第20話十六、鵜葺草葺不合命の誕生の神話
十六、鵜葺草葺不合命の誕生の神話
●時が経て、海の神の娘トヨタマヒメ神は、自身からホオリ神の許に参上し「私はすでに身籠っております。今まさに生まれようとしております。天孫の御子は海で生まれる訳にはゆきません。」と申し出てきた。
そこで海辺の浜に、鵜(う)の羽を草の代わりに屋根・壁に囲い産屋を作った。
ところが産屋を作っている最中、おなかが切迫し産屋に入って出産の前に天孫のホオリ神に申して「天上の御子を産には、その国の姿で生みます。私は本国の姿になって産みます。どうか出産の私を見ないでください」と申して産屋に入った。
その言葉が不思議に思って、出産の間際に、そっと覗かれた。そこには大きなワニがのたうちまわり、くねくねと這い回っていた。
それを知ったトヨタマヒメ神は恐ろしく、驚いて逃げ出してしまった。
御子を産んだままにして「私は海の道を通って行き来しようと思っておりましたが、あなた様が私の本性の姿見られ、恥ずかしく思います」と言って海の国に帰ってしまった。
御子の名を天津日高日子波限建鵜葺草葺不合命(あまつひこなぎさたけうあがやふあえずのみこと)と言う。
しかし海の国に帰ってからも、ホオリ神を恋しく、恨みつつ、その御子の養育にあたって、妹のタマヨリ神を献上した。
恋しいホオリ神に寄せて次のような歌を詠まれた。
“琥珀の玉のように輝くあなた様はなんて高貴な方でありましょう”
答えてホオリ神は
“鴨が舞い下りる島に、自分と添い寝をした妻を忘れない”
その後、皇孫の御子の養育に妹のタマヨリ神を献上された。
皇孫の御子ウガヤフキアエズ神と育ての叔母のトマヨリヒメ神が結婚された。そして生まれた御子が後の皇孫、イツセ神の神武天皇である。
ウガヤフキアエズ神とタマヨリヒメ神の間にイツセ神・イナビコ神・ミケヌ神・ワカミケヌ神の四神が生まれた。
ミケヌ神は波頭を踏んで常世の国に行かれた。●
☆鵜葺草葺不合命の誕生と神話
海の神の娘豊玉毗売は火遠理命の所に参上し「私はすでにあなた様の御子を身籠っております。今まさに出産の時となっております。天津神の御子孫は海の中で生まれたことありません、そこで参上しました」と申した。
そこで海の渚に、鵜の羽の屋根に、壁を葺く草の代わりとして、産屋を作った。しかし産屋が出来上がる前に、お腹の切迫に耐えられず。産屋に入られた。
今まさに生まれようとした時に、皇孫火遠理命に「およそ他国の人は子を生むに臨み、その本国の姿で生みます。
それで私も本来の姿で出産するので、どうか見ないでください」その言葉に不思議に思われて、産む間際にひそかに覗いてしまった。そこには大きなワニ(さめ)になって体をくねらせて這っていた。火遠理命は光景に驚き逃げ出された。
豊玉毗売命は火遠理命に見られたことを知って、心に恥ずかしさを思った。
その御子を置いたまま「私は何時までも海の道を通って行き来しましょう。けれどあなた様が覗き見されたので恥ずかしく思います」と申した。
そして海の道の境界を塞ぎ、海の国に帰り、入ってしまった。そこでお生まれになった御子の名を、天津日高日子波限建鵜葺草葺不合命と言う。
しかしながら覗き見された火遠理命に恨みつつ、恋しい心に耐え切れず、その御子を養育申し上げる縁を頼りに、その妹の玉依毗売に添えて、歌を献上した。
この日子穂々手見命(火遠理命)は高千穂宮で五百八十年間暮らした。御陵は高千穂の山の西にある。
※誤訳解釈・ホヲリが故郷に戻っている所に、トヨタマヒメがワタツミ宮殿から訪れてきた。ホヲリに向って身籠ったことを伝えた。それも陸地で生むためにやってきたと言う。ホヲリは早速、鵜の羽根を使い、産屋を建てたが出来上がる前に産気づいたので、産屋に入ったトヨタマビメはホヲリに言った。
「子供う生むときには元の姿になりますので覗かないでください」ところが出来上がっていない産屋の隙間よりこっそり覗いてしまった。
中を見てホヲリは仰天、のたうちまわる巨大なワニの姿だった。無事生むことが出来たトヨタマビメはホヲリに本当の姿を見られ、恥じらい産屋から出て行きワタツミの宮殿に戻って行ってしまった。
しかし思うは子供の事ばかりで、妹のタマヨリヒメに育ててもらうことになった。
生れて育てられた子供がウガヤフキアヘズである。
ウガヤフキアヘズが成長して、叔母で育ての親のタマヨリヒメと結婚して生まれた御子が、イツセ、イワナ、ミヌケ、ワカミケヌが生まれた。
このワカミケヌが伊波礼毘古命(神倭)である。
ホヲリは(火遠理命)はその後、高千穂宮で五百八十年間暮らされたと言う。
御陵は高千穂の山の西にある。
ヒオリは天孫の御子、その御子は海神の娘と生まれた御子は神の子、産んだ母はワニの姿で出産をした。本来の姿で出産をしたトヨタマヒメは海の国に帰ってしまった。代わりに母の妹の玉依毗売、その育ての母の妹のタマヨリ姫と結婚し神武天皇に成る神倭伊波礼毗古命である。いわばイワレビコ神武天皇は伯母との間に生まれた天孫になる。
☆鵜葺草葺不合命の系譜神話・
この鵜葺草葺不合命がその叔母の玉依毗売命との結婚で生まれて御子の名は、五瀬命、次に稲冰命、次に御毛沼命、次に若御毛沼命(豊御毛沼命)(神倭伊波礼毗古命)、の四神。御毛沼命は波頭を踏んで常世国に渡られた。稲冰命は亡き母に国ということで、海に入られた。
◇鵜葺草葺不合命から神倭伊波礼毗古神(神武天皇)への引き継ぎは簡単な記述でしかあらわされていない。
◎常世に国=①古代日本民族が、遥か海の彼方にあると想定した国②不老長寿の国。仙郷、蓬莱山、③死人の国。黄泉の国とも思われている。
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