第18話十四、木花之佐久夜毗売の神話

十四、木花之佐久夜毗売(このはなさくやひめ)の神話

●天つ神の天孫の神ニニギ神が地上に舞い降りた笠紗の岬の地で容姿端麗(ようしたんれい)の美人な乙女に巡り合えた。そこでニニギ神は訪ねて「誰の娘か」と問われた。

答えて「オオヤマツミ神の娘コノハナサクヤビメ神と申します」

ニニギ神は「お前には姉妹が居るのか」と問われると「姉のイワナガヒメ神がおります」

そこでニニギ神は気に入られて結婚をしたいと申された。

サクヤビメ神は「自分から決めかねます。私の父オオヤマツミ神が返事をするでしょう」そこでニニギ神は使者を立てるとオオヤマツミ神は大変喜んで快諾の上、その姉のイワナガヒメ神を付けて、数々の結納の品々を付けて献上された。

ニニギ神はコノハナサクヤビメ神を手元に置いて一夜の契りを結ばれた。イシナガヒメ神は醜かったので一目見て嫌になって返された。

これを知ってオオヤマツミ神は、折角差し上げた娘が返されて、恥じて遺憾に思って使者を立てて申し立てをした。

二人の娘の娶る違いを「二人の娘を差し上げましたが、イワナガ神を娶られるなら天孫は代々、風雪に耐えて、岩の如く堅固でありましょう。

サクヤビメ神を娶られるならば天孫子々孫々まで、桜の花のように咲き栄えるでしょう。

誓約を立てて差し上げました。サクヤビメ神は桜のように咲盛りの間だけでありましょう」と申し、今だ天孫は命に限りがあると言のである。

それから時が経ってコノハナビメ神はニニギ神に向かって申されるに「私は身籠っております。天つ神の御子の隠し立てして生むわけにはゆきません」の申し立てに、ニニギ神は不審に思って問いただされた。

「サクヤビメ神よ一夜で身籠ったと言うのか、それは我子ではあるまい。神の子であろうか」とニニギ神は疑い尋ねた。

サクヤビメ神は、これに答えて「もし私が身籠った子が国つ神の子であるなら産むときに苦しみ、天つ神の子であるなら安らかでしょう」出入り口の無い大きな建物を作り中に入った。

出産の直前に火を放ち、燃え盛る火中で生まれた御子の名を。ホデリ神さらに次に生まれた御子はホシセリ神、次にホオリ神を生まれた。

三人の御子すべて安産であった。●


☆木花之佐久夜毗売の説話場面は天上の天孫の天つ神の迹々芸命が地上に舞い降りた所が九州は鹿児島あたりの笠紗の岬の国つ神の大山津見神の娘に一目ぼれで物語が始まる。

この説話はよくある醜い女性と美人な女性の選択の物語、誰しも美人を選ぶものでそれが心情と言うものであう。

また姉妹婚は東南アジや民話などでよくある話である。

話しは迹々芸命は、笠紗の岬で容姿端麗な美人に出合った。

「誰の娘か」と迹々芸命が聞かれた。「大山津見神(おおやまつみかみ)の娘で、名は神阿多都比売、別名木花之佐久夜毗売と言います」と申した。また「姉妹がいるのか」と問われた。

私の姉に「姉がおります石長比売(こくながひめ)と申します」ニニギ命は余程気に入られたのか

「お前と結婚したいと思うが、どうか」と問われた。

「私は申しかねます、私の父オオヤマツミ神に申してください」と答えた。

そこで父の大山津見神に求婚の使者を立てた時に、大山津見神はたいそう喜んで、その姉石長比売を副えてたくさんの結納の品々を持たせて献上をした。

ところが姉の方は醜かったのでニニギ命は一目見て恐ろしく思って送り返した。

妹のコノハナサクヤ姫を手もとにおいて一夜を過ごした。そのオオヤマツミ神は迹々芸命が石長比売をお返しになったことにたいそう恥じて使者を立てて「わが娘を二人一緒にさし上げまたしたが、そのわけは、石長比売をお召しに成れば、天津神の御子孫は、風雪に耐え、岩のように堅固に生きられるでしょう。またコノハナサクヤ毗売をお召しになれば、天津神の御子孫は、桜の花のように咲き栄えるでしょう、予め誓約を立てて差し上げました。しかしながら石長比売を返され、コノハナサクヤ比売をお留になったので、天津神の御子孫の寿命は、桜の花の盛りだけ有るでしょう」と申し、この事があったので、今日に及ぶまで天皇の御寿命は長くないのである。

この時から日時が経って、コノハナサクヤ毗売が迹々芸命に「私は身籠っております今にも出産の時になっております。

この天津神の御子は、私が密かに産み申し上げるわけにまいりません、それ故申し上げます」すると迹々芸神は「佐久夜毗売よ、一夜で身籠ったと言うのか。それは我子ではあるまい。必ず国津神の子であろう」と仰せられ疑われた。

そこでコノハナサクヤ毗売は「私が身籠った子がもし国津神の子であるならば、産むときに不幸が起こりましょう。もし天津神の御子であるならば安らかでありましょう。」と申した。コノハナサクヤ毗売は出入り口の大きな建物を作り、その屋内に入り、土で塗り塞ぎ、今まさに出産と言う時に、火を放ち火中で御産みになられた。その燃え盛る時に生んだ子の名は火照命、(これは隼人の阿多君の祖先)次に生んだ子の名は火湏勢理命、次に産みになった御子の名は火遠理命、別名天津日高子穂々手見命であった。


☆語訳解釈・天孫の妻の娶りに選択が、この編の二人の姉妹姫を選ぶことにあった。

迹々芸命は美しい女性を選んだので寿命が短くなることを、大山津見神は試された、「花の命は短くて・・・」の諺があるように、古来誰もが美しき女性を選択し憧れるが、そればかりではないと言う戒めに使われている。

ニニギの結婚はある日笠の岬(鹿児島県野間岬)に出かけ、美しいコノヤサクヤヒメに出合い、妻にしようと父のオホヤマツミに結婚を申し込みに行った。オオヤマツミは喜んで姉のイワナガヒメも一緒に嫁がせた。ところがイワナガヒメは醜く、一目見てニニギは親元に帰してしまい、コノヤサクヤヒメと結ばれた。オオヤマツミは「神の御子の命は花のように短くなると」言った。コノヤサクヤヒメは花の神、イワナガヒメは石の神、二人の姫を送ることで御子は永遠の命を得有られたものを、イワナガヒメを返したので、神の命は代々寿命が与えられたそうである。

結婚後しばらくして身籠ったことを告げたので、一夜だけの交わりに、ニニギは疑いました。この言葉を聞いたコノヤサクヤヒメは「あなた子であれば無事に生まれるでしょう」と言い残して立ち去った。いよいよ出産の時にコノハナサクヤビメは出入り口の無い産屋に籠ると、壁を土塗り固めて、底に水から火を放ち、”燃え盛る炎の中で出産をした“ニニギがこれを認め、生まれた子供が、ホデリ・ホシテリ・ホヲリの三柱だった。

☆木花之佐久夜毗売を祭神として甲斐国一ノ宮の祭神に浅間神社がある。駿河国一ノ宮、富士山本宮、浅間神社がある。この神社は諸国千三百社ある総本社である。

また伊豆国一ノ宮の三嶋神社は木花之佐久夜毗売の父神、大山衹命(大山津見神)でありこの地に木花之佐久毗売を祭神とするのか不明である。大山津見神の祭る一ノ宮神社としては、四国一の大社大山積大神がある。一説に大山祇神は百済から渡来し、摂津の三嶋に鎮座され、三嶋大明神を大三島に遷座させたと言う。

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