第14話十、国作りの神話

十、国作りの神話

●少名毗古那神(すくなびこなかみ)と御諸山の神、大物主神の国作り

オオクニヌシ神が出雲の美保岬に行き国作りをしていた所、蔓草のガガイモ(薬用になる多年草)の実を船にして小鳥のミソサザイ(雀科の小さな鳥)の羽毛を衣にまとい近寄ってくる神がいた。

名前を聞くが答えない神に廻りも神に聞いても分らず、ヒキ蛙が来て答えて「この者はクエビコ(案山子)が知っているでしょう」と言った。

そこでクエビコを呼んで尋ねると「カンミムスヒコ神の御子のスクナビコ神です」と答えた。天上界のカンムスヒコ神に問い申した所「これはまさしく我子、子供たちの中でスクナヒコは私の手からこぼれ落ちた子です。だからオオクニヌシ神と兄弟になって一緒に国作りをしなさい」と言われ以後二人で国作りに勤しまれた。●


☆国作り説話・大国主神が出雲国の美保岬で国作りをしていると、波頭に伝って羅摩船に乗って、小鳥の羽根をまとい近寄ってくる神があった。

その神の名を誰に聞いても分らず、蟾蜍(ひきがえる)が言うにカカシノクエビコが知っているでしょうと答えた。そこでクエビコは答えて「これは神産巣日神の御子の少名毗古神です」と申した。そこで大国主神が御母の神産巣日神に申しに天上界に送り上げた。

答えて「これは私の御子です、手の指の間から漏れ落ちた御子です。蘆原色許男神(大国主神)と兄弟になって、国作りを固めなさい」そこで大国主神と少名毗古那神の二神は一緒にこの国の国作りを始めた。

その後、少名毗古那神は常世国に去って行った。大国主神は一人で途方に暮れていると。その時に海の彼方から光照らしながら近寄る神があった。

私を十分に祀るなら、国作りは成功するでしょう、」大国主神は「お祭りするにはどうすれば良いのですか」と尋ねると「私を倭の青々とした垣を成す東側の山の上に祀りなさい」と言った。これが御諸山の上に鎮座する神である。その神が山を御神体とするオホモノヌシ神であった。(奈良大神神社)

☆国作りの説話の場面は国つ神の役割、スサノヲ神からオオクニヌシ神に引き継がれ、自分によく似た謎の神が一緒に国造りを手伝ってくれる。それが海の彼方からやってくる設定である。神産巣日神の子で体が小さいが俊敏、医薬・まじないの神と言われている。


☆国作りの説話・オオクニヌシ神の国造りは一人で諸国を平定していた。

そんな時に現れた協力者は少名毗古那神であるが、自分について語らず、ヒキガエルと案山子が代弁し、天上界に居る、神産巣日神の御子であると教える。神産巣日神は別天津神の五神の一人、オオクニヌシ神が根之堅洲国でスサノヲ神の試練の時に、八十神に逆襲にも助けを出したのが神産巣日神であった。別天津神の一神の国津神は国津神のオオクニヌ神を支え続けるのである。 

二番目の協力者は一人の神が海を輝かせオオクニヌシ神のもとにやってきたのである。

その神の言うのには、自分は大和は東の山の頂に祀れば、一諸に国造りをしよう。オオクニヌシ神は早速大和は御諸山に(三輪神社)祀った。こうして第二の協力者を得て国作りは終えた。 

◎常世の国に渡ってしまったと言われる少名毗古那神は農耕神クエビコは今では山田の案山子であり、一本足で歩けないが悉くこの世の事を知っていると伝えられている。スクナビコナ神は『伯耆風土記』や『日本書記』には粟が実った時、粟茎にはじかれて「常世の国」に渡ったとされ、『播磨風土記』にも大国主神と少名毗古那神の興味深い説話が記されているという。

大物主神と大国主神と同一神格とさているが、別神とする方が説明がつきやすい。

 

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