Case2:助けてくれた人

 ベンチで寝てしまっていた私は誰かが揺さぶられていて、目を覚ますと、知らない男がいた。

「君、こんな所で何してるの?」

「……両親を待ってます」

「こんな時間に? もう日付が変わるよ」

「それは……」

 言葉に詰まって黙った。

「君、名前は? 何歳?」

かみづき、10歳です。あなたは?」

「僕は吉良きら紅一こういち。葉月ちゃん、信じられないかもしれないけど、君のお父さんとお母さんはもう迎えに来る事はないよ」

「……あなたに何が分かるんですか! 私の事なんて何も知らないくせに!!」

 信じたくなかったのに。迎えに来ると信じていたかったのに。

「君の目は憎悪に満ちているね。放っておけば、それこそ人を殺しかねない。しかも身体中に虐待の跡がある。君は両親が憎いかい?」

 吉良さんは私の目を覗き込んで、言った。

「まぁ……そうですけど」

「復讐したくはないかい?」

 復讐、と言われると、怒りがこみ上げてきた。爆弾が爆発したように。

「僕の所に来たら、復讐の方法を教えてあげるよ。どうしたい?」

「出来たら殺したいですけど、バレたら捕まりますし……」

「君さえ良ければ、僕の所に来ないかい?

 復讐の方法も教えてあげるよ」

「…………あなたに付いて行きます。吉良さん、よろしくお願いします」

 ──もう落ちる所まで落ちたんだ。何だってやってやる。

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