第26話二十二、美和の大物主神の神話

二十二、美和の大物主神の神話

●この美和の大物主神の神話については大和の国津神と征服者の天津神の融合と一般的に考えられる。この融合は新旧の勢力の対立から起きた、禍を指すのかもしれない。意富多々泥古説話に関連をして、このオオタタネコと言う人が、神の子と知った理由は訳は次の通りである。上記に述べた通り活玉依毗売は容姿が端麗であった。そこに一人の整った比べる者ないほどの好青年がいた。

その男がある夜忽然と現れて、互いに一目ぼれで夜を共にした。

その後幾度となく寝床をする内に乙女が妊娠をした。そこで両親は様子がおかしいので問い質して「お前は夫もいないのにどうして妊娠をしたのか」そこで娘は立派で名前も知らない若い男の話を一部始終を話しを打ち明けた。

話を聞いた両親はどうしても男の素性を知りたくて、娘に向かって「赤土を床に撒き散らし、糸巻に巻いた麻糸に針に通して、男の衣の裾に刺しておきなさい」と教えた。

娘は教えられた通りにした、翌朝、見てみると、針に通した麻糸は戸の鍵穴から通り抜け、糸巻はたった三輪の麻糸だけしか残っていなかった。これで男は鍵穴から抜け出たことが分った。その糸を手繰っていくと、三輪山の神社で終わっていた。●



三輪神社に伝わる神話にこんな話がある。オオタタネコがオオモノヌシの子孫であると云い伝える物語がある。あおのイクタマヨリビメは容姿端麗な美人だった。ところが夜半になると、鍵音もなく忍び寄る男がいた。見れば容姿も良く、二人はたちまち相思相愛の仲になり、親の目を盗んでは同棲生活をした、その内姫は妊娠をしてしまった。

当然のことながら、娘の異変に気付いた両親は「お前は身籠ったようだが、どうしてそのようになったのか」と問い詰めた。

「名前は知りませんが、毎夜私のもとにやって来て、一緒に過ごすうちに、何時の間にか出来てしまったのです」姫は答えた。

これはオオタタネビコを三輪のオオモノヌシの子孫とする系譜に伝わる話である。因みに三輪の地名に、麻糸が三輪残ったので、美和(三輪)と名付けた。

☆天津神の子孫は、国譲りで国つ神の葦中国を得たので、その恨みや不満での禍を恐れた、そのための国津神の御霊を癒す試みを、子々孫々の融合を考えられた。

イクタマヨリヒメは容姿端麗な美人だった。毎夜姫の所に通う美男子に相思相愛、たちまち子供を宿り、親に発覚、男の素性を知りたく、麻糸を男に付け、床に赤土を巻いたが痕跡は出てこなかった。糸を手繰って行くと三輪山に辿り着き、三輪神社の神のオオタネヒコであった話である。

○もう一つオオモノヌシ伝説に孝霊天皇の皇女のヤマトトトヒモモソヒメがオオモノヌシの妻になった話、崇神紀に皇女ヤマトトヒモモヒメガオオモノヌシの妻となった時に、神の姿を櫛箱に入っている子蛇を見て驚いて叫ぶと、辱められたと、怒って三輪山に帰ってしまった。姫は箸で陰(ホト)を突いて急死をした。そしてその墓が箸塚古墳で今一番卑弥呼の墓として注目されている。この説話はこの地の豪族が征服した王族に服従したことになぞらえたのかも知れない。

★意富多々泥古命神君、鴨君の祖先である。

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