集団鉄砲戦術
永禄2年冬。
桶狭間の戦いから約半年後、織田家は美濃攻略に動く。
美濃は信長にとって舅・斎藤道三から譲られた約束の地なのだ。
それは道三から信長に宛てられた『美濃譲状』の存在である。
これは信長と斎藤義龍がぶつかった『長良川の戦い』の後、信長を頼ってきた道三の末子・斎藤新五郎利治によってもたらされたという。
信長は斎藤家の正当な当主は斎藤利治だと担ぎ美濃攻略の大義名分とした。
だが長良川の戦い以降負け戦の影響もあってか、あらゆる者たちが信長に牙を剥いてきて美濃攻略どころではなくなってしまった。
実の弟・信勝の謀反、庶兄・信広の謀反、織田伊勢守家の攻勢、今川家の上洛である。
この全てに勝利し最後の犬山城攻略をもって尾張完全統一となり、美濃攻略に乗り出そうとしていた。
そしてこの頃から『美濃譲状』の存在が美濃国において噂されるようになる。
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清洲城から出発した織田軍約1万は木曽川を沿うようにゆっくりと犬山を目指していた。
これは斎藤家に対する挑発である、余りにも斎藤家の動きが無いので見せつけつつ出方を伺っているのである。
とは言っても本当に出てこられたら困るので最前面になる川側には精鋭が配置されている。
まず先頭に森三左衛門尉可成の部隊。
通称”三左”と呼ばれるイケメンな勇将である。
彼は元々美濃の出身で斎藤道三による国盗りで所領を失い、土岐家当主と同じように織田信秀を頼り落ち延びて来た。・・・森家一族郎党ごと、ここ重要。
このため信秀は森家のために土地を用意して土着させた。
結果この森家の所領民だけは尾張の中で別格の強さを誇り、森衆は織田家最強部隊として認識されていた。
この森衆の強さで信長が助かったのも一度や二度ではないため森三左は信長のお気に入り家臣でもある。
次は柴田衆が続く。
柴田権六勝家が率いる部隊で織田軍の中でも先鋒衆に名を連ねる精鋭である。
勝家自身も勇将であり、その決して引かない戦いぶりから『かかれ柴田』の異名をとる。
この後ろに恒興の池田衆、最後方を丹羽長秀の丹羽衆が進んでいる。
これが最前列でこの内側に佐久間衆と信長本隊(諸豪族もここ)となっている。
本来恒興の池田衆は信長の親衛を任されるのだが今回だけは違った。
今回から新設される実験部隊の護衛を言い渡されてしまったのだ。
そしてその実験部隊を率いている将のこともあり、恒興は朝から機嫌が悪かった。
(何でニャーがコイツと一緒に戦わねばならんのだ)
「・・・池田殿、そのー、俺のことを嫌いなのは知っているが、任務に支障はきたさんでくれよ」
「わかっとるニャ。そこまで子供じゃねーギャ」
恒興の隣にいる男の名は佐々内蔵助成政。
佐々家当主にして黒母衣衆筆頭。
家の当主は母衣衆になれないものなのだが、成政の場合は頑張って黒母衣衆筆頭になったら兄貴二人が稲生の戦い、桶狭間の戦いで相次いで戦死。
結果家督が回って来てしまったパターンである。
このため信長も成政を母衣の任務で使うわけにはいかなくなった。
それなら母衣衆を辞めさせればいいという話になるがこれが難しい。
母衣衆とは称号であり名誉なのだ、そうなる様に信長が位置づけた。
それをただ取り上げては成政の不満を買う事になる。
なので信長は一計を案じた。
新設の精鋭実験部隊を作って、その指揮官に任命したのだ。
これにより成政は黒母衣でありながら部隊指揮官という部将任務就くことになる。
その実験部隊とは総勢6百人に鉄砲5百丁というガチの鉄砲運用部隊だった。
恒興はいざとなったらこの実験部隊を守るために壁にならなければならないのである。
織田家が保有する鉄砲は現在1千丁未満、その半数を佐々衆が運用するのである。
・・・全滅とかしたら信長も目眩を起こして倒れる位の損害額になる。
恒興も手を抜くつもりはない、ないが気に入らないのだ。
何しろこの佐々成政は稲生の戦いの時、信長の弟・信勝の謀反に加わっており『信長暗殺』を計画していたとされる人物なのだ。
信長暗殺を計画・・・これだけで恒興にとってはぶち殺す百万言の理由に値する。
なのだが主君信長は既に許しており手を出すことは出来なかった。
恒興の機嫌が悪いのはこのためである。
「はぁ、何で高価な鉄砲を佐々衆に・・・池田衆に戴ければ(コイツより)もっと活躍してみせるのに」
「それ、絶対聞こえるように言ってるよね。ねえ」
鉄砲は高価な武器である。
特にこの時期はまだ鉄砲鍛冶職人が少ないため、需要に対して供給が追いつかず価格が暴騰している。
百丁揃えたら大名家の財政が傾くというほどの値段をしていた。
これでも信長は最大限買い集めろと命令していた。
織田家の財力は推して知るべしといったところだろう。
鉄砲鍛冶職人が増えて供給が安定化するようになるのは戦国後期あたりになる。
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恒興は陰鬱な気持ちを抱えながら行軍、全く何事もなく犬山城に着いてしまった。
そして着いた瞬間、犬山城は8割方落ちた。
既に林一族の家老は内応しており、部下と共に本丸を除く曲輪の城門を開けてしまったのだ。
そして残った本丸に信清が立て篭っているのみとなってしまった。
ここまでくれば戦国武将として自害して果てる場面なのだが・・・信清に死ぬ気はないらしい。
信長も従兄弟を殺す気は無く、遠巻きに眺めているのみだった。
「着いた瞬間に落城寸前とか、信清も哀れだニャー」
「やったの殿ですよね」
「政盛、ニャーはただ落ちてきた柿を拾って帰っただけだニャ。それに今織田家は堤防造りに開墾作業、これらを行う農民を監督する人間が足りとらん。仕事がいくらでもあって、帰参者をいくらでも受け入れられる態勢があるというのがまた」
「それ大谷殿ですよね、やっぱり殿が全部やってるじゃないですか」
大谷休伯が堤防造りを進め、出来上がった地域から水を抜き沼を埋め農地に変えていく。
言葉にすると簡単だが大作業で人手が物凄くかかる。
だがここで働いている者たちは大半が農民ではない、『流民』である。
流民とは元々農民であったが家から追い出された者たちを指す。
彼らは父親が死去した際、遺産相続は全て長男の総取りなので次男以下の男兄弟は家を追い出されるのだ。
母親は長男が面倒を見て、姉妹はいずれ嫁に行くので残るというわけだ。
これが遺産相続の基本である。
この時代は遺産は均等になどとやっていると田畑が細分化して一家が生きられなくなる。
これを行う事を『田分け』といい『たわけ者』(ありえない、大馬鹿者の意味)の語源である。
では追い出された兄弟はどうなるのか。
武家や商人の小者になれれば幸運な方、大抵は傭兵になる。
なので大半の傭兵は生きるために成らざるを得ず、コイツラが主にすぐ逃げる。
そして今回の農地拡大で大量の傭兵が辞め田畑獲得を目指して参加した。
信長はこの結果に大満足だった。
確かに傭兵は減ってしまったが元々戦の役に立たない奴らが農民に戻ったのだ。
今傭兵に残っているのは出世したい、武士になりたい、戦うしか能がないといったヤル気に満ちた者たちなのだ。
傭兵は募集すれば直ぐに来る、それこそ信長が関所を撤廃している尾張には周辺の流民が流れてくるのだ。
そして織田家が多数の傭兵を集めていることは有名なので周辺の流民も尾張を目指すことが多かった。
農地拡大と言っても開墾すれば勝手に作物が育つわけではない、必ず世話をする農民が必要だ。
そして農民が自分の農地を持てば一家が持てる、即ち嫁さんも貰えるようになるということ。
こうなれば如何に困難な開墾だろうと男達はやる気を出して従事する。
つまり信長の手元には精兵化した傭兵が残り、やむを得ず追い出した兄弟達が田畑を貰って独立出来た事を喜ぶ農民達によって信長は名君と讃えられるようになる。
信長にとっては正に一石二鳥であった。
「この調子なら犬山城からの攻撃はないニャ。敏宗には木曽川を見張るよう伝えろ」
「はっ、了解しました」
武芸に秀でた飯尾敏宗は池田衆の前衛指揮官で現在小部隊を率いて偵察任務中、加藤政盛は恒興の秘書官的な役割になっており伝令を飛ばすのも彼の仕事だ。
因みに大谷休伯は出張中である、居ても連れてこないが。
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犬山城の北方に位置する猿啄城の謁見の間で城主・多治見修理太夫頼吉は一人の使者を迎えていた。
現在猿啄城は戦の準備に余念がなく忙しいのだが、主君義龍の命令を持ってきた人物を無碍に扱うことは出来ない。
戦の支度をしているこの城の中を見られたくなかったが、多治見修理は意を決して使者に会うことにした。
見られたくない理由、それは彼がこれから主君の命令に背くからだ。
「よく来られた稲葉殿」
「城に兵が集っていると聞き、殿から様子を見てくるよう命じられてきました」
その使者の名は稲葉又右衛門常通。
西美濃三人衆の一人、稲葉家現当主・稲葉右京亮良通の叔父に当たる人物だった。
年は5、60代で老境に入った白髪頭のじいさんなのだが、その体躯は筋骨隆々だったりする。
多治見修理も剛の者と名を馳せるくらいには筋骨隆々なので、謁見の間はクマ二頭が向かい合って座っているようだった。
「言いたいことはわかる。だがこれ以上は我慢出来んのじゃ。わしゃあ、信清殿を助けに行く」
「主君義龍様は動くなとお命じになったはずですが。従わぬおつもりで?」
木曽川の近くに所領を持つ豪族にとって川は流通路そのものといっていい。
そして木曽川は『川並衆』と呼ばれる国人衆の勢力圏であった。
国人衆とはその土地に根ざした農業以外の仕事で生計を立てる集団を指す。
尾張における津島も国人衆と言える。
この川並衆とはかなり広い意味で使われており、実際は沢山のグループに分かれている。
最も大きいのは『蜂須賀党』となる。
この川並衆は木曽川、長良川、揖斐川の『木曽三川』で運送業を営む者たちと考えてくれればいい。
この時代はまだ陸路は整備が難しく、やろうと思えばかなりの財政負担となるためどこの大名もやりたがらない。
そんな中、武田信玄は街道整備に尽力した稀有な存在といえる。
というわけで基本川が近い領地は水運が流通を握っており、川並衆との関係は中濃地域の豪族にとっては死活問題だった。
そこに斎藤家による下克上、斎藤義龍による父道三へのクーデターで川並衆のヘイトを買ってしまったのだ。
クーデター騒ぎは前勢力との契約や権利が白紙に戻されるので迷惑なのだ。
そんな対立が深まってしまった両勢力の間を取り持ち、関係改善させたのが”織田信清”であった。
彼は川並衆とかなり懇意だったのだ。
織田信清が川並衆と懇意な理由は『織田伊勢守家』にある。
長年尾張守護代を務めた織田伊勢守家は川並衆を管理し面倒を見ていた。
だが応仁の乱で織田大和守家のぶん殴られ、その後も織田信定・信秀親子にぶん殴られ勢力が激減。
結局織田信康が当主の後見役になることで存続を許される。
その織田信康の地盤を継いだのが信清で、織田伊勢守家の縁を利用し”個人的に”好を通じていた。
”個人的に”を付けた時点でわかるかもしれないが信長と川並衆の仲は最悪です、何しろ織田伊勢守家に止めを刺した張本人ですから。
「ここで犬山を見捨てたら・・・わしらはこの恩をどう返せばええんじゃ!!」
「犬山はもう落城寸前と聞きますぞ」
「それでも!信清殿が脱出する道くらい切り開いたるわいっ!!尾張のへっぽこなんぞ相手にならんわ!」
「くっくっく、うわーはっはっは!流石は音に聞こえし剛の者・多治見修理よ!」
「稲葉殿?」
突然破顔し笑い出す稲葉常通。
付いていき損ねた多治見修理は呆然としてしまう。
だが稲葉常通の顔が諭す使者から武人に変わったのは見逃さなかった。
つまり彼もヤル気なのだ。
こうなればもう話は早い、二人は早速軍議に入る。
「それで兵は如何程集まった?」
「八百だ。一応加治田城の佐藤紀伊、米田城の肥田玄蕃、堂洞城の岸勘解由にも声を掛けてあるが、兵の参集が間に合わんだろうな」
多治見修理は動くにあたって近隣の中濃豪族に声を掛けていた。
だが元々義龍の出撃禁止令があったため、準備を全くしていなかった。
現在準備中ではあるものの間に合わないだろうと読んで単独攻撃に踏み切ろうとしていた。
そこに稲葉常通が現れたということ。
「わしが連れてきた兵が二百、合わせて一千か。織田軍は10倍の一万だ。ちょうどいいハンデと言えるか」
「ははっ、吹きよるのぉ。だが一万は確定なのか?」
「木曽川沿いを見せつけるように歩いとったからな。殿が稲葉山城に来て真っ先に調べたわ」
「稲葉右京殿が稲葉山城におるだと?」
「それだけではない。郡上八幡城の遠藤殿と関城の長井殿も兵を連れて参集しておる」
多治見修理は困惑した。
義龍の動くなという命令は美濃豪族全員に向けて出されている。
なのに稲葉家、遠藤家、長井家という大豪族には参集命令が下っている。
一体何故こんな中途半端なのか?
攻勢に出るなら全豪族に命令が下るはずである。
とはいえこの三家だけでも兵力は五千はいるはず、これが犬山に来援すればと多治見修理は考えてしまう。
その考えを見透かしたのか常通が答える。
「混乱を避けるためだ。今稲葉山では嫡子・龍興様への忠誠の儀を行っておる」
「・・・っ!!それではまさかっ、義龍様は!!」
「・・・ここ数日が峠だと言われておる」
美濃斎藤家当主・斎藤左京大夫義龍、彼は今死病の床にいた。
彼はもう自分の死期を悟っており、嫡男・龍興に安全に家督を渡すため病の床から指示を出していた。
特に対織田家に関しては防戦以外で動くなと厳命し、信清の援軍要請も無視した。
家督相続はただでさえ騒乱の元になる、そんな時に戦で負けようものなら斎藤家が空中分解してもおかしくない。
更に大きな問題がある、嫡男・龍興が13歳だということだ。
若年相続など騒乱の種でしかない。
そこで豪族の中でも実力者である稲葉、遠藤、長井を龍興の補佐に付けようと呼び出した。
そこに信長の犬山攻略が重なっていた。
「・・・義龍様には悪いが出撃見送りは無い」
「そうだな、まず偵察を出して陣容を調べるとしよう」
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多治見修理と稲葉常通は夜になって城を出た。
偵察の成果は上々だったのだ。
信長の本隊は思いの外木曽川に近く、間には森衆と池田衆しかいなかったのだ。
そして一番手薄な池田衆を標的に選んだ。
「しかしあの手薄な場所に奇襲を仕掛けるのはいいとして、隣に布陣する森衆は邪魔よな。あの部隊さえ越えてしまえば信長の本陣があるというのに」
「殿、それならば私が小数で森衆を陽動してきましょう」
稲葉常通の部下の男が意見する。
彼は足立六兵衛、『首取り足立』と異名を取る剛の者である。
「しかし、それでは貴殿が」
多治見修理は逃げられなくなって死ぬぞと続けようとしたが稲葉に遮られる。
「分かった六兵衛。少しの時でいい、堪えてくれよ。必ず信長に一泡吹かせてくるからな」
「はっ!せいぜい首を刈り取ってまいります」
足立は意気揚々と五十名程率いて森衆の陽動に向かった。
だがここで兵の選別作業をして足立に兵を分けたのはまずかった。
対岸からある男がその様子を見ていたのだ。
その者はすぐさま自分の主の元へ駆け出していった。
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「殿!川の向こうに斎藤方とおぼしき兵がおります」
飯尾敏宗は自分の見たことを報告するため、主君池田恒興の元に来ていた。
「敏宗、数はどれほどだ!?」
「暗がりでしたから正確には。おそらく一千程かと」
「ここは渡河点じゃねーギャ。奇襲に来たと考えるべきだニャ。本陣に伝令、池田衆は前に出るぞ!・・・一応佐々衆にも報告」
「もう来てるさ。敏宗殿から連絡は受けたから」
どうやら敏宗は奇襲警戒の報を各部隊に出していたようだ。
恒興に報告する前に出しているので少しフライングだが不問とした。
恒興への報告にこだわって迎撃準備を怠るような前衛指揮官になってほしくないからだ。
ただ気に入らない奴が来たので恒興は不機嫌になってしまう。
「チッ、来やがった。寝てればいいのに」
「聞こえてるんだけど!?」
「まあいいニャ。あとはお隣の森衆に援軍要請。敵が一千とは限らんからな。池田衆出陣!!」
「「応!!」」
「佐々衆は池田衆の援護だ。火縄に着火しろ!取扱いにはくれぐれも注意しろよ!」
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多治見修理と稲葉常通は渡河点ではない場所を選び、小舟による渡河を試みた。
猿啄城の周辺の渡河点は織田家の森衆によって見張られており、突破は難しいと見たためだ。
それに彼らは寡兵であり、奇襲でなければ戦果を獲られないと考えた。
なので昼間の内に偵察し、最も手薄な部隊を狙ったのだ。
そして稲葉常通がまず渡河し、周辺を警戒しながら多治見修理の渡河を促す。
だが川とは逆方向から鎧の鉄が鳴る音が聞こえてくる。
何者かが接近してきているのだ。
「もう気付かれたか、敵も間抜けではないな」
稲葉常通は即座に臨戦態勢を部隊に取らせる。
彼らのいる場所にはこれから多治見修理の本隊が渡ってくるのだから。
そして木曽川の川原に池田衆五百が姿を現すと稲葉衆百五十と斬り合いになる。
「飯尾源右衛門敏宗、推して参る!!」
先陣を切って敏宗が飛び出す。
そのあとを池田衆の兵が続き恒興と政盛も駆け出す。
「尾張のへっぽこ侍共が、かかって来るがいい!」
負けじと稲葉常通も吼え、稲葉兵を叱咤激励する。
「何がへっぽこだ!!あんな傭兵共と一緒にすんな!池田衆は信長様の親衛、命知らずの精鋭だニャ!」
「あのー、ウチの兵、その"あんな傭兵共"なんだけど!ちょっと気使ってくんないかな」
その直ぐ後を佐々衆が付いてくる。
成政は鉄砲を放つ準備のため兵を整列させるが敵と池田衆が乱戦状態で使うことは出来なかった。
「池田殿、乱戦では鉄砲は使えないぞ!」
「必要ないニャ!何処かに本隊がいる、温存しとけ!」
恒興は目の前の敵が小数であることを見切っていた。
何しろ池田衆の方が2対1くらいで戦えていたからだ。
奇襲にしたって少なすぎると考えていると対岸からこっちに向かってくる光が見える。
小舟に乗った多治見修理と八百の兵だった。彼らは木製の矢盾を構え上陸を目指していた。
「あの松明、本隊か!?佐々衆、構えろ!!」
成政は佐々衆に号令を出す。
よく訓練された鉄砲傭兵達は横列に並び、松明の辺りに向かい鉄砲を構える。そして・・・。
「一斉射、撃てっ!!」
ズドドドドンと銃声が一斉に鳴り響き、多治見修理の部隊に多数の損害を出す。
何しろ足場の悪い船の上、致命傷では無くとも手傷を負っただけでも川に転落してしまう。
そして鉄砲相手に木製の矢盾はあまり役に立たず、貫通していた。
「くっ、なんという鉄砲の数だ。だが一度放てば再射撃まで時間がある、今のうちに上陸するぞ!」
「第二斉射!撃てーっ!!」
再び佐々成政の声が響き、その後にズドドドドンと銃声が鳴る。
多治見修理の兵達は悲鳴を上げながら川に落ちていく。
「おのれぇ、これほどの鉄砲を・・・」
「第三斉射!撃てーっ!!」
多治見修理は困惑した。
鉄砲など簡単に買える物ではない。
それが恐ろしい数を揃えられて自分達に向けられているのだ。
まるで自分達は猟師に狩られる鴨も同然だった。
「第四斉射!撃てーっ!!」
「ふ、ふざけるな!!貴様ら!これが武士の戦い方かっ!!」
多治見修理は有らん限りの大声で叫んだ。
鉄砲で狙われているのだ、自分の居場所を知られる行為は慎まねばならなかった。
だが彼は叫ばずにはいられなかった。
「そういうのを"時代遅れ"って言うんだ。第五斉射、撃てっ!!」
「ぐぶっ、・・・バカな。こんな・・・」
声を上げてしまったことで多治見修理は多数の鉄砲に狙われ、結果多数の銃弾が彼に命中する。
もう上陸出来る川岸まで来たが川に落ち絶命した。
小舟に乗っていた他の兵は大将である多治見修理の死により士気が崩壊、ほうほうの体で逃げ出した。
何しろ早く逃げなければ自分達もあの鉄砲の餌食だからだ。
残ったのは稲葉の兵のみだった。
「修理ーっ!!おのれ、貴様らーっ!!」
これを見た稲葉常通は怒りを爆発させ、猛然と指揮官らしき人物に襲い掛かる。
「殿!!危ない!!」
政盛が叫んだことで恒興も気付き、相手の斬撃をどうにか受けきる。
だが想定以上の圧力を加えられ恒興は背中から倒れることになってしまった。
(しまった!)
「首を置いて逝くがいいわ!」
稲葉常通はすかさず馬乗りの態勢になり、恒興の首に刀を当てようとする。
恒興は相手の腕を抑え堪える。
「池田殿!」
成政は鉄砲を構えて稲葉を狙う。
揉み合っている恒興にも当たる可能性はあったが成政自身鉄砲の腕前に自信があったし、恒興を救うにはこれしかないと思った。
そして放たれた弾丸は恒興の真上、稲葉の兜を直撃した。
剛の者と名高い稲葉とはいえ、予期せぬ衝撃に仰け反った。
「今ニャ!!」
恒興はこの機を逃さず稲葉の胴に足を当てて巴投げの要領で投げ飛ばす。
「ぐっ、この!」
背中から落ちて動きが止まった稲葉に対し、恒興は脇差しを抜いて彼の胸に突き立てる。
「ぐっ!があぁぁぁ・・・」
恒興は覆い被さるように脇差しに体重を掛け、彼の首の下辺りの胸を正確に貫いた。
致命の一撃だった。
彼の死により稲葉兵の士気は無くなり、程なく全員が討ち取られる。
そもそも彼らは船がなければ渡れない場所にいるのだから逃げられようもない。
「池田殿!その、無事か?」
「・・・余計なことだ、あれくらいニャーだけで十分なものを」
成政が助けてくれなければ命が危うかったにもかかわらず、ついつい憎まれ口が出てしまう。
二人の間にはまたも微妙な空気が流れる。
「おーい、無事か、勝三、内蔵助」
「すまない池田君、佐々君。こちらにも敵襲があって遅れてしまった」
戦闘が終わって程なく二人の人物が恒興と成政の元に現れる。
一人は信長の親衛隊『赤母衣衆』の前田利家。
そしてもう一人は森衆を率いる森家当主・森三左衛門可成だった。
「三左殿はいいとして、何で又左がここに来るんだニャ?」
「今回は手柄立てたかったから三左殿の森衆に混ぜてもらったんだよ。おかげで”首取り足立”の異名を持つ足立六兵衛を討ち取れたぜ」
そう言って友達と喜ぶ利家を、森三左はまるで息子でも見るかのように眺めていた。
だが恒興達が仕留めた将を見て驚愕する。
「こ、この二人は!!」
「お知り合いで?」
そう、知っているのだ、森三左は元々美濃の豪族だったのだから。
「こちらは猿啄城主・多治見修理太夫頼吉だ!」
「何ぃ!大手柄じゃねぇか!」
「そしてもう一人は、西美濃三人衆・稲葉良通の叔父・稲葉又右衛門常通!」
「ニャ、ニャんだってーっ!!」
「ま、マジなのか!!」
城主に大豪族の近親、文句なしの大手柄である。
恒興にとっても成政にとってもこれほどの手柄は初めてだった。
余りの大手柄に二人は喜びを爆発させる。
お互い手を取り合い、顔を見合わせて・・・気付いてしまう。
お互いの仲の悪さを。
そして静かに離れ、また気まずい雰囲気が漂う。
その様子を見て森三左は首を傾げたが、利家は思い当たるフシがあり成政に促す。
「おい、内蔵助。勝三にははっきり言っといた方がいいぞ」
「いや、なんというか。俺は言い訳するより、働きで挽回するべきと思って」
「他の奴はそれでいいけど、勝三はダメだぜ。コイツは言わなきゃ分からんバカだからな」
「お前にバカとか言われたくねーギャ、この脳筋!」
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「実は、俺は信長様の暗殺計画を信勝様に相談されただけなんだ」
それは『稲生の戦い』の後だった。
負けた信勝は母・土田御前の取り成しで何とか許されたものの、まだ諦めてはいなかった。
だが武力行使を主導した林美作守は信長に討たれ、信勝派の将は皆信長に恭順すべきと信勝を説得していた。
諦め切れない信勝は成政に信長暗殺を持ち掛けていたのだ。
「信勝様、もう無理ですよ。殆どの家臣が恭順派に回りました。信長様だってそんな隙を見せるわけありませんて。領地は安堵されたのですから、家督のことなど忘れて暮らしましょう」
「何を言うか、内蔵助。隙が無いなら作ればよい。母上が会うとなれば、あの兄上とて出てくるだろ。そこを襲うのだ」
「御母堂様を出汁(だし)にされるおつもりですか!?」
「良い考えだろう?」
「ダメです、そんなことをしては誰も付いてきません。どうかご自重下さい」
「お前らは!!散々私こそが織田家の当主に相応しいと言っておきながら、一度の敗北程度で見捨てるのか!」
「そ、それは・・・」
「もうよい!当てにならん奴め!」
「信勝様・・・」
その後も信勝は諦めず、いろんな部下にこの計画を持ち掛けた。
そのためあっという間に信長に知られ、やむ無く切腹の沙汰が下ったのである。
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「俺は結局、信勝様を止められなかった。だからこれは俺の罪であり、皆から色々言われるのも俺への罰だと思った。・・・でもこんな大手柄でさえ喜び合えないのは辛いよ」
「・・・又左はコレ知ってたのか?」
「そりゃ、同じ母衣衆だからな。一緒に酒飲んで打ち明け話くらいするわな」
「知ってるなら言えよ」
「何で俺が他人の重い打ち明け話をお前にせにゃならんのだ。んなこと俺が言いふらすわけねーだろ」
これは完全に利家が正しい。
笑い話ならまだしもかなり重い、織田家にとっても信長にとっても重い話を気軽に話せるわけがない。
「お前なぁ、常識で考えろよ。殿を本気で暗殺しようとした奴が母衣衆になれる訳ねえだろ」
「・・・・・・・・・」
(言い返せニャいけど、なんかムカつく!)
だがこれに関しては恒興が悪いだろう。
成政も言わなかったとはいえ、恒興は噂に踊らされて勝手に成政を嫌ったのだ。
どこからどう見ても恒興が悪いとしか言えない状況であり、恒興も認識した。
もしここで突っぱねようものなら成政との関係修復は一生不可能になるだろう。
多少気恥ずかしさはあるものの恒興は謝ることにした。
「えっと、なんか、ゴメン」
「あ、いや、言わなかった俺も悪いし・・・ええと、ゴメン」
面と向かってゴメンと言い合う。
16歳の大人と言っていい二人が気恥ずかしそうに謝り合うのは、やはり微妙な雰囲気だった。
「なんだこのガキくせえ空間は」
「はっはっはっ、仲良き事は善き事かな。いや、よかったよかった」
状況を把握した森三左はよかったと破顔した。
一方で利家は挑発的な言を繰り返す。
ここらへん利家は恒興と幼馴染であり、もうそろそろ恒興が気恥ずかしさを誤魔化すために矛先を自分に向けてくると思っていた。
だから向けやすいように挑発的に言っているのだ。
「又左、てめえ、いい加減にしとけよ。シバくぞ」
「お、やってみるか?可愛い勝三ちゃん。この”槍の又左”の相手になれるか?」
”可愛い”などという形容詞を付けられたため恒興は容赦しないことに決めた。
確かに武芸では敵わないだろうが。
「・・・お前ら夫婦の滞在中の食費、今すぐ耳揃えて返せニャ!」
「スンッマセンしたーっ!!もうちょっと貸しといてください!!」
夫婦と言ったが松の分を請求する気は恒興にはなかった。
松はお腹に子供がいたのだから人の倍食べなければならないのは当然だし、母・養徳院の手前もある。
だがその松の横で人の3、4倍食べていた大男がいるのだ。
恒興はコイツからは満額請求する決意を固めていた。
「ま、アホは放っておくか。じゃ、改めて。池田勝三郎恒興だニャ。勝三と呼んでくれ」
「ああ、佐々内蔵助成政だ。こっちも内蔵助でいい。よろしく」
二人は握手をし合った後、大手柄を挙げた喜びを爆発させるのだった。
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森三左と利家は森衆の陣に戻った後、二人は興奮冷めやらぬ感じで話していた。
「しかし鉄砲の数があれだけあると有効性が違うニャー」
「確かにな。でも問題点もある」
この時、成政は百丁づつ五回に分けて斉射した。
殆ど川原での遭遇戦になってしまい部隊の展開が出来なかったのと、敵が大した数ではないことから採った作戦だった。
さらにこの実験部隊は毎日鉄砲を撃って訓練している特殊な傭兵で組織されているので、成政の命令も即座に実行出来る技量があった。
そしてこの鉄砲集中運用によって小数とはいえ美濃侍に圧勝するという大戦果を挙げたのだ。
だがその一方で課題もあった。
それは装填速度と射程距離だ。
火縄銃の有効射程距離はおよそ50mほどしかない。
2、300mあるという論もあるがそれはもっと後年か現代技術による複製品ならの話だ。
何しろ鉄砲鍛冶技術がまだ未熟なため、まず銃身が真っ直ぐではない。
機械など無く全てを人の手で作らねばならないから、真っ直ぐに見えても微妙に歪む。
また銃身内部も完全な円筒ではなく凹凸がある。
そして最大の問題は弾丸だ。
コイツは溶かした鉛を鋳型に注ぎ、鋳造するのだがやはり歪である。
しかも使い捨てであり大量生産品なのである程度球状ならいいや的に作られている。
そのためそもそも銃身に弾丸が入らないこともざらだった。
そんな状態では火薬の力を受けきれず、凹凸のスキマから圧力が漏れているので有効射程50m程度なのだ。
だから大半の大名は鉄砲のことを『高価なオモチャ』と呼んで笑っていたのだ。
何しろ50mなら弓の訓練をすれば届く距離だからだ。
装填速度など圧倒的に弓が速い。
ただ初撃だけは鉄砲の方が速いため、小数ながら取り入れる大名もいる。
信長が鉄砲を導入したのもここら辺が最大の理由かもしれない。
織田家の傭兵は大半が元農民で弓など扱ったことのない人間が大半だった。
これを訓練して一端の弓兵に育てるのと鉄砲の構えと扱い方を教えるのと、どちらが速いかという効率性の問題だ。
だからこそ信長はこの『高価なオモチャ』を大量に買い集めた、これさえあれば直ぐに精鋭弓兵と同等の兵が錬成出来ると思ったからだ。
「5回目の一斉射が終わっても1回目の再装填が終わらないんだよなあ」
そう、終わらないのだ。
火縄銃の再装填にかかる時間はおよそ3分。
成政が5回斉射を10秒に1回行ったとして、第1射の再装填にはまだ2分ほどかかる計算になる。
再装填にかかる時間は訓練によって縮めることは出来るが、数十秒が関の山だ。
本格的に縮めるには戦国後期に開発される”早合”を待たねばならない。
早合とは弾丸と火薬をセットで紙に巻いて漆で固めたもの、簡易式薬莢と呼べるものだ。
これを銃身の先から棒で押し込んで装填する。
早合の熟練者は再装填を18~20秒で終わらせるらしい。
因みに恒興はこの早合の事をすっかり忘れている。
「あの時多治見修理が討ち取れてなかったら、多分ヤバかった」
「なるほどニャー。ま、結果オーライだ、この手柄で実験部隊の有用性が証明出来たんだから。ご褒美が楽しみニャ」
「全くだ、ははは」
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「龍興様、当主継承つつがなく終えられたことお喜び申し上げます。御先代・義龍様のことは悔やまれますが悲しむ時ではない故に」
関城主・長井隼人佐道利が上座に座る少年に挨拶する。
それに習い曽根城主・稲葉右京亮良通も頭を下げる。
本来此処にもう一人郡上八幡城主・遠藤六郎左衛門盛数がいるはずだったが彼は病気で寝込んでいる。
病気を推して稲葉山まで来て悪化させてしまったのだ。
「つつがなく・・・ではなかったようだが。親父の命令に逆らって出撃した愚か者がいたはずだ」
上座に座る13歳の少年は嘲るような口ぶりで話す。
その視線の先には稲葉良通がおり、どうやら戦死した稲葉常通のことが言いたいらしい。
(このガキ、我が叔父が愚かだと・・・)
「た、多治見修理については確かに愚かでしたが、猿啄城には既に佐藤、肥田、岸の援軍が到着。織田も手出しはできないでしょう」
「そういうことを言ってるんじゃない。何で親父の命令が無視されているんだってことだ。そういうことは今後無くしていかねばならん」
「確かにその通りかと。それで多治見家の相続ですが・・・」
「潰せ、潰して直轄地に変える」
この言には二人も驚く、多治見家はれっきとした豪族であり斎藤家の都合で潰せるものではない。
何しろ多治見家の領地は別に斎藤家から与えられたものではないからだ。
「お、お待ちください。それはなりません!」
「命令違反の上、無駄死に。これ以上の罪はないだろ」
(このガキは何を勘違いしているのだ!?我々は一個の大名、斎藤家とは同盟の間柄なのだぞ!お前の好き勝手に潰せると本気で思っているのか・・・そうか、読めてきたぞ。このガキは豪族を全て家臣化するつもりか)
稲葉右京は憤慨しそうになるところをグッと堪え、その言の意味するところを考える。
つまり彼がこの美濃をこれからどうやって治めていくかが端的に現れていると言ってもよかった。
だがこれは稲葉右京のみならず全ての豪族が受け入れがたいことだ。
なぜなら豪族とは大名なのだ。
一家を持ち、家臣を持ち、領土を持ち、民を持つ。
違いと言えば規模の大小だけだ。
特に美濃という国は殆どの領土が豪族の支配下で、斎藤家の領土は稲葉山城周辺の僅かな土地しかなかった。
このため美濃斎藤家は完全に豪族の寄り合い所帯で成り立っていた。
「道利、猿啄城を接収せよ。いいな」
そう言い放って龍興はさっさと退出してしまった。
後に残された長井隼人は助けを求めるかのように稲葉右京を見るが、彼もまたさっさと帰ろうとしていた。
「稲葉殿・・・」
「貴殿は猿啄城に行くのだろう。私は曽根城に帰らせてもらう、バカバカしくて付き合ってられん」
この後、稲葉右京は連れてきた兵を纏めて本当に帰ってしまった。
それを城から眺めていた龍興はほくそ笑む。
「多治見修理もバカをやったものだ。だがこれで斎藤家の所領を大きく出来るな。あとは小豪族から順番に飲み込んでいけばいい」
斎藤龍興は斎藤家自体を大きくするため、まず小豪族を取り込むことを計画していた。
そして斎藤家が大豪族達より圧倒的に大勢力になってから彼らを屈服させようとしていた。
美濃がこんな豪族連合になっているのは斎藤家の力が足りないからだと思っていたからだ。
「親父がやりたくても出来なかったこと、中央集権化。俺がやって見せる。あの毛利家や北条家だってそれで強くなったんじゃないか」
彼の考えは間違ってはいない、ただ彼にはそのために使える手札が余りにも無いという欠点がある。
毛利家にしても北条家にしても中央集権化のやり方は『自分の息子(近い親族でもOK)を他家の養子に送り込んで乗っ取る』か『娘婿にして一門衆化』なのだ。
現在の彼に使える手段ではない。
何しろ彼は一人息子であり、父義龍は相続の際父と弟2人を殺し、残りは僧籍に入れてしまった。
残っているのは叔父の利堯と利治だが、彼らは織田信長の元に逃げている。
このため彼には豪族の元に送り込む人間が現在存在しないのだ。
毛利家や北条家がどうやって中央集権を為したか、若い彼はまだ理解していなかった。
そしてこの美濃という国がどうやって成り立っているかもあまり理解しきれてなかった。
本来それを時間を掛けて教えるべき義龍が早世してしまったことが彼の一番の不幸と言える。
斎藤龍興、理想の強すぎる13歳だった。
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