舞台裏3

「さて、飛行実験だ。早朝だし、潮時だよね」

 巨大な翼状の飛行ユニットを取り付けた非武装のゼクローザスが、リフトで地上へと上昇した。

 コクピットブロックには、ノイベルトが搭乗している。耐G装備を万全にした上で、だ。

「ネクサスじゃあ、耐久力が不安だ……。まあ戦場の残骸を回収して組み立て直したシロモノ(注:高次元蓄積体を2基装備している。なおカラーリングは“純白”)だけど、一応は官給品。バレたらお詫びしないとね……。まあいいや、実験開始!」

 ノイベルトがイメージを浮かべると同時に、翼に取り付けられたブースターが点火する。

「飛びなよ、私のゼクローザス!」

 ノイベルトが高らかに叫ぶと、ゼクローザスはブースターによって空中に飛翔した。

「まだだ、もっと速く……!」

 ノイベルトのイメージに応えるように、ゼクローザスは速度を更に上昇させた。

(いいぞ、あっという間に音速を突破した……!)

 だが、霊力残量の警告が響いた。

「戻れ……!」

 素早くリフトまでゼクローザスを戻したノイベルト。


 そして研究施設に機体を戻す途中で、喜色満面に叫んだ。

「実験成功! けど、どこまで速度が上がるのかは、体験出来ないかもね。残念だなあ……」

 純白のゼクローザスから降りたノイベルトは、自室へと向かった。

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