第16話 緑茶は緑色で紅茶は赤いのは何故?

 緑茶も紅茶も、素材となる葉は同じ『オチャノキ』から収穫されますが、何故あそこまで色が違うのでしょうか。今回はその『色』についてのお話です。良かったらご一読。


 その違いは、『発酵(ここでの発酵は、微生物によるものではなく、酸化酵素による酸化・重合)』をさせるかさせないかの違いによるものです。そこをもう少し深く掘り下げてみましょう。





 紅茶があの琥珀色になる理由はふたつあります。


 ひとつは『葉緑素』の色がせる事です。

 お茶の緑色の主な成分は『葉緑素』で、葉緑素は酸化酵素の働きによって酸化したり、他の成分と結び付いたりして、その色がせてしまうものです。この仕組みは、『紅葉こうよう』の仕組みと似たようなものになります。

 

 もうひとつは『紅茶ポリフェノール』の色です。

 お茶に含まれているカテキン類は、酸化酵素の働きによって酸化・重合をし、テアフラビンやテアルビジンといった『紅茶ポリフェノール』に変化します。これらのポリフェノールの色が赤褐色なので、紅茶の色は赤く色付くという事なんだそうです。


 そのため緑色は発色が悪くなり赤褐色が強く出て、紅茶の色はあのような琥珀色になる訳なのです。


 ですので、発酵を途中で止める烏龍茶、特に発酵が中間くらいの台湾・文山包種茶の場合、水色すいしょくが緑がかった薄い琥珀色になったりもします。





 ちなみにテアフラビンやテアルビジンといった紅茶ポリフェノールは、現在でもまだ不明な部分が多い研究段階半ばの成分で、抗酸化作用・抗菌・抗ウイルスの効果があるらしいとされている成分です。


 紅茶の出涸らしを足湯に入れて足を浸けると足の匂いが抑えられる、などの効果が経験的にわかっているのは、この紅茶ポリフェノールの効果ではないかと予想されています。






 余談ですが、「セイロン紅茶の水色すいしょくが濃い赤褐色なのは、その赤土の土壌によるもの」というお話もあります。これはあくまで俗説であって、紅茶の水色すいしょくと土壌の関係性はあまり無いらしいです。


 ともかく紅茶の色にも、その裏には様々な科学変化があるという事がおわかりになったかと。


 未だ研究段階ではありますが、近いうちに紅茶ポリフェノールの有効性が確実に立証されると思います。是非その時には、研究された方々のご苦労をねぎらって、一服献杯して頂けると有り難いかと。


 まあ、美味しければそれで良いのですがね。

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