第16話十二、国譲り神話
十二、国譲り神話
●天若日子の派遣も旨くいかなかったので、アマテラス大神は次にどの神を派遣すればよいか、またもや思金神が「天の安河の上流の石屋に住まいの天尾羽張神(あめのおばはりかみ)を遣わすがよろしいかと思います。またこの神が行けない場合、子の
建御雷之男神(たけみかづちおのかみ)を遣わすがよろしいかと思われます」と答えた。
所が天尾羽張神が安河の水位を上げて通行止めをしており、特に天迦久神を派遣して尋ねるがよいと分かった。
そこで天迦久神を派遣をして天尾羽張神にお問になられた。「恐れ多い事でありあます。お受けいたしますが葦原中国への道には我が子の建御雷神を遣わしてください」と申し直ちにタケミカヅチ神を進言申し上げた。
このでアマテラス大神は天鳥船神)あめのとりふねかみ)をタケミカヅチ神に付けて葦原中国に派遣をされた。
こうして二神は出雲の国の伊耶佐(いささ)の海辺に舞い降りた、タケミカヅチ神は十掬(とつか)の剣を抜き波頭を刺し立ててその剣の刃先にあぐらをかき座って、葦原中国のオオクニヌシ神に問いただした。
「私はアマテラス大神トタカキ神の仰せで、あなたに問うべく使者として遣わされた。そなたらが占有している葦原中国はもともと我らが子孫が統治すべき国として委任された。その事につきそなたの真意を聞きたい」と言った。
所がオオクニヌシ神の返事は「私は申すまい、我子の八重言代主神(やえことしろぬしのかみ)が返事を申すでしょう。息子は鳥や魚の猟に美保の岬に行って、まだ帰ってはおりません」そこでタケミカヅチ神はトリフネ神を遣わして、八重言代主神を呼び寄せて、問い詰めた所、コトシロヌシ神は父のオオクニヌシ神に語って「恐れ多いことで、この国は天つ神の御子孫に献上致しましょう」と言った。
そうして乗ってきた船を踏み傾けて、天の逆手と言う拍手をすると、船は一瞬にして青い柴垣に変わって、その中に隠れてしまった。
再びオオクニヌシ神に向かって「今、そなたの子のコトシロヌシ神は、このように申したが他に申すべき子がいるのか」問うと「もう一人建御名方神(たけみなかたかみ)がおります」と申した。
交渉をしている所にタケミナカタ神が千人力で引くほどの岩を手先で持ち上げてやって来て「誰なのか、我が国にひそひそ話をするものは。それでは力比べをしよう」と言ってタケミナカタ神がタケミカヅチ神の手を取ったとたんに握らせたタケミカヅチ神の手が氷柱に変え、剣の刃先に変えた。
これを見て恐れをなして後ろに下がった。今度はタケミカヅチ神がタケミカナタ神の手を握ろうと引き寄せ握ると葦をを握りつぶすして投げ飛ばした。驚いたタケミカナタ神は逃げ去ってしまった。
そこでタケミカヅチ神は追って追って信濃国は諏訪の湖にまで追いつめた。そして殺そうとした時、タケミカナタ神は「あなたは恐ろしい方だ、私を殺さないで下さい。自分はこの地以外に場所には行きません。父上のお言葉に背くことはしません。八重事代主神の言葉に背きません」そして「葦原中国の天つ神の御子に献上致します」と申した。
タケミカヅチ神は再び出雲国に帰ってきた。
オオクニヌシ神に向かって「そなたの子供たちコトシロヌシ神とタケミカナタ神の二神は天つ神の御子に従って相反しないと申した。そなたはどうか」と問うた。
「私の子の二神が申した通り、私も相違ございません。葦原中国を献上致します。ただ私の住まいとしては、天つ神の子孫が天つ日継を受け、統治なさる立派な宮殿そのままに大地に太く岩盤に柱を太く立て、天空に千木を高々と上げてお作り下さいるならば、私は道の曲り数多くの果てに隠れましょう。また私の眷属の神どもは八重事代主神が後尾を守り、先頭にお仕えするならば背くことはございません」と言った。
こうして出雲の国の多芸志の小浜に、オオクニヌシ神のための宮殿天の御舎を造って、水戸の神の孫の櫛八玉神を料理人として、天の御馳走を奉る時に祝言をして、櫛八玉神(くしやたまかみ)は鵜に姿を変えて、海に潜り、海底の埴土をくわえて、その土で天の平瓮(ひらか)という容器を作り、海藻の茎を切り取り、火を切り取る臼をを作り、火を切りだして言う言葉は、
“私が切り出した火は、高天原の神産巣日御祖命(かみむすひおやみこと)(の立派な宮殿のように、オオクニヌシ神の宮殿も天上界の新宮殿でするように、すすが長々と垂れさがるまで樹木を焼き、祓をし、宮殿を支える柱は、大地深く岩盤にまで叩き込み、宮殿の楮の縄はの千尋の縄を打ちのばし結び固め、延縄漁(はえなわりょう)で釣り上げた口の大きく、尾ひれが翼のように鱸(すすき)をわざわざと引き寄せ、打つ竹のしなるほど鱸をしとめて、天の魚料理を奉ります。“
こうしてオオクニヌシ神はこの宮殿に鎮座し祭りを受け容れたので、タケミカヅチ神は天に帰り天つ神の許に参上し、葦原中国の平定するまでの経緯を説明申し上げた。●
☆国譲りの説話の場面は変化に富んで天の安と出雲の国のと様子を描いている。最初に派遣されたアマワカヒコ神のオオクニヌシ神の交渉は悉く失敗し、オオクニヌシ神の真意をただすことはできなかった。
そこで安の河の上流の天尾羽張神と建御雷之男神の親子に白羽の矢が立った。快く引き受けた親子は息子のタケミカヅチ神が選ばれた。同行する神にアマトリフネ神が決まった。
場面は出雲の国は伊耶佐の海浜で有名な光景、タケミカヅチ神が剣の刃先を上に向けてその先にあぐらをかいて座する姿である。そこでオオクニヌシ神に向かって直談判をする。自分は天つ国のアマテラス大神とタカキ神の遣いで葦津中国は天つ神の御子が統治するとこで、その御子に委任されたのでオオクニヌシ神の真意を聞きたいと迫った。
そこであっさり国譲りを認めたが、二人の息子達にも聞いてほしいと返事をした。
上の息子八重事代主神は出かけていたので、トリフネ神に呼び戻し国譲りの事を打診、このコトシロヌシ神も承諾したが、この時の所作が乗ってきた船の上で天の逆手と言う拍手をした。
その直後に船は瞬間に青い柴垣と化しその中に隠れてしまった。
兄と思われるコトシロヌシ神は気弱にタケミカヅチ神はあっさり要求を承諾をした。
しかも青い柴垣に隠れてしまった。
次にタケミカヅチ神は次の息子は何処にいるかの問いに、すでにタケミカヅチ神の面前にタケミカナタ神が千人力で引くほどの大岩を手先に持ち上げてやって来た。
国譲りの事では力比べで決しよう提案してきた。そしてタケミカナタ神はタケミカヅチ神の手を握って来た、するとその手が氷柱に変え、剣に変えた。
代わってタケミカヅチ神が手を取ろうとすると後ずさりをしたが、その瞬間、葦の掴むようにして投げ飛ばした。
タケミカナタ神は逃げ去った。そこで追って追って信濃国は諏訪湖まで追いつめて行った。
タケミカナタ神は懇願し「どうか私を殺さないでください。決してこの地より外に出ません。父兄の考えに背きません」と約束をしたので許した。
タケミカナタ神とタケミカヅチ神の腕力の差は歴然であった。
しかも出雲に戻らずに逃げた土地に住み続ける約束までした。
、元の出雲国に帰って、再びオオクニヌシ神に「息子二人も献上する約束をしたがそなたの真意はどうか」と尋ねた。
そこでオオクニヌシ神は国譲りには条件を出して約束を求めた。
天つ神の子孫が引き継に、代々それを受け継ぎ統治される立派な宮殿をオオクニヌシ神の住まいの宮殿を建て、その宮殿については高く、太い柱を地中深く突き立て、天空に高々と千木を上げてくれるなら私は道の曲がり角に隠れましょう。
これに対して天つ神の約束として出雲国の多芸志の小浜に宮殿を造り、立派な料理御馳走を用意し、天上界の宮殿のように、すすがたまって垂れさがるまで、長く住めるような宮殿を用意しましょう。
この要求を受け容れられてオオクニヌシ神は宮殿に鎮座した。
この一部始終をタケミカヅチ神は天つ神に報告をしたのである。
☆国譲りの説話でオオクニヌシ神が天つ神の子孫の御子に献上する条件はきめ細やかに示された。その偉容を物語る伝説民話に「雲太・和二・京三」と並べた句が残っている。一位に出雲大社、二位に東大寺、三位に平安京大極殿と言う。二位と東大寺が高さ四十七メートル、それ以上となる出雲大社は近年発掘調査で直径三メートルの巨大な柱の痕跡が発見された。
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