機体の設計構想について5

ノイベルト

「時間も無いだろうから次々と回そう。一言で機体を要約すると、『攻撃力、防御力、機動力の全てを追及した産物』となる。もっとも操れるのは、アルマ帝国内で2人しか知らないがね」


有原

「はい」


ノイベルト

「そして機体の武装だが、敢えて軽量化を狙った光剣などは用意しなかった。何故だかわかるかね?」


有原

「いえ、まったく」


ノイベルト

「それは簡単だ。『騎士として、あるいは帝国の力の象徴としての偉容いよう(注:“堂々とした姿”の意)を帝国内外に知らしめるため』だ」


有原

「と、おっしゃいますと?」


ノイベルト

「視覚的な迫力、というものだよ。黒い三本角、巨大な剣と盾、真紅のマント、空を自由自在に駆ける力。これに憧れない人物が、またこれを恐れない人物が、どこにいると言うのだね!?」


有原

「は、はい……!」


ノイベルト

「次だ! 実体武器のリスクは、『変形してしまう』というものがある。だが、私は次の要項も厳命したよ。『剣や盾を武器として用いる際には、霊力を纏わせろ』とね! こうすれば壊れない、違うか!?」


有原

「いえ、まったくもってその通りでございます……!」


ノイベルト

「実体剣を軽々と振るう姿! それも二刀流で、だ! 痺れないか……!?」


有原

「痺れます……!」


ノイベルト

「もっとも、『盾を突き立ててから変形させ、砕く』といった使い方も想定してはいるのだがね。まあそこはよろしい。漆黒の騎士の偉容を見てほしい、そうした理由で造ったのさ」


有原

「なるほど……」


ノイベルト

「引き留めて悪かった。これで時間だろう?」


有原

「そうですね。本日は、ありがとうございました」


ノイベルト

「ああ、こちらこそありがとう」


※有原、退室。


ノイベルト

「つい熱が上がってしまったな……。しかし、8年前に“リナリア・シュヴァルツリッター”を受け取ってくれた少年は、今どうなっているのだろうか? 一つ言えるのは、強くなっている、という事だけだな……。そうでしょう、ハーゲン大佐?」



 了

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