第12話八、大国主神と因幡の素兎説話


八、大国主神と因幡の素兎説話


●因幡の白兎と説話

オオクニヌシ神の兄弟は八十神もの大勢いいるので多くの問題を抱えていた。多くの兄弟は因幡(稲羽)ヤカミヒメと結婚をしたい気持ちを持っていた。

ある日、皆で一緒に稻羽に行った時、多くの神々はオオクニヌシ神を従者として大きな袋を背負わせて連れて行った。

そして気多(けた)の岬に着いた時、毛をむしり取られた裸の兎が臥せっていた。

そこで大勢の神々はふざけて「お前は海水にを浴び、風にさらして山の上で乾かせばよい」と悪こいとを教えた。

たちまち兎の体はただれ痛みに泣いている所に、オオクニヌシ神が通りかかり兎に尋ねた。

「お前はそのような姿で泣いているのか」兎は答えて、そのいきさつを話しをした。

「自分は淤岐(おき)の島に住んでいるものです。こちらに行く術がないので、海のワニを騙して『自分達とワニ達一族の数比べをしょう』と言ってワニ達を島から気多の岬まで並べさせ、そのワニの上を踏み越えながら着地寸前に『自分はお前たちは騙されたのだ』と渡り切る前に有頂天に言ってしまった。

その時に最後の一匹にこのように身ぐるみはがされたのです」と泣きながら答えた。

更に「先ほど行かれた神々が海水で洗い日に乾かせば治ると教えられて、このように酷くなりました。」

そこでオオクニヌシ神は「今すぐ河口に行って体を真水で洗い蒲の花を摘み、その上でごろごろしておれば治る」と教えた。

その教えの通りするとすっかり元通りになった。

これが稲羽の素兎と言って、兎神であった。その兎がオオクニヌシ神に向かって「あの大勢の神々はヤカミヒメを射とめることはできません、きっとあなた様が娶られるでしょう」申した。

結果ヤカミヒメはオオクニヌシ神の求婚に応えた。●


★オオクニヌシ神の説話・因幡の素兎の説話は日本の民話として誰もが知っている説話である。

オオクニヌシ(大穴牟遅神)の兄弟は八十神(やそがみ)も大勢いたので問題も多かった。しかし多くの兄弟神は大国主神に譲って身を引いた。

身を引いたとは故、まだ多くの兄弟は因幡の八上比売(ヤカミヒメ)に好意を持っていて、皆で一緒に稻羽に行った時に、大穴牟遅神は大きな袋を背負わせて気多の岬で毛をむしられた伏せった白兎に出合った。

大勢の意地悪な八十神の神々は白兎に海水をぬらし高い山で乾かすと良いと悪い事を教えた。

その内皮膚がただれひび割れし、泣き伏している所に大穴牟遅神が通りかかり、「お前はそんな姿で泣き伏しているのか」と聞かれた。

自分は淤岐の島(隠岐島)に住んでいて、ここに渡りたいので海のワニ(鮫)を欺き「自分の一族と、ワニの一族の多寡(数の大小)を調べてやるので気多の岬まで並ぶよう」に提案しワニは騙されて並び伏した所をワニらの上を渡り終えようとした時に「お前たちは欺かれたのだ」と言い終えると同時に最後の一匹に捕まえられ、身ぐるみ剥された経緯を話し、八十神に出合いまた騙された話をした。

八十神が通りかかりワニに皮をはがされた事情を話すと「海水を浴びて風にあたっておれば治る」と教えられ、その通りにすると、ますます傷はひどくなり泣いているのですと打ち明けた。

そこで大穴牟遅神は「今すぐに河口の行き、真水で体を洗い蒲の花の上でごろごろしておれば、元の姿に治る」と教えた。

そこで兎はその通りにして元通りになった。これが「稻羽の素兎」の話である。

☆大黒さんの名称で親しまれている大国主神はは古来、薬の神さんで知られている。理由は兎がワニを騙した仕打ちに皮を剥がれ苦しんでいる所を治療法を授けたことに有るらしい。また大黒さんは仏教の大黒天と習合し頭巾をかぶり、大きな袋を担いでいる福の神の恵比寿さんと共に縁起の良い神さんとして商人に信仰されている。




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