第3話 一、国生みと神生みの説話
一、国生みと神生みの説話
●万物の創造者こそイザナキとイザナミの男女神、天上界から舞い降り、オノコロ島で情愛に交わって、生きとし生ける生物の雄と雌の営みを叙情的な行為によって、島が出来、神が出来、森羅万象が生まれた。糞から石から風から全部合わせ三五神が生まれ、物語が始まる。●
夫婦神の最後に現れたのが瑞穂の国の創設者こそイザナキ神・イザナミ神の二神である。
天上界の神々は、二人の神に下界を治めよと命じられた。
そこでイザナキ神とイザナミ神は天上界から下界を見下ろした。
下界はただ波が漂い、其の果ても見えず水平線は遥か向こうに霞の彼方に何も見えない。
二人の神は協力をして、天の浮橋に立って「天の沼矛」をコオロコオロとかき混ぜ引き上げると矛先からポタリポタリと塩の雫が垂れて出来た島が「オロゴロ島」で二神は出来た島に降り立ち「天の御柱」と広い「八尋殿」を建てた。
オロゴロ島で互いに体の違いを見て、一体になる事を提案し交合の儀式始めた。
イザナキ神はたくましく、イザナミ神はなまめかしく、イザナキ神とイザナミノ神夫婦の契りの儀式は「天の御柱」を中に巡り廻ることから始まった。
男のイザナギ神は左回りにて「あなにやし、えおとめを」女のイザナミ神は右回りで「あなにやし、えをとこを」と愛の言葉を交わし交合された。
そして国生みに取りかかられ、最初に生まれた子は淡道の穂の狭別嶋を生み・次に伊豫の二名嶋を生み・次に隠伎の三子の嶋を生み・次に筑紫嶋を生み・伊岐嶋を生み・次に津嶋を生み・次に佐度嶋を生み・最後に大きな大倭豊秋津嶋を生まれた。全てイザナキ神とイザナミ神とが国生みに造られた島々は大小合わせ十四島であった。
国生みをされた後は、神生みに取り掛かられた。
最初に住居に関わる神々を七神を生まれた。次に海・河口・風・霧・野・峡谷・迷い路・木など自然に関する神々を孫神を含め二十四神を生まれ、次に生産に関する神々を生み始めて三神目の火之迦具土神を生んだ時には難産で陰部に火傷を負ってしまった。
病床で苦しみながら嘔吐や糞や尿から穀物・鉱山・土・生成の神など八神の神々が生まれた。
結果、イザナキ神とイザナミ神の間に生まれた島々は十四島、神々は三十五神が生まれたことになる。
イザナミ神は火傷がもとで病床に就き亡くなったしまった。イザナキ神は泣き悲しみ足元にすがったが、どうすること出来ず遺骸を出雲国と伯伎国の境い目の比婆山に葬った。
愛する妻を失ったイザナキ神の怒りは収まらずイザナキ神は十握の剣を抜き、「いとしい我妻よ、お前ひとりを引き換えに出来ようか」我子の迦具土を切ってしまわれた。
そして横たわる妻の枕もとに腹這いになって声を上げて泣かれた。
火之迦具土の体からは血が飛び散って、血液から八神が生まれ、頭部・胸部・右腕・左腕・腹部・右足・左足・陰部・十拳剣などから十八神々が生まれた。
★天上界の神々が地上に舞い降りる情景から天地の内の地上の創世が次始まる。
言わば天上界から力によって地上界が形成される構図になっている。
この点に於いて天上界は絶対的な支配者である。
その使者がイザナキ神・イザナミ神である。
最初にイザナキ・イザナミ神が天の浮橋から沼矛をかき混ぜ、その沼矛から滴り落ちた塩が積り固まった所が、オノゴロ島である。その島に天の御柱を立て八尋殿を建てた。二人の神はイザナキ男神・イザナミ女神として交わり「交合」をして「国生み」を始め、瑞穂の国の創世として、淡路島・四国・次に隠岐の島・九州を生み、壱岐島・対馬を生み・佐渡島を生んで最後に本州を生んだ。国生みと言う大役を終えて帰りに、吉備の児島、瀬戸内海の小豆島、次に大島、次に女島を、次に両児嶋を生まれた。先に生まれた国生みの島々を大八嶋国と言う。後から生まれた児嶋は島で合計十四島の国生みがなされた。
次に神生みは、土石・石・砂・住居の出入り口・家屋・風・海・水・次に女神などからイザナキ神・イザナミ神の間に生れ神と、孫神十六神、合わせて三十四神生まれた。(記述には三十五神)イザナミが火傷を負って死の間際に嘔吐や糞や尿などから鉱物・穀物など生産に関わる神々など合わせ十八神が生まれた。
万物創生に神々を生むにはイザナキ神・イザナミ神の夫婦神だけでは成り立たず、孫神などによって森羅万象の現象の神々を生めることになった。
こう言った生れた神々に役割を与え、存在理由と存在意味の大義名分を付けて出現させるには、大変な想像力が必要とさせるものである。それぞれに配置が求められ、自然界に神として存在させる。
所がイザナキ神が出産で火の神、火之迦具土神を生んで火傷を負って死んでしまった。
☆国生み神生みの説話の場面は
〇伊邪那岐・伊邪那美の神生み
◎伊邪那岐神◎伊邪那美神の国生みを経て、二神は更に神生みに取り掛かった。
◇大事忍男神◇石土毘古神◇石巣比売神◇大戸日別神◇天之吹男神を生み、次に◇大屋毗古神◇風木津別之忍男神。。
次に海の神◇大綿津見神・
次は河の神、◇速秋津日子神◇妹速秋津比売神この
◎二神ハヤアキツヒコノ・イモハヤアキチヒメノ、より海、川を司る八神が生まれる。
◇沫那芸神◇沫那美神◇頻那芸神◇頬那美神◇天之水分神◇国之水分神◇天之久比奢母智神◇国之久比奢母智神の神々を生んだ。
次に風の神、◇志那都比古神・木の神、◇久久能智神・山の神、◇大山津見神・野の神、◇鹿屋野比売神が生まれた。
○オオヤマツツミ神とカヤノヒメ神との二神の間に八神が生まれた。
◇天之狭土神◇国之狭土神◇天之狭霧神◇国之狭霧神
◇天之闇戸神◇国之闇戸神◇大戸或子神◇大戸或女神の八神を生んだ。
◎次にイザナキ命とイザナミ命の間に三神を生んだ。
◇鳥之石楠船神◇大冝都比売神○次に生んだ神が『古事記』の重要な役割と物語に大きく影響する存在となる。
◇火之夜芸速男神またの名を火之迦具土神が生まれた。
◇火之迦具土神=『記紀』イザナキ神・イザナミ神の間に生まれた神であるが、誕生の際、火の神の為に火傷を負わせて焼死させ、父に斬り殺される。
◎イザナミ命がヒノカグツチ神を生んで、火傷を負って病み六神を生んだ。
病の中、嘔吐から二神◇金山毗古神◇金山毗売神が生まれた。
次に糞から生まれた二神◇波迹夜湏毗古神◇波迹夜湏毗売神次に尿から生まれた二神は◇弥都波能売神◇和久産巣日神が生まれ、ワクムスヒ神から◇豊宇気毗売神が生まれた。イザナミ命がヒノカグツチ神を生んで病んで生まれた神々は七神生まれた。
◎イザナキ神とイザナミ神の間に生まれた神は孫神を含め、住居に関する神々が七神が生まれ、自然現象に関係する神々が二十三神生まれ、生産の関する神々十神が生まれた。
これらの神以外に森羅万象を司る神々が鉱山や食料、山道、霧や峡谷、泡、凪さ波、水面など多彩にわたって生まれている。尿、糞、嘔吐などは農業に関係する神々の誕生になっている。
○火の神については火鑚臼と火鑚杵があって、火鑚臼は女性の陰部を表し、火鑚杵は男性の男根を表している。
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