第23話十九、神武天皇の后の神話

十九、神武天皇の后の神話

●天孫のイワレビコ命が日向に居られた時に、アヒラヒメと結婚されて生まれた御子は、タギシミミ命、次にアヒラヒメ命の二人おられた。

大和に来られて皇后を求められた時に、オオクメがこの地に「この地に一人の乙女がおります。神の御子です三島のミゾクイの娘でセヤダタラヒメで綺麗な容姿に、そこに三輪のオオモノヌシ神が一目ぼれをして、乙女が大便をする時に上流から箸に化して、乙女の陰部を突いたのです。たちまち箸は立派な青年の姿になったので乙女は驚いた。その後男と乙女は結婚をした。そして生まれた子はホトタタライススキヒメ命と申します。」

この時イススキヒメは一番前に立って年長の乙女を妻としょう。


大和の国の 高佐士を 七人づれ立って歩く 乙女たち

その中に誰を妻になさいましょう

どの娘とも決めがたいが、一番先頭に立つ乙女を妻にしよう。

雨燕・鶺鴒(せきれい)・千鳥・鵐(しとど)でもないのにどうしてそんな鋭いめをしているの

御嬢さん、直に御目にかかりたくて、私の裂けた鋭い眼は

葦原の むさくるしい小屋に菅の畳を

清らかに敷いて 我と二人共に寝したことだ

神武天皇が大和に天下を統治して選ばれた伊湏気余理比売妃(うすきりひめひ)と生まれた御子、日子八井耳命(ひこやいみみみこと)・神八井耳命(かんやいみみみこと)・神沼河耳命(かんぬなかわみみみこと)の三人。●


☆伊湏気余理比売立后の説話・神倭伊波礼毗古命の皇后・御子については、始め日向に滞在しておられる時に、阿多の小椅君(おほはしのくん)の妹の、

阿比良比売(あひらひめ)と結婚をして生まれた子は、多芸志美美命(たぎしみみみこと)、次に岐湏美美命(おすみすみみみこと)、二人おられた。

皇后となる乙女を求められた時に、大久米命が「この地に一人の乙女がおります。神の御子だと言うことです。

三島の湟咋の娘の名は勢夜陀多良比売は、その容姿が美しく、それを三輪のオオモノヌシ神は見惚れて、その乙女が大便する時に、朱塗りの矢に姿を変えて大便をする溝の上流から流れ下り、乙女の陰部を突いたのです。

乙女は驚き、立ち上がり、走り、慌てふためき、その矢を床の上に置くと、その矢はにわかに姿を立派な男に変えた。

男がその乙女と結婚し生んだ子の名は富登多多良伊湏湏岐比売命(ほとたたらいすすおひめみこと)と言う。別名比売多多良伊湏気余理比売と言った。

ある時,七人の乙女が高佐士野を歩いており、伊湏気余理比売がその中にいた。大久米命が天皇にも言った。

この時 伊湏気余理比売は、その乙女たちの先頭に立っていた。天皇はその乙女たちを見て、御心の内、伊湏気余理比売が一番前に立っていると気付かれて、歌に答えて仰せになった。

そこで大久米命は天皇の言葉をその伊湏余理比売に伝えた時に、伊湏気余理比売はその大久米命の目じりに入れ墨し裂けるような鋭い目を見て不思議に思って歌った。

大久米命は答えて歌った。

そこでその娘は「お仕え申します」と答えた。狭井河の畔で、天皇は伊湏気余理比売の家に行き、一晩お泊りになった。

伊湏気余理比売(いすけよりひめ)を妻にして、生まれた御子が、◇日子八井命(ひこやいみこと)、次に神八井耳命(かんやいみみこと)、次に神沼河耳命(かんなかみみみこと)の三人であった。


◇この辺りからイワレビコ命に対する呼び方を「天皇」に変わってきた。イワレビコ命(神武天皇)の妻、娶る様子と御子の系譜を記述したものである。

『古事記』はエロチック性描写が露骨な場面が多く、赤裸々に表現している。性については神話については仏教にある性道徳を問題にしない。

◇神武天皇、イワレビコは日向に居た頃の妻と御子タギシミミノ命・キスミミノ命の二人、大和に来て妻にした御子が三人で、皇位争うで当芸志美々命の変が起きる。

大和で妃を選ぶときに大久米命の進言で七人の乙女を紹介、その中で際立って美しい麗しの乙女が、イスケヨリヒメであった。

イケスヨリヒメは三島の勢夜陀多羅良比売で麗しき美人、大物主神が見惚れて結ばれるが、その経緯は露骨なエロチックで描写でつづられている。それについても詳細に語られているのは、天津神系と国つ神系の融合を更に強調しているのではないかと思われる。

◇イケヨリヒメの出自を物語る説話に、丹塗り矢型の神婚説がある。同じ型の説話に『山城風土記』に賀茂説話には、賀茂建角身命の娘の玉依比売が、石川の瀬見の小川で川遊びをしていると、丹塗りの矢が流れて来た。これを床に挿しておくと、姫はやがてはらんで男子を生んだ。その子が大きくなって、天の昇ったので、賀茂別雷命と名付けられた。


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