第11話 『キツネグサ』

 皆様は『キツネグサ』という言葉を聞いた事がありますでしょうか。筆者も、ある文献を見るまで知らなかった言葉です。その言葉と、なぜそう呼ばれるのか、その理由も解説して行こうと思います。


 まずキツネグサとは何かですが、普通の日本茶、特に緑茶を指している言葉です。

 なぜそう呼ばれるのかですが、キツネが化かすように、産地や品質や味わいなどを誤魔化す事が出来るため、そう呼ばれる事があるそうなんです。日本茶は合組ごうぐみ(いわゆるブレンドの事)されるのが普通ですし、酷い時にはアミノ酸などを加えた『添加茶てんかちゃ』として販売したりもされたそうです。


 そんな過去があるからこそ、今は茶葉の品質を調べるためにテイスティングする『拝見はいけん』が頻繁に行われたり、どの茶園から収穫され収穫方法は何かを明示して、トレーサビリティがしっかりしているお茶が出回っている、という状況なのです。






 そしてそれは紅茶でも言える事で、ヨーロッパに中国紅茶が出回り始めた頃は、お茶ではない植物を混ぜてかさ増ししたりなどして、品質を誤魔化すメーカーもあったそうです。


 そのため、紅茶メーカーはその品質保証のために様々な働きかけをして王室御用達ロイヤルワラントを獲得したり、貴族の邸宅では使用人が盗まないように鍵付きのケース『ティーキャディー』に茶葉を入れたり、涙ぐましい手間をかけて品質を保っていたそうです。





 現在では、紅茶はどの茶園のどの場所から、その年の何番目に収穫されたかのロットナンバーを付けて、販売されるようになって来ました。トレーサビリティが確かな紅茶が求められる時代になった訳なのです。


 また、その茶園を統括するマネージャーがその茶園の紅茶を解説したり、バイヤーにサンプルを送って品質が確かである事を説明したり、茶園の様々な場所で収穫された茶葉別にテイスティングして均一な味わいに配合したり、やはり涙ぐましい努力をなさっておられるとか。





 情報が大量・高速で動く昨今、それに合わせて紅茶も、その品質の情報が正確・確実に消費者に届くようになってきております。


 消費者である皆様も、少しで良いのでラベルなどをご覧になってみて下さい。その紅茶の品質がどういうものか、ご理解頂けるかと。ただ難しい記号などもありますので、そこは専門家に聞いてみて下さい。


 特にブレンド紅茶は各産地まで明記されている事がありますので、そこから味の想像をしてみると、なかなかに面白いかと。

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