらくは民家には事前に油でも撒いていたのだろう。だが槍による破壊とそれに伴う炎上は中々に見応えがあった。視覚効果は抜群であった。
「おおー、炎の槍で突かれる度に民家が炎上していくニャー!・・・又左、お前その槍いくらするんだ?お松ちゃんに言い付けるぞ」
「頼む!!黙っててくれ!!!」(迫真)
いくら何でも炎を上げ続ける槍が二度と使える訳がない。取り合えず恒興は利家の妻・松に
「身銭を切って芸を取ったか、やるねえ。7ポイントってとこか」
「自ら(の懐)を炎上させるとは大した奴だ。6ポイント」
「8ポイントってとこだな。でも後で妻にどう叱られるのか興味があるからポイントゲットは一ヶ月後だ!」
「マジっすか!?」
そして恒興の
21ポイントという中々の高得点を取った利家だったが、信長の宣言により功績獲得は一ヶ月後となる。利家は大きな身体で項垂れてイジけた。燃え尽きた槍を傍らに。
「さて、お次は新参者!明智十兵衛光秀!その優等生面を張り飛ばしたいヤツは
「何でそんな悪意のある紹介なんですか!?」
多少、本音が見え隠れしながら恒興は明智光秀を紹介する。そんな恒興にツッコミを入れつつ、光秀は内心焦っていた。戦に来てこんな催しをやるとは思っていなかったのだ。
(しかしどうするか?何も考えて無かったというより、織田家がこんなノリだったとは……)
「あ、そ、そうですね。この情景で一句『燃え盛る~、焔なべては、夏柳~、……』」
という訳で光秀はこの情景を背に和歌を歌ってみる事にした。炎を枝に見立てて巨大な柳の様だと表している。
……ただ詩を介する審査員なのかという事と、光秀は何も焼いていない事が問題だ。特に林佐渡と佐久間出羽は冷めた目で光秀を見ていた。
「寒いね、火が消えそう。1ポイント」
「詩は分からんわ。1ポイント」
「光秀~、テメエも権六と同じ目に合いたいらしいな」
「えっ!?ですから信長様、罰は選べるんじゃ……」
家老達の反応を受けて信長も
「よし、恒興。この扇子で光秀の頭を叩け」
(優等生に少し屈辱でも与えてやろうかな)
信長はいたずらっ子の様な顔をして罰の内容を宣告する。つまり人前で
この信長の命令に恒興は前世のある記憶を思い出した。それは後年、信長が森乱丸に命じて光秀を扇子で叩かせた事だ。これは光秀謀反の理由の一つではないかと噂された。そのため恒興は少し躊躇う。
「信長様、ニャーはそんな……」
「池田殿!私に構わずやってくだされ!これは貴殿のためでもある!」
(功績を譲ってくれた池田殿にこんな事で信長様の不興を買わせられない。私が我慢すれば済む事……はっ!)
だが光秀は恒興のためを思い、構わずやるように促す。そこには以前の北畠家攻略の際、交渉の使者に恒興によって指命された事だ。このため光秀は早期に織田家内で立場を確立出来たのである。
光秀はそう考え恒興に向き直る。……だが恒興の目にはただならぬ光が宿っている事に光秀は気付いた。
「おおっ!!やってやるニャー!!ニャーの松倉江(鞘付き)を喰らえぇぇぇーーーいっ!!!」
「え!?ちょ、扇子は!?ぎゃーーーっ!!」
恒興は何の躊躇いも無く松倉江(鞘付き)を引き抜くと、上段から光秀目掛けて打ち下ろす。光秀はそれをまともに食らってしまい、昏倒して倒れた。周りの観衆から見てもやり過ぎの一言であった。
「ふう、スッキリしたニャー」(これでヨシ。信長様への恨みは回避したニャ)
「おーい、恒興ー。流石にやりすぎだぞー」
「……時々、恒興って性格がブッ飛ぶよね」
「うむ、容赦無き猫よ」
容赦ない恒興を見て信長は、このからかい方は止めようと思った。
「次ですニャー!農民から城主にまで出世した織田家一の器用貧乏!無人の墨俣を統べる木下藤吉郎秀吉の登場だニャー!その民衆支持率は驚愕の『0』!!」(0人だから)
「え?いや?え?」
恒興は今しがた信長の所に報告にきた秀吉を指名する。突然の指名に秀吉は目をぱちくりさせて戸惑う。何しろ現在秀吉の部隊は作業中で彼も現場に戻るつもりだったからだ。
そんな秀吉に恒興は情け容赦無く宣告する
「さあ、始めるニャー!」
「あのー、勝三殿。俺、報告に来ただけなんだけど。大体部下は全員作業してて、俺一人じゃ何も出来ないと思うんだけどさ」
「……」
「……」
二人の間に微妙な空気が流れる。たしかに部下の一人もいないのでは、多数の民家をスタイリッシュに焼くのは難しいだろう。そもそも彼は何の準備もしていない。
秀吉は今回、作業だけで大会に参加しないと思っていたのだ。それが信長の命令だと。
そんな風に考えていた秀吉を恒興は逃がさなかった。
「それはそれは、罰だけ受けに来るとはいい心構えだニャー」
「え!?でも……」
「藤吉、大会の冊子は読んでニャいのか?織田家臣は全員参加だ、お前だけ特別扱いなんかある訳ねーギャ!どうですかニャ、信長様!」
「ようし、秀吉の罰は……」
この『第一回織田家主催・井ノ口の町焼き討ち大会』は
信長は立ち上がり罰の内容を考えるが、それより早く林佐渡が立ち上がり罰の内容を宣告する。鞭を片手に。
「アタシの鞭打ちの刑だね!」
「何ぃ!?それなんてご褒美……じゃなくて!ちょ、ま、アーーーーーッ!!」
秀吉は嬉しそう……もとい、驚愕の表情で戦慄した。そして彼に正に乱舞というべき鞭が襲い掛かり、秀吉は叫び声を上げた。
「はい!何とかコードに引っかかりそうニャんで、他所でやってください。次々行くニャー!」
取り合えず恒興は陣幕を張って、二人を隔離した。子供の情操教育に悪いからだ。ここに子供は居ないが。
こんな感じで大会は進み、いよいよ最後の出演者となる。
「さあて、宴もたけなわ、おお取りを務めますのは黒母衣筆頭!佐々内蔵助成政だニャー!」
「よし、内蔵助流・火薬爆破!やってやるさ!」
「おおーっ!流石は鉄砲を扱わせれば織田家一!火薬の扱いも一流だニャー!」
成政は鏑矢を放って部下に合図を送る。おそらくここから派手な火薬爆破の花火を最後に飾るのだろう。
ただ予想外だったのは成政の部下から何の反応もなかった事だ。成政も恒興も返ってこない部下の反応を待ち続ける。
恒興も解説を入れた手前、焦れてきて成政に問い質す。
「……で?何時になったら爆発すんだよ、内蔵助?」
「あ、あれー?」
「すんませーん、殿ー。何か赤い服着た人に火薬全部取られちゃいましたー」
「何ぃ!?」
佐々衆の一人と思われる兵士が成政に駆け寄ってきて報告を行う。それによれば赤い服を着た何者かに爆破用の火薬を全て奪われたとの事。思いがけなかった事態に成政も驚く。
そして審査員の面々からは怒りの声が上がる。
「はあ?何やってんだ、内蔵助!」
「流石にこれは白けたね。0ポイント」
「どうやらワシの超必殺・何とか殺を見せる時か。0ポイント以外あるまい」
「内蔵助!出直してこい!」
そして信長からやり直しを命じられる。催しの最後を飾るおお取りがこの様では納得できないのだ。
「はい、退場。はい、退場だニャー」
「ちくしょー、盗ったのはどこのどいつだ!」
恒興は成政の
だがその直後にズドンという振動音が鳴り響く。それは連続して鳴り響き辺りの民家を吹き飛ばしながら大炎上していく。さながら地上の花火の如く。その中心には真っ赤な袴に身を包みウェーブがかかった長い髪を頭の後で結っている少女がいた。
「フフフ、ハァーハッハッハ!燃えよ、吹き飛べ、美しい赤じゃー!!」
その少女は空を仰ぐ様に両手を広げ、高らかに笑っていた。燃え盛る町を背に。
恒興はその少女を知らなかったが、既に焼き討ちを始めているので解説する事にした。
「うおお、大地を揺るがす轟音!そびえ立つ火柱!一瞬にして周囲は火の海だニャー!」
「まだじゃ!火薬ならいくらでもあるぞ!燃えるがいい!燃え盛るがいい!この世を美しい赤で染め上げるがいい!!」
「それ、俺の火薬ー!?」
少女はまだ吹き飛ばされていない民家に次々と火薬の入った桶を投げ込む。そして炎の中に投げ込まれた桶は大音量の爆音と共に民家を吹き飛ばし火柱を上げた。
成政は投げられている火薬は自分のだと主張するが、爆音と火災に魅せられた観衆は誰も聞いていなかった。
「アーッハッハッハァ!煉獄に沈め!井ノ口よ!アーッハッハッハ!!」
そして狂った様に笑い出す。最早周辺は火薬による破壊と火災で灰塵と帰した。
広範囲かつ徹底的に焼いた彼女の暴虐に観衆は惜しみ無い拍手とスタンディングオベーションで賞賛した。三人の審査員も満面の笑みで拍手を贈る。
「狂いっぷりがGOODだね。20ポイント!」
「で、何処の誰なんだ、その娘。でも20ポイント!」
「ナイス赤だぜ!文句なしの20ポイントだ!」
「おお!これは大会史上初の高得点!世界記録更新(?)ですニャー!!……で、どちら様ですかニャー?」
彼女は審査員からの最高評価を受けて、60ポイントという高得点を叩き出す。
恒興の言によれば世界記録更新となる高得点のようだ。……第一回だから世界記録更新はおかしいとか、第二回は無いから意味がないとか言ってはいけない。
という訳で恒興はその少女の名前を訊ねる。
「ふん、妾の名は稲葉彦六貞通。西美濃最強とは妾の事じゃ!」
彼女は稲葉彦六貞通と名乗る。
その名は西美濃曽根城主・稲葉右京亮良通の嫡子だと恒興は思い当たった。
「……あのーですニャー、西美濃最強は稲葉良通殿では?」
「何じゃ、妾に口答えか?どうやら貴様も赤に染められたいようじゃの」
「いいえー!滅相も御座いませんニャー!」
(怖ぇー、ニャーの本能が危険だと叫んでるニャ)
彦は女性にしては身長が高く、恒興の方が少し低い。そのため恒興は彦の見下ろす様な視線に恐怖を感じた。逆らわない方が身のためと。
「貴様の名は?妾は名乗ったのじゃ。そちらも名乗るのが礼儀であろう」
「ニャーは犬山城主・池田勝三郎恒興というケチな男でごぜえますですニャー」
「フム、池田恒興殿か。覚えておくぞ。ではな」
何に興味を覚えたのかは分からないが、彦は恒興の名前を聞いて悠然と去っていった。
「何しに来たんだニャー、アレ。ていうか流石にあんなのには関わりたくないニャ」
この後、やり直しを命じられた佐々成政は罰ゲームが確定した。彦が残りの建物を
結局、成政は佐久間出羽の『何とか殺』という形容し難い何かを受けてしまい
----------------------------------------------------------------
会場から離れた高台に燃え盛る井ノ口の町を見つめる集団がいた。彼等はその井ノ口の町の住民であった。今回の第一回織田家主催・井ノ口の町焼き討ち大会のため、住み慣れた家を追い出されたのだ。その住民の幼い男の子は堪らず、傍にいる父親に問い掛ける。
「おとう、なんでだ」
「何だ」
「織田様は偉い人なんだろ。なんでオラ達の町を燃やしてしまうだ」
「おめえ……」
「偉い人はオラ達を助けてくれるんじゃないのか」
それは素朴にして悲痛な言葉であった。武家の戦いというものは、武家が誕生してからずっとこうなのだ。そこに住んでいる民衆の事などお構い無し。自分達の都合だけで周りに迷惑を撒き散らす。
か弱い民衆は逆らう術を持たず、ただ一方的に被害を受けて泣き寝入るしかなかった。これは町に住んでいる民衆が特に多い。この頃の町は大体城下町なので、庇護している大名が衰退すると敵対勢力によって荒らされるのだ。一方で村や津島の様な大名の影響下になかった町は大体武装している。
故に戦禍に泣かされる民というのは城下の民である事が多い。流石に城下町での民衆の武装は大名が許さないからだ。
井ノ口の少年は何も出来ない、為されるがままの現状を嘆いているのかも知れない。
「……でも新築で建て直してくれるって言うしいいんじゃねえか、あんなボロ家。家財道具も持ってきて引っ越すだけなんだしよ」
「そうか、じゃいいや」
信長は敵対勢力に打撃を与えるだけの刈り働きや焼き働きを特に嫌っている。なのに今回、焼き討ちをしたのは全て計画のためであった。はっきり言うと井ノ口の町の立地が邪魔なのだ。
だからと言って信長は民衆に被害を出そうとは思っていない。なので連れてきた兵士の殆どを使って引っ越しと新しい井ノ口の町の造成に当てていた。それ故、稲葉山城の包囲及び監視は傘下豪族の兵士のみで行われていた。
「はーい、みなさーん。俺は織田家の木下小一郎長秀といいます。『新』井ノ口の町に移動しますよー。まだ作りかけですけど直ぐに出来上がりますんでー。あ、手伝いの要る方は申し出てくださいねー」
「「「おー!」」」
秀吉の弟の小一郎長秀が民衆に呼び掛け、新しく造成している町へ先導する。木下隊の仕事は民衆の説得と先導なのだ。秀吉はその報告のため信長の元に行ったのだが、いつまでも帰ってこないため長秀が代理を務めていた。
長秀に導かれた彼等は持ってきた家財道具を押しながら、新居に向かって進んでいった。
一方で新しい井ノ口の町の造成に当たっていたのは、恒興の命令を受けた土屋長安である。彼は織田家の兵士の殆どを動員して、何もなかったただの森を切り開き町割りを設計し造成に取り掛かっていた。犬山や周辺の木工職人も駆り出して急ピッチに進めている。切り出した材木もその場で加工して使用していた。
「長安殿、ご苦労様です。手伝いに来ましたよ」
「あっ!休伯さん、戻れたんスね」
「ええ、信長様からの命令で長良川の堤の造成計画を練りに。まあ、この辺はあまり水害も起こりませんし、今ある堤を強化する程度で済みそうですが」
最近忙しくて戻れなかった大谷休伯が姿を現す。彼は緊急の案件として信長から長良川の堤防の造成計画を作成するように命令されていた。因みに休伯が忙しいのは、大体恒興のせいではあるが。
「成る程っス。という事は信長様は本気で稲葉山城を落とすつもりなんスね。道理で、町の造成を急いでいるはずっス」
「既にかなり進んでますね」
「まあ、造成計画と作業計画は直ぐに出来たっスから」
「そうなのですか?」
「殿からお達しが出たからっス。『信長様は新しい町でもう一度楽市楽座をやるはずだニャー』って。なら、話は簡単っス。『楽市楽座』の場所を確保、それを基本に大通りを設定し周りに町を配置するだけっスよ。作業計画は家臣の伊奈親子にやらせたんで、俺は楽っスね」
長安は既に津島の改造と犬山の城下町造成に実績がある。恒興は長安の実績を見込んで新・井ノ口の町造成責任者に抜擢した。長安は早速基本の町割りを計画すると、部下に細かい作業を指示した。主に元三河松平家臣の伊奈親子が現場指揮に動いており長安は余裕があった。
「楽市楽座ですか……。問題が多いと聞きましたが、またやるのですか」
「前回の清州で結構問題点が出たっスからね。基本的にそれを修正して造成すればいいんスよ」
清州の楽市楽座ではかなりの問題が出た。
まずは盗品問題だ。件の仏像などは恒興が持ち主の寺を探しだし、詫びを入れて返した。他にも数品の盗品が政盛達によって差し押さえられた。この問題に関して長安は楽市楽座の敷地に検問所を設けて対処するつもりである。つまりどの人が市に商品を出すかは不問とするが、出す商品はチェックする仕組みを最初から造るという事だ。
そして楽市楽座の敷地の外周は柵で囲い、万が一盗品販売が発覚した時は犯罪者を逃がさないようにもする。
次の問題は治安であるが、清州の楽市楽座の結果、清州の周辺に被害が固まっていた。楽市楽座に近ければ近いほど強盗押買いが起こっていたのだ。おそらく盗品を運ぶ手間も考えて、近場が襲われやすいのだろう。なので周辺警戒の治安部隊を出す事になる。こちらは信長の領分で暇な傭兵を駆り出せばいい。
寺の座への配慮も信長か林佐渡の領分。流石に長島の様な巨大勢力はいないので大丈夫だと思われる。
最後に津島会合衆への配慮。これが最大の難関なのだが事前に恒興が説明し理解を求める予定である。長安もこれは恒興くらいにしか出来ないと見ている。
「しかし楽市楽座のために町を焼き討ちして、別の場所に町を新築するとは信長様も剛毅ですなぁ」
「目的はそれだけじゃないっスよ」
「というと?」
「信長様はおそらく城下町の位置に足軽長屋とか訓練場を造るつもりだと思うっス。稲葉山城を小牧山城の様にするんじゃないっスかね」
信長が井ノ口の町を焼いた理由は立地が悪いからだ。井ノ口の町は稲葉山城麓の平地にある。城下町としては当たり前の位置にあるのだが、これは信長にとって都合が悪かった。
信長は京の都により近い場所へ拠点を移す事を考えており、稲葉山城はその第一候補だった。
そのため稲葉山城を現本拠の小牧山城と同じ造りにするため、井ノ口の町を焼き払い跡地に足軽長屋や訓練場などの軍事施設を併設するつもりだったのだ。
占領した後だと住民の反対に逢いそうなので、攻略戦に
あともう一つの目的として井ノ口の町に根を張っているであろうしがらみを諸共焼き払うためだ。これも楽市楽座成功の重要なポイントとなる。
「成る程。それならわざわざ井ノ口の町を焼いたのも納得ですな。あとは新しい楽市楽座が上手く行くように願うだけですか」
「豪族への根回しは信長様、商人への根回しは殿が出来るっスから、意外と良いモノになると思うっス」
「そう考えると織田家は特殊な環境ですなぁ。信長様もそうですが殿も商人を見下さない。関東の武家は『商い』というものを軽んじる輩が多いというのに」
「っスよねー。大名でも大きくならないと商人の必要性が分からんらしいっス。小大名や豪族レベルだと商人を見下してるヤツラばっかっスよ」
武家は商人を見下している、商人に限った話ではないが。武家が商人を見下すのはこの時代に『銭儲けは卑しい行い』という常識があるからだ。
これは大分昔から存在する常識である。戦国時代になってくると比較的商人の重要性に気付く大名も出始めるが、まだまだ根強い常識なのだ。
ただ広大な領地を持つ大名は商業の重要性に気付きやすいと言えるだろう。領地を治める上で物流というものは切っても切り離せないからだ。領民の必要物資が手に入らないのでは統治に支障をきたす。
だが狭い領地しか持たない豪族や小大名は領地に来る商人のみで我慢してしまうため通商に対してどうしても疎くなる。
勿論だが例外は居る。関東では川並衆を抱えている岩槻太田家や成田家、房総水軍を傘下に収めている里見家は商業を重視している。大大名である北条家も当然重視しているからこそ、彼等の勢力を削りその『金の成る木』を奪い取りたいのである。
「それなのに殿は千五百石の頃から商家出身の家臣と許嫁が居た訳ですか。やはり織田家が特殊なのでしょうか」
「でもそのおかげで自分らがここに居るって言えるっスね。身分も出身も問わない殿は俺らにとっては理想的っスから」
「確かにその通りですね」
そう言って長安は昔を思い出した。以前仕えていた武田家にもそういう風潮があったなと。思えば氏素性も知れない山本勘介は主君・武田信玄に重用されていたし、武田四名臣と呼ばれている高坂昌信も百姓から取り立てられた人物だ。そして長安自身も猿楽師の子供だったが土屋昌続に取り立てられ土屋姓を貰った。
だがその昌続とは甲斐内乱ではぐれてしまい生死不明であった。追っ手が掛けられ逃げるしかなかった長安にとっては大きな心残りとなっていた。
(昌続様、どうか生きていてくださいっス。俺、偉くなって必ず助けに行きますから)
長安は自身の目標を再確認するように噛み締めた。
----------------------------------------------------------------
信長が『第一回織田家主催・井ノ口の町焼き討ち大会』を開催している頃、城下町を見下ろせる稲葉山城では激震が走っていた。それを伝えるため家臣の一人が龍興に報告する。
「た、龍興様!織田軍が井ノ口の町に焼き討ちを掛けています!」
「フン、どうせ陣取りのために一部を焼いたんだろ。そんな事一々報告するな」
「その程度ではないのです!とにかくご覧下さい!」
家臣に促され城下町を見た龍興は驚愕した。そこに見えていたのは火、火、また火である。稲葉山城の麓全域が火で埋め尽くされている様であった。
「な、何だこれは……。何で、何で、何で!井ノ口の全域が火の海になっているんだ!?」
これほどの様相を予想だにしていなかった龍興は困惑した。この光景はあまりに有り得ないものだったからだ。理由が全く説明出来ないのだ。
「信長はここを占領するんじゃないのか!?町全部焼いて何が獲られるんだよ!?」
普通、占領を目的で攻めてくる場合は町を焼かない。それは損でしかないからだ。
ただ、龍興が言ったように陣取りのために一部を焼く事はある。町にそのまま陣取ると攻勢の際、遮蔽物が邪魔で進軍もしにくいからだ。また占領に失敗した際、敵に打撃を与えるために焼く事はある。あとは戦闘の結果、故意ではなく焼けてしまう事もある。
だが今回の信長の行動はそのどれにも当てはまらないのだ。故に龍興は最悪の事態を考えてしまった。
「ま、まさか……信長は俺ごと稲葉山城を燃やす気なのか……?」
龍興には鬼の様な形相をした信長が「クソ生意気な龍興めが。城ごと焼け死ぬがいいわ!グワーッハッハッハ!」と言っている様に思えた。信長は自分を赦す気など欠片も無いのだと。
「あ、ああ……ああ……。い、嫌だー!死にたくねー!もう嫌だ、何で俺がこんな目に遭わなきゃならないんだよー!」
「龍興様ー!」
龍興は走り出した、家臣の制止も聞かず。ここにいては自分は信長に焼き殺されると。
そして目に付く家臣に脱出を指示して回る。それを聞き付けた長井隼人が龍興を諌めるべく駆け付ける。
「龍興様、どうなされたのです」
「隼人!今すぐ城を脱出するぞ!支度をしろ!」
「落ち着いてくだされ。火はまだ城には届きません」
「届いてからじゃ遅いだろがー!」
龍興は長井隼人にしがみつき涙目で訴える。最早、彼の顔には信長に対する恐怖しかなく、必死の形相であった。だがそれも無理はない、彼は未だ14歳の少年なのだ。
それに彼には苦難ばかりが降り注ぎ過ぎた。竹中重治の動きで森可成に東濃を取られ、更に重治により稲葉山城から追い出されるという屈辱を味わう。更に鵜沼の戦いで恒興に完敗、中濃と奥美濃をごっそり持って行かれた。止めは関城と西濃だ。
信長と敵対したがために全てを奪われ、今自身が焼き殺されようとしている。これで平然としていられる少年なら頭のネジが何本か飛んでいるだろう。彼は大人ぶってはいたが、実のところは年相応の少年なのだ。
「隼人!お前も俺を見捨てるのか!」
「龍興様、我が身命は全て龍興様のもので御座います」
「なら脱出するぞ!城の財宝を全て持ち出せ!これは主命だ!」
(……致し方ない、か。こちらは2千、織田軍は2万以上だ。城を枕に討ち死にするより野にて再起を図るべきか)
ここに来て長井隼人は説得を諦めた。如何に堅城・稲葉山城といえども十倍以上の敵を相手に持ちこたえるのは難しい。それに篭城したところでどこからも援軍など来ないのだ。更に言えば2万強の織田軍は一部でしかなく、余力を十分に残して稲葉山城に来ている。織田軍はどれだけの長期戦でも余裕で戦い続けるだろう。つまり勝ちの目など最初から無いのである。
長井隼人は龍興の命令通り、城の財宝を持ち出すために金蔵へと向かった。
----------------------------------------------------------------
翌朝、スッキリとした笑顔で信長は家臣や兵士の前に立つ。昨日の余韻がまだ残っている感じで上機嫌だった。
信長はこれから稲葉山城を攻め落とすため、全軍に激を飛ばそうと思ったのだ。
「ふーぅ、気持ちよく盛大に燃えたな。よし、この勢いで稲葉山城を落とすぞ!全員、気合を入れろ!」
「「「おー!」」」
「信長様、急報ですニャ!」
だがそこに恒興が血相を変えて飛び込み報告する。信長は「これからいいところなのに」と苦虫を噛み潰した様な顔をする。
「何だよ、恒興。水差しやがって、何があった?」
「たった今、稲葉山城が降伏開城しましたニャ!斎藤龍興は城の抜け道を使い何処かへ逃亡したとの事!」
「……え?何で?」
こうして織田信長は激戦の末、念願の稲葉山城攻略を果たしたのであった。
-------------------------------------------------------------------------
【あとがき】
恒「何ニャ、この話は。色々と酷いぞ」
べ「何を言う、これこそがこの物語『戦国異聞 池田さん』の『原型』だ!!」
恒「は?どういう事だニャ?」
べ「つまりこれこそが一番最初に書かれた話なんだ。加筆はしたけど。べくのすけはここに向かってずっと書いてきたという事なんだよ。わかるだろ?この物語は最初からコメディなんだ!」
恒「マジですかー」
べ「此処こそが終着点なんだ。ここまで来れて感無量ですニャー!皆さん、ありがとー!」
恒「終着点って……。ここから信長様が躍進が始まるんじゃねーか!勝手に終わらすニャ!」
べ「分かってるよー。所謂第一部・完ってヤツ……じゃなくて、ここまで来るのに長すぎて第二部・完となりました。20話くらいでここに来るはずが何で60話以上に……」
恒「無計画、ここに極まれりだニャー」
べ「伊勢攻略を簡潔に『1561年、恒興は伊勢を制圧した』で終わらせられれば良かったのに」
恒「それは小説ではニャい、年表って言うんだニャー」
べ「まあそんな事は置いといて新しい終着点を設定しないとね」
恒「ほう、次の終着点は?ネタバレが嫌なら答えなくてもいいニャ」
べ「ネタバレってほどじゃないよ。次の終着点のテーマは『金』だ!」
恒「ニャるほど!ニャーが溜め込んだ金が……」
べ「爆発する!」
恒「ニャんでだ!?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます