第69話:探索の末に見つけた恐怖
気づけば周りは悪魔の血と死体でまみれた殺人現場。
再び蘇る悪魔達にとっての悲劇。
私は一体、何の無双をしてして満足をしているのか。
「さ、さあて……今回はこれくらいにしておこうかな。何となく、悪魔の調査も出来た気がするし」
騒ぎで更に悪魔が集まってしまう可能性もあるし、何をやったところで、どうせう〇こを投げつけられてしまうのがオチだし。
……あと、探索以前に、短気なのも反省しなきゃだし。
「……そういえば、泥人形ルーミルはどこに行ったんだろう。放置しちゃっていたけど」
悪魔無双リヌリラをプレイしていたせいで気がつかなかったけど、泥人形ルーミルは無事なのだろうか。
私は泥人形の歩いた方向へと視線をやり、目を凝らして探してみる。
すると――
「…………」
「おお、さすが泥人形ルーミル。悪魔に負ケズ、う〇こに負ケズ。無傷で森を歩き続けているようだね!」
やはり、他の悪魔もルーミルを知っているのだろうか。
やつらに学習する知恵があるなんて滑稽だけ……
ズゥゥゥゥゥゥゥン…………!!
グシャァァァァァァァ!!!!
「……っ! な、なにっ……?」
轟音がした。
大地が揺れるほどに、強烈な轟音が。
私のすぐ近く、五十メートル先の付近。
すぐさま異常を確認するべく、望遠鏡で轟音の鳴る方へと視界をやる。
そこには――
「……あぁ? なんだこれ? あの女が通ったように見えたから、心臓を地面に叩きつけて握りつぶしたんだが……きったねぇな、何だこれ? 泥か?」
「…………っ!!!!」
驚く以前の全てが早かった。
……いや、速かった、と言うべきか。
音もなく、姿もなく、瞬きをする前に、泥人形は、粉々に砕け炸裂した。
時限爆弾でもセットされたかのように破壊され、地面は隕石が落ちたかの如く強烈に陥没している。
本当に時限爆弾が爆破したのだろうか。
だが、その疑惑を一瞬で払拭させるような事実が、爆破の中心に存在していた。
そこに居たのは羽を生やした悪魔。
彼は――
「……ああ、この汚ねぇ泥人形作ったのは、そこに隠れているてめぇか?」
「……」
私が心臓を抉られたような、ドキリと鼓動がショックを受けた。
きっと、彼を見て共学をするのは私くらいしか居ないだろう。
「あぁ……ウザってぇ……」
彼の名は、ハナ・シューリット――
二十世紀で私を殺そうとした重宝人であり、十九世紀の最高驚異として恐れられていた最狂の悪魔。
私が殺すべき、最終も苦笑の生命体――
「気配を消して息を完璧に殺しているな。動物さえも気づきやしねぇ……てめぇ、慣れているな? 狩りに」
「…………」
視線が完璧に私の方を向いている。
「恥ずかしがり屋か? 隠れたままでいるならそれでいい。今から壁の外に招待してやる」
「…………(な、何を言って)」
ズゥン……!
「……っ!! なっ、なに……左手が……引っ張られて……うぅ……!!」
「超循環士ぃ……てめぇはてめぇである限り、俺と相思相愛なのは確定事項なんだよぉぉぉぉぉぉ…………!!!」
「あぁ……ぐぅぅ!!! 痛い痛い痛い痛い痛い………………!!!!!!!」
真実の口から死を宣告され食いちぎられているように強烈な痛みがやってくる。
木にしがみつき耐えているというのに、その木が根本の方から引き抜かれるほどに強烈な強制力。
「ほらぁ……来いよぉ……腕がちぎれちまっても良いのか? あぁん?」
「……うっ、うぅ……ぐぅぅ……!」
本当に腕が引き千切れそうなくらいの強烈な圧が私にかかり、思わずなんていう以前に、しがみついている木から手を離したくなる。
だが、今手を離したところで、結局はハナにとって都合の良い展開になる以外の道はない。
可能な限り、抵抗を続け、ハナの力を少しでも消耗させる――それが私の出来る最良の行動でしかないのだ。
「超循環士は、ご自愛がないもんだねぇ。腕が引き千切れても構わないってか?」
「……くっ、うぅぅ……」
「ああそうか。超循環士は身体が千切れても元に戻せるんだっけか。だから部位の一つなんてどうでも良いって精神なのか」
元に戻るといっても、怪我に至るまでの痛みは常人と変わらない。
腕が千切れてしまえば、死にそうな痛みが発生するだろう。
私だって、そんな体験をしたいなんて、本来は思っていない。
穏やかに事を済ませられれるに越したことはないと思っている。
ズズズズズズ……!
ズズズズズズズズ……!!
「だが、お前の腕は頑丈だな。引き千切れるのは、しがみついている巨木の方だったらしい」
「……えっ」
ズォォォォォォォォォォォ…………!!!!!!!!!!
ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………!!!!!!
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ………………!!!!!」
しがみついていた巨木が根っこから引きちぎられ、ハナの力に誘導されたのか、そのまま目の前までズズンと引っ張られて落下する。
それと同時に、ステルスを徹し、何を逃れようとしていた私の姿も、ハナの前へと見せることになってしまった。
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